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簡単なセールスをなぜ難しくしてしまうのか?

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セールス担当者の狙いは、モノやサービスを金銭と交換することです。モノやサービスにかかる変動費や固定費を、価格がどの程度上回るかが企業の成功と存続を左右します。セールスなくして事業は成り立たないことを誰もが承知しています。だとすれば、セールス担当者は企業にできるだけ多額の収益をもたらす重要な役目を担っています。モノとサービスには価格が設定されています。モノは目に見える品のため、コストや利益マージンを定めることが​比較的容易です。「安く買って高く売る」が古くからのビジネスの教えです。サービスは目に見えない分、価格設定が困難です。いずれにせよ、提供されるものに対する価格の価値提案こそ、セールス担当者が成功するために身につけなければならないコミュニケーション法といえます。      

 

価値とコストとの差を埋める技術を身につけたことがないセールス担当者に出会った時の、セールストレーニングの専門家としての私の驚きを想像してください。ある講演の参加者として、30才位の日本人の営業マンの隣に座った私は、ランチの席でセールスについての彼の発言に驚愕しました。彼のセールスのプロセスを聞きたいと思いましたが、彼には一定のプロセスがなく、私の質問の意味を心から理解していませんでした。彼は今の会社で7年間セールスを担当しており、経験は豊富でした。

 
彼は見込み客に連絡を取り、会う約束をし、約束の時間と場所に現れてサービスを説明し、見積もりを提出するというのです。本当に?食事のメニューの空白欄に、私はセールスのプロセスの要素を書き出しました。ミーティングの準備をし、1回限りのセールスではなく、再注文を取ることにフォーカスする。関​係を構築して信頼関係を築く。考え抜かれた質問をして、顧客の興味を引き出し、顧客のニーズを知る。そして 我が社が力になれるかどうかを相手に伝え、力になれるならどのような方法で力になれるか説明する。我が社の提案に不明な点、懸念、不安があり、拒否されることもあるでしょう。これらの点をクリアしてからオーダーすることを依頼し、その後フォローアップしてサービスやモノを提供します。
 
彼は難しい方法でセールスを行っていたので、案の定、営業訪問に対するこの構造的なアプローチ に感心していました。ロードマップがあれば、買い手と売り手双方にとって全工程がはるかに容易になります。次に私は買い手が「値段が高すぎる」と言った場合にどうするか彼に尋ねました。彼の答えを聞いて目眩がしました。無邪気な表情で「値引きする」と答えたからです。信じられない思いで、「どの程度値引きしますか?」と尋ねると、20%という答え。チームには他に4人のセールス担当者がいるという​ことですが、20%値引きするとなると、価格に文句をつけた顧客への最初の対応としてはずいぶん気前が良い話です。
 
二人のやりとりです。チーム内の動きは知っていますか? 他のセールス担当者も価格について文句が出るとすぐに値引きしますか? そうだ​とすれば、その会社の成功と存続がかなり脅威にさらされているはずです。もったいない。
 
彼はセールスとして経験を積んでいましたが、値引きが関の山だったのでしょうか? なぜそうなのか? そのような状況をどう処理するかについて、彼には他に知識がな​かったからです。「買い手との会話の中に価格がよく出てきますか?」「もちろんです。」「だとしたら、あたかも当然のことのように、どうして20%の値引きを続けていけるのですか?」そこがポイントです。日本ではこのように、セールス担当者のプロ意識が低いことが当たり前であり、例外ではありません。皆が似たり寄った​りなので容認されているという暗澹たる状況です。
 
彼は値段が高すぎると言われたときに、理由を尋ねるべきでした。価格に不満があるのか、それとも策略、交渉、時間稼ぎをしようとしているのか、あるいは相手は価格ポイントを理解するだけの価値を見出して​おらず、見当違いだと思っているのか。価格が高すぎるという文句には、優先順位が高い要素があります。実際の現金の額かもしれないし、予算配分の時期、社内で競合するプロジェクトに関する懸念かもしれません。セールス担当者はそのうちのどれなのかを知る必要があります。
 
「値段が高すぎる」と言われた経験がありますが、これは先に進まない理由をひとまとめにしたものだと解釈しています。理由を尋ねると、「予算の問題」という答えでした。営業のプロである以上、もっと踏み込んで「なぜそれが予算の問題なのですか?」と尋ねるべきです。「数字がその四半期の当社の予算配​分を超えているからです。」
 
ということは、結局のところ値段は高すぎるわけではありません。ある四半期に全額支払うのであれば高すぎますが、四半期数回にまたがる分割払いなら購入は可能です。ただし、彼が20%の値引きで対応していたら、このことを知​るよしはありませんでした。顧客に四半期にまたがる分割払いを提案する気が彼にあるでしょうか?値引きするよりは分割払いの方がいいですよね。
 
この物語の教訓は、セールス担当者の業務を細かく調べる必要性を示しています。営業経験が7年と、1年の経験​が7回を混同してはいけません。さらにセールス担当者にはプロセスがあり、価値を説明し、反論や文句を処理する方法を知っていると思い込むことも禁物です。セールストレーニングのクラスでの経験や顧客との話から、日本ではその可能性が非常に低いからです。

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