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聴く人を煙に巻いてしまうプレゼンテーションとは

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あるグローバル企業のトップが自家用ジェットで到着しました。私たちは一同、一流ホテルの立派な大会議場に集まって彼を迎え入れました。超有名企業のブランド、豊かでまばゆい銀髪、経歴、あふれるような自信。きっと今日は、彼から素晴らし​いスピーチが聞けることでしょう。ネットワーキングの義務をこなし、同じテーブルのメンバーと昼食を取りながら歓談した後、メインイベントが始まりました。
 
この基調講演、出だしは良かったのですが、次第にスピーカーが伝えたい内容との関連性が私たちに​は分からなくなってきました。スピーチは曖昧で微妙な表現だらけ。論点の中心はあやふやで遠くに感じ、近寄りがたく理解することができません。聴衆側は誰しも、スピーカーの微妙な議論を理解できない自分たちが馬鹿なのか、それとも単にスピーカーがとりとめなく支離滅裂に話しているだけなのか、と不思議に思いながらただ​座って聞くばかりです。 
 
でも実際、このスピーチが失敗であることには変わりがないのですから、馬鹿なのは聞き手なのか、それとも話し手なのかはこの際、問題ではありません。このスピーカーは聴衆に響くようにメッセージを伝えることができて​いないのです。知的に優れ、聴衆よりも上の立場で話すというやり方は効果的なコミュニケーション方法とは言えません。スピーカーは、聴衆は誰か、彼らはテーマをどれだけ理解しているか、そしてどれだけ難しいことや新しいことを受け入れられるかについて把握する必要があります。コミュニケーションが取れなければならない​、つまり、自分たちが優れていることを聞き手に印象付けようとするのではなく、こちらが話す内容を聞き手が理解できるようにしなければなりません。
 
スピーチがきちんと構造立てられていると聴衆は理解しやすくなります。今回のこのスピーチは、構造と呼べ​るものがあったとしてもそれは曖昧で明瞭さに欠けた不可解なものでした。その結果、聴衆を失ってしまったのです。スピーチが始まってから10分ほどして重い霧が徐々に立ち込め、このくねくね道はどこにつながるのか理解に苦しむ私たちを飲み込んでいきました。今のポイントは何だったのだろう?これらの逸話はどこにつなが​るのだろう?主要な論点は何なのだろう?本来、このような疑問はいずれも聴衆に抱かせるべきではありません。スピーカーが明瞭で、一貫性があり、筋道が通っていればこのような疑問は生まれてくることはないはずです。
 
このスピーチではスライドはほとんど​使われませんでした。多くの場合、その方が良いのですが、今回の場合は違っていました。このスピーカーのポイントを理解するには何らかの形式が必要だったのです。私たちは完全に見失ってしまいました。道しるべとなる視覚的な資料が少しでもあれば話について行けたかもしれません。議論に従って、スライドを出したり、引っ​込めたりすればよいのです。このほか、「3つの重要な問題があります」や「緊急に取り組むべき5つの分野には...」といった表現を使うだけで、話の枠組みが聞き手に示され、理解しやすくなります。このように構造を持たせることで、今のポイントをその前に話したポイントに関連付けることができます。
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このスピーカーは実際に天才であるかどうかはともかく、もし私たち聞き手が天才であったなら、彼の意図と論点を理解できたかもしれません。でも悲しいかな、私たちは美味しい昼食につられ、知識の洗礼にちょっとだけ授かれれば良いと思って現れた、ただの観客にすぎません。​本日の洗礼は授かったものの、論点を理解できなかったため、まったく無意味なものとなってしまいました。
 
スピーカーとして私たちは、聴衆が私たちの話す内容を理解しやすいようにする責任があります。巧妙な表現や、逸話を挿入し過ぎると、聴衆を失ってし​まう危険性があります。先頭を歩く隊長が微妙さに固執し過ぎると、隊員にはぼんやりとしか分からなくなって、みな迷子になってしまうことでしょう。この日、私たちは一大ブランドが無残にも失墜する瞬間を目撃したわけです。ボスがあのように失敗するのを見てしまうと、彼の組織全体をも疑ってしまいます。私たちが寄せてい​たこの企業への信頼は完全に低下してしまいました。企業に与える損害のほか、スピーカー個人のブランドもズタズタに切り裂かれ、ボロボロになってしまいます。
 
このように多くのことがプレゼンターの肩にかかっています。ですから、聴衆とつながりを持てる​ようにするためのスキルを身に付けることは必須です。高尚なプレゼンテーションにしようと、やたらと複雑にしてはなりません。明確な構造を持たせる、スピーチを進めていく中で聴衆がついて来ることができるように分かりやすく話す、そして、聴衆のレベルに合った話し方をする、といった点を心がけましょう。そうすることで​、あなた個人のブラントと、組織のブランド両方の魅力が高まり、高い評価を得られるようになります。そして、ブランドのデメリットよりもメリットを増やせることができるようになるのです。
 
 

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