#108:勇気ひとつで開く、休眠顧客との再会の扉
ビジネス達人の教え
新しいクライアントとの出会いは、未来を切り拓く大きな可能性を秘めています。
一方で、かつてのクライアントと再び向き合うことも、同じように価値のある、大切な活動です。
しかし現実には、セールスパーソンとして、休眠顧客へのアプローチに躊躇してしまう方もいらっしゃるかもしれません。
「久しぶりに連絡して嫌がられないだろうか」——そんな心理的なハードルを感じるのも無理はありません。
クライアントとの距離が生まれた背景には、先方の方針転換や担当者の異動、社会的な事情、あるいは我々側の至らぬ点など、さまざまな要因があるものです。
私たちは日々変化しています。サービスの質、提案の内容、そして私たち自身も成長を続けています。
かつて必要とされなかった提案や、以前はご満足いただけなかったソリューションも、今の状況においてはクライアントにぴったり寄り添えるかもしれません。
そして今の自分であれば、よりよいサービスを自信を持ってお届けできる、そんなタイミングが来ているかもしれません。
実際、私自身も過去のクライアントから長い時間を経て再びご連絡をいただき、7年ぶりに新たな商談へとつながった経験があります。
また、クライアントが転職先からご連絡をくださるという、心温まる再会も数多くありました。
今月もそのような一本のお電話から、自然と笑顔になるひとときを過ごしました。
こうした出来事は、時間を越えて信頼が生き続けていた証です。
そして、先方からのご連絡を待つだけでなく、私たちから一歩を踏み出すことも同じくらい価値のあることです。
私は、過去のクライアントに勇気を出して連絡し、オフィスにお伺いした際、その方があれから、3年の時を経て少しずつ周りに心を開き、これまでと違う自分に向き合い、周りに自分の新しい一面を見せてみるということに取り組んでいるというお話を伺いしました。その挑戦をお聴きして、思わず涙がこぼれました。
その経験は、再びビジネスに繋がらなくても、過去のクライアントの努力や変化、成功を祝福できたこと自体が、私たちサービス提供者にとっての大きな報酬であり、次への原動力になりました。
その祝福が巡り、感謝の循環が生まれれば、それはやがてセールスという仕事そのものの価値を変えていきます。
セールスの仕事は、単なる取引ではなく、「クライアント=推し」として、愛と情熱を注ぐ“推し活”のような喜びに満ちた営みとなり、そのようなマインドでクライアントに接するセールスパーソンは無敵の存在になります。
文字通り敵を作らず、愛されながら成果がついてくる、そんな理想的な在り方に近づけるのです。
皆さまも、過去のご縁に、こちらから勇気を出して再び連絡を取ることで、心から感謝されることはあるのではないでしょうか。
「連絡してくれてありがとう」「その後おかげ様で快適に過ごしています!」——そんな言葉をいただけたときの喜びは、セールスに携わる者にとってかけがえのない瞬間です。
ご縁を温め直すことは、未来を照らす行動です。
再び関係を結び直すことは、単なる取引の再開ではなく、信頼の再構築であり、未来への新たなスタートラインに立つことでもあります。
ですから皆さん、勇気を出して、休眠顧客との再会の扉をそっと開いてみましょう。
そうすれば、かつて植えた信頼の種が、人知れず花を咲かせているのを見つけ、祝福することができます。