プレゼンテーション

「話し上手」になるために最も大切なこと!

ソート・リーダーシップ・シリーズ ビジネス達人 #27 (プレゼンテーション)

「うまく話せるようになりたいです!」

 

「人前で緊張せずに自分の意見を伝えたいんです!」

 

「説得力のある話し方をしたいんです!」

 

これらのようなお声をクライアントの皆様から頻繁にお聴きします。

 

「皆様はどのような方のお話しがお上手だと感じますか?」この問に対する答えは、パワフルなプレゼンター、論理的にお話しができる方、などなど・・・華やかなプレゼンターのお名前が実際に浮かぶ方もいらっしゃるかもしれません。

 

では、もう一つお聴きします。

 

「皆様はどのような方のお話しに心から感銘を受け、その方がお話しされた後に義務ではない拍手を送りたくなりますか?」

 

 

その問に対する答えは、必ずしもパワフルで自信みなぎる華やかなプレゼンターではないのではないでしょうか。場合によっては恐る恐る自分の勇気をふりしぼって、自分の言葉で一生懸命に何かを伝えようとしてくれた方かもしれません。

 

今日考えていきたいことは、話し方において、本当に大切なことは「自分がどうやったらうまく話せるか。」にフォーカスする事ではありません。「聴き手の方がどうしたら、メッセージを受け取りやすいか。」や「聴き手の方の立場になって話しているか。」つまり、「聴き手にフォーカスする」という事がとても大切という事なのです。

 

昨日、デール・カーネギー・コースの修了者のMさんに「プレゼンテーションにおいて大切なことは何だと思いますか?と質問をしてみたところ、彼女は「相手に関心を持ってもらえそうな話を話しているか。」「または、興味を持ってもらえるように工夫をしたか!」と言っていました。そう。つまり「自分目線」ではなく「相手目線」で話しているか。言い換えると「自分に矢印が向いている」か「相手に矢印が向いている」かという事になると思います。この点は、聴き手に回った時の私たちは敏感に感じる事ができるにも関わらず、いざ自分が話すときは「うまく話さなくては!」や「何かいいことを言わなくては!」「論理的でなくては!」などと思ってしまい、つい自分に「矢印」を向けて、緊張したり、聴き手とエンゲージできなくなったりするものだな。と思います。相手から好感を持ってもらいたいあまり、等身大以上の自分になろうとした瞬間に、聴き手には違和感として伝わってしまうものなのです。
「そうか!!!」ということで「相手にフォーカス!」「相手にフォーカス!」と考え意識します。あれ、相手にフォーカスしよう!とすればするほど、結局自分に意識が向いている・・・という事が起こってしまうようです。では、どうすればよいでしょうか。
話す際に最も大切なこと。「相手にフォーカス!」について、考えていきましょう。

 

デール・カーネギー自身も、著書「心を動かす話し方」の中で、一瞬で人を惹きつける秘訣を沢山紹介しています。例えば、「聴き手とつながりを築くうえで、誠意にまさるものはありません。」「聴き手というものは、自分は聴き手より教養が高い、とか社会的地位が上だとか意識した話し手を敏感に感じ取るものなのです。」と言っています。そして「演説家と思われるようであれば失敗」「調子に乗らない!」という事についてわざわざページを割いて伝えています。「聴き手との対話をするような気持ちで話す事の大切さ」や「聴き手を話のパートナーにする」。という事にも言及しています。話し手は「間」を有効活用し、相手がうなずいたり、メモをとっているようであれば、相手との呼吸を合わせるようにペースを調整したりします。時には「聴き手に質問」をし、聴き手に実際にイメージしてもらったり、作業をしていただいたりし、お互いに時間を一緒に過ごす空間を作ることもできるのです。そのような配慮があると、聴き手ありきのお話しになりますので、実際に聴き手も一緒にそのお話しを作りだしている共同作業になるのではないかと思います。同じ時間と空間を共有していただける事に感謝する事に努める話し手の配慮は、聴いている方にも必ず伝わります。

 

「緊張してしまう」という方!それも矢印の向きで解決するように思います。相手に意識を向けて、自分を忘れる事で緊張もしなくなるのです。私自身も「相手にフォーカス」「我を忘れる」事の大切さを学び実践する日々です。「トレーニングでも、ミーティングでもポッドキャストでも、お話しを聴いてくださる皆様に感謝の気持ちを届けよう。」「勇気を持ってもらえたら嬉しい。」「デール・カーネギーが現代の皆様に届けたいメッセージが届けられますように!」そんな想いで準備をし、お話しをします。そして究極は「感謝の気持ち!!」と「どれだけ捨て身になれるか。」という事が「相手にフォーカス」と「我を忘れる」にも通じるのではないか。とも感じています。

 

デール・カーネギーも人間が関心を持つのは自分自身の事である。と言っています。動画配信が一般的ではなかったデール・カーネギーの時代。デールが影響を受けた著名な講演家であるラッセル・コンウェル氏は、全米で「エーカーズ・オブ・ダイヤモンド」のお話を6000回も講演されたそうです。彼はそれぞれの土地の聴き手に合わせて、お話をする前にその地域の郵便局長や理髪店主やホテルの支配人、学校教師などに会って話をお聴きして聴き手の関心に沿った話しを盛り込み、一度としてそっくり同じ講演をしたことがなかったそうです。

 

昨日お話しをした修了者のMさんも、出張先で数百名を前にお話しをする場合は、その土地について調べ、ご当地ネタ盛り込み、とても感謝されたことを共有してくださったことを思い出しました。聴き手について事前に調べてみましょう。年齢層は?男女の比率は?テーマに関する専門知識のレベルは?ネットなどでも聴き手の情報は手に入る時代です。ぜひできる限りの誠意を持って相手に関心を持ちましょう。私自身は一番最初に勤めた会社の上司から、商談やプレゼンの前には早めに到着して、周囲のお店やタクシーの運転手、地域の方々とお話しをして、その地域に興味を持っておきましょうと叩き込まれました。やはり、生の声に勝る情報はないもので、その自分が感じた土地の空気感に応じてお話しの強弱を調整したりしたものでした。

 

相手にフォーカスという意味では、スライド1枚1枚に沢山の情報を盛り込まないほうが、メッセージがシャープになり伝わりやすいです。プレゼンターの「賢さ」を見せつけることがプレゼンの目的ではないという事は私たち一人ひとりが理解しているはずです。スライドづくりにだけ時間を割いていませんか?しっかりプレゼンの練習に時間をかけていますか。練習の時間も相手の為を思う時間として味わいましょう!素晴らしい「スライドだった!」という印象のみを残したいのでしょうか?または、すばらしい「お話だった!」と思ってもらいたいですか?私がこれまでで最も印象に残ったプレゼンは、スライド一枚でした。しかも、超シンプルそのもので、その組織のロゴだけで、話し手の経験談とわかりやすいメッセージで聴き手を印象づけたスピーチでした。その方は最先端のIT企業に勤めていらっしゃるので、スライド作る能力がないわけではありませんでした。私はその相手目線のメッセージのシャープさと潔いほどのクリエイティビティに圧倒され、一生忘れない経験をしたことを思い出します。

 

Dr. Greg Story

President of Dale Carnegie Tokyo Japan

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