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ブランドを台無しにする顧客サービス

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ブランドの重要性は、ブランドが台無しになった時に身に染みてわかります。企業は何十年にもわたり多額の資金を投じて、顧客を相手に適切なブランドイメージを築きます。ブランドがあるからこそ、買い手が感じるリスクが低下するわけです。ブランドは一定のレベルで一貫したサービスを約束します。「安くて元気」がブランドイメージの格安航空会社のように、レベルを非常に低く設定することも可能です。一部の産業は「顧客は大切にするが、責任​は取らない」がモットーです。この対極に大手ホテルチェーンが存在します。大手ホテルチェーンは世界中でホテルを展開しており、顧客が世界のどこにいようと自社のホテルに滞在してもらいたいと考えています。同一レベルの高品質を提供できると信頼してもらいたいのです。競合他社が多数存在するため、ブランドを守る圧力も​相当なものです。

 
信頼するブランドがブランドの名を傷つける事態に遭遇すると、顧客はすぐに気づきます。羽田発台北行きの飛行機が悪天候で遅れ、私たち乗客は滑走路で90分間離陸を待たされ、ようやく台北ウェスティンホテルに到着したとき​には午後6時になっていました。チェックイン時に客室の用意ができていないと言われ、頭の中で警告ブザーが鳴り始めます。そのホテルのチェックアウト時間は正午だからです。
 
問題というものは起きるものです。期待されたサービスを提供できない 理由があるのかもしれませんが、私はこのホテルのマネジメントチームに疑惑を持ち始めました。私は客室の用意がいつできるか尋ねました。チェックイン担当の若い女性の「分からない」との返事に、第2のブザーが鳴り始めます。ロビーは部屋に入れずにいらいらしている客であふれかえっているのに、客室がいつ用意できるかわからない​とは一体どういうことでしょう?
 
すぐに頭に浮かんだのは、このホテルはきちんとマネジメントされていないということでした。私は女性にゼネラルマネージャーの名前を尋ねました。だんだん面白くなっていきますよ。彼女は無言でした。一言も発しません。一​言も!このホテルは研修とリーダーシップの面で深刻な問題を抱えています。顧客である私がスタッフに話しかけ返事を待っているというのに、一切返事がないのです。ありえません。もう一度尋ねてみました。またもや無言。声を大きくして返事を引き出そうとします。無言。顧客サービスがここまで地に堕ちると笑いを誘います。​
 
同じ質問をし続けた結果、ようやく消え入るような声で名前が出ました。聞き取れないのでもう一度尋ねます。このドタバタ劇を3回繰り返して、ようやく「アンドリュー」という名前が明らかになりました。アンドリューの名字は? またもや沈黙。スタート地点に逆戻りです。顧客がスタッフに情報と協力を求めているのに、どちらも提供されないのです。名字を聞き出そうとこのプロセスを何度か繰り返して、ようやく「ゾー」と言う囁きが聞こえました。アンドリュー・ゾー。ようやくだ。何を考えているかですかって? このアンドリュー・ゾーは最低のゼネラルマネージャーです。ス​タッフがきちんと訓練されていません。
 
客室の準備はできておらず、いつ準備できるかもわからないので、オーストラリアでよくするように、私はバーに向かいます。バーにいるので部屋が準備できたら知らせてほしいと告げて。約束通り連絡がきたかですかって​? 答えはノー。そこでバーテンに客室の状況を訊きに行かせました。ここでもブランドの約束が破られたわけです。バーでまるまる2時間待った挙句、ようやく部屋に入れました。
 
バーで待っている間、私はウェスティンのサイトで本社を突き止め、台北のサー​ビスについて苦情を寄せました。誰に連絡したらいいのか突き止めるのに苦労しましたが、オンラインでメールを送ることはできました。翌日返信があり、サービスについてはホテルのスタッフと話をするよう言われました。バーにいる間、ホテルの交換台に電話してアンドリュー・ゾーにつなぐよう伝えると、すでに帰宅したとのこ​と。デューティマネージャーは? 手が離せないので携帯電話にかけ直してくれるとのことでしたが、アンドリュー・ゾーからもデューティマネージャーからも電話はありませんでした。ただし、客室担当からメモが届き、デューティマネージャーから翌日メールが届きました。満足したかですって? ノーです。ゼネラルマネージャ​ーの話が聞きたかったのですからね。
 
製品やサービスを提供する際に、不手際が起きることはありえます。それは誰もが理解しています。問題は、お客様と接するチームメンバーが不測の事態に対応する方法について、きちんと研修を受けていない場合です。ホテ​ルは常に客から苦情が出るため、苦情への対応には慣れておくべきです。ホテル業界においては、顧客の苦情対応は、研修において重要度の高いものであるべきです。研修不足はリーダーシップに問題がある証拠です。リーダーがきちんとしていれば、スタッフのサービスレベルもきちんとするはずです。
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その夜は客室の用意ができておらず、情報もなく、私と同じ境遇の客が沢山いました。ウェスティンブランドは世界中に知られ、私はアジアで何度もウェスティンホテルに滞在したことがあります。台北のウェスティンは世界的なブランドを台無しにしましたが、大手ホテルチェーンの競争は​熾烈なだけに、その夜の出来事は高くついたはずです。
 
この経験から、私は自分の会社のサービスレベルにも目を光らせることが必要だと気づきました。トラブルが発生した時に、それに対応する準備が整っているか? 世界にある220の拠点でブランドをどのように守ればよいか? 問題が発生した時に私に簡単に連絡がつくか? 顧客からの苦情処理について十分な研修を行っているか? ウェスティン台北のリーダーシップはいい加減でした。私たちは自分の会社の業務を細かく冷静に見直すべきです。きちんと機能していないのに、うまく行っていると誤解している可能性もあります。​顧客とのあらゆる接点においてブランドを守ることが必要です。それこそがトップをはじめとするリーダーシップチームの仕事です。
 

 

 

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