ビジネス達人の教え

#120:『まず提案してください』の一言に、どう向き合うか

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商談で「まず提案してください」と言われたあと、丁寧に説明したのに話が前に進まない——そんな停滞を経験したことはないでしょうか。原因は、説明不足ではなく「お客様の狙い・成功条件」が言語化されないまま提案に入ってしまうことにあります。

本記事では、お客様の流れを止めずに受け止めつつ、対話に戻して“本当に意味のある提案”へつなげる具体策を整理します。

Q:なぜ「まず提案してください」で商談が止まることがあるのか?

「まず提案してください」は前向きに聞こえますが、実際には「何から考えればよいか分からない」「早く全体像を掴みたい」という不確実性の表れであることがあります。背景(なぜ今なのか、何を実現したいのか、制約は何か)が不明なまま提案すると、内容が“当てずっぽう”になりやすいのです。

特に日本企業の法人営業では、関係部門の合意や稟議、リスク管理、情報共有(決裁プロセス)が重要です。意図と合っていない提案は、社内で回覧されにくく、結果として商談が止まりやすくなります。

デール・カーネギーの観点でも、人は「説明されたから」動くのではなく、「理解された」と感じたときに初めて前に進みます。

ミニサマリー: 「まず提案」は“提案が欲しい”だけでなく、“整理してほしい”サインの場合があります。狙いが見えない提案は、社内で通りにくく停滞を生みます。

Q:「まず提案してください」と言われた直後、最初の30秒で何をする?

流れを無理に変える必要はありません。まずは要望を受け止め、短く全体像を示し、その後に対話へ戻る“型”を持つと安定します。

おすすめは次の3ステップです。

• 受け止める:「承知しました。方向性をまず簡潔にお伝えします。」
• 全体像を示す:「まずは大枠(アプローチ)を短くご説明します。」
• 質問の許可を得る:「そのうえで、成功条件に合わせるために2〜3点だけ確認させてください。」

この一言で、「一方的な説明」ではなく「最適化された提案」に切り替わります。

ミニサマリー: いったん短く応じ、進め方を示してから質問へ。相手の期待を外さずに、対話の主導権を取り戻せます。

Q:押しつけにならずに、どうやって対話に戻して“狙い”を引き出す?

ポイントは、尋問ではなく“相手の思考が整理される質問”を置くことです。

たとえば次のような問いが効果的です。

Q:「うまくいった状態」とは、どんな状態ですか?

• 「今回が成功したと言えるのは、どんな変化が起きたときでしょうか?」
• 「導入後、社内にどんな成果を報告できると理想ですか?」

Q:なぜ“今”なのか、背景は何でしょうか?

• 「今このテーマが重要になったきっかけはありますか?」
• 「予算サイクルや期限、社内の節目はありますか?」

Q:前提条件・制約はありますか?

• 「コンプライアンスやセキュリティ、運用ルールで外せない条件はありますか?」
• 「決裁者や関係部門など、誰の合意が必要でしょうか?」

これはデール・カーネギーの原則(良い聴き手になる、誠実な関心を寄せる、共感を示す)に直結します。相手が「理解された」と感じるほど、場は自然に前へ進み始めます。

ミニサマリー: 成功条件・背景・制約を“相手が話しやすい形”で質問します。理解が深まるほど、商談は前に進みます。

Q:提案を「完成品」ではなく「一緒につくる計画」に変えるには?

提案を“完成した答え”として渡すのではなく、「仮説」として提示し、共同で磨く姿勢が効果的です。東京の法人営業では、外資系企業でも日本企業でも、関係者調整と合意形成が重要だからです。

共同制作の流れ(例):

1. 仮説提示:「現時点の理解では、方向性はAが有力だと見ています。」
2. 選択肢提示:「スピード重視ならA、統制重視ならBの2案があります。」
3. 適合確認:「御社の稟議・決裁プロセスに合うのはどちらでしょう?」
4. 次の一手:「成功指標と関係者を確認し、提案書を整えます。」

提案が「こちらの提案」から「双方の計画」に変わると、社内でも回しやすくなります。

ミニサマリー: 提案は仮説として出し、選択肢と社内プロセスに合わせて一緒に磨きます。社内展開しやすい提案になります。

Q:すでに説明してしまい、停滞したときのリカバリーは?

リカバリーの鍵は「押す」のではなく、「立ち止まって意図に戻る」ことです。

たとえば、次のように言えます。

• 「少し先に進みすぎたかもしれません。改めて、最重要の成功条件を教えてください。」
• 「社内に共有するとしたら、関係者は何を確認できると安心しそうでしょうか?」

そのうえで、成功条件・関係者・制約・判断時期を整理する30〜45分のすり合わせ(短いアラインメント)を提案すると、停滞を“意思決定の道筋”に戻せます。

ミニサマリー: 説明しすぎた後は、成功条件と社内判断の要件に戻します。短いすり合わせで、商談を再起動できます。

まとめ:ポイント

• 「まず提案」は不確実性のサインの場合があります。短く応じてから対話へ戻しましょう。
• 成功条件・背景・制約・関係者を引き出す質問が、提案の精度と前進力を高めます。
• 提案は“仮説”として共同制作し、稟議・決裁に乗る形へ整えると進みます。

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