世界トップレベルの効率と安全を誇る日本、しかし営業力はまだ遅れている — 経営者が知るべき現実
はじめに
新幹線の時間厳守やミシュラン三つ星レストランの数など、日本は効率性・安全性・文化水準で世界から称賛されています。しかしその一方で、日本の営業プロフェッショナリズムは欧米基準に比べて大きく遅れています。1963年以来、東京で営業研修を提供してきたデール・カーネギーが見てきた典型的な課題を紹介します。
なぜ日本の営業はクロージングを避けるのか?
日本では「NO」を言うことがタブーです。そのため、営業は結果をあえて曖昧にして終わらせ、注文を明確に求めません。欧米で一般的なクロージング技法は浸透していません。
ミニサマリー: 拒絶を恐れる文化がクロージング力を弱めている。
なぜすぐに値引きしてしまうのか?
顧客から抵抗を受けると、多くの営業は即座に20%の値引きを提案します。価値を守る代わりに価格を下げるため、利益が失われます。
ミニサマリー: 弱い異議対応が値引き依存を生む。
なぜ異議対応が弱いのか?
日本の営業は顧客を「王様」ではなく**「神様」**として扱います。固定給中心の給与体系もあり、会社より顧客を優先しがちです。
ミニサマリー: 顧客への過剰な迎合が価格防衛を阻む。
なぜスペックばかりにこだわるのか?
営業は仕様やデータの説明に熱心ですが、顧客にとっての価値や便益を語ることが苦手です。結果として「カタログ読み上げ営業」になりがちです。
ミニサマリー: スペック偏重で成果や価値を伝えきれていない。
なぜ質問をせずに提案するのか?
顧客の問題を尋ねることが「失礼」とされるため、質問せずにプレゼンを始めます。その結果、商談は顧客主導となり、営業は受け身に。
ミニサマリー: 質問回避が真のニーズ把握を妨げている。
なぜ新規開拓より既存顧客を優先するのか?
多くの営業は新規顧客開拓を避け、既存顧客への対応に専念します。会社ブランドに依存し、自らの営業力で市場を切り開く意識は低い傾向です。
ミニサマリー: 既存顧客依存が成長の制約になっている。
日本の営業はどう改善できるのか?
改善のポイントはシンプルです:
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質問の許可を得る
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スペックを便益に結び付ける
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値引きではなく価値を守る
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クロージングと異議対応を強化する
ミニサマリー: 体系的な研修とリーダー育成が世界基準への橋渡しとなる。
要点
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日本は効率性で世界をリードする一方、営業力は遅れている。
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課題はクロージング、異議対応、便益提案の弱さ。
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顧客主導の商談が常態化している。
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研修とリーダー育成が営業近代化のカギ。
デール・カーネギー東京について
デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。東京オフィスは1963年設立、日本企業と外資系企業の成長を支え続けています。