なぜ日本で「社長に会っても決まらない」のか — 日本企業の意思決定構造を理解する
なぜ日本の意思決定は“異世界”のように感じるのか?
欧米では、社長(President)は絶対的な存在。
戦略を決め、成果を出せば高額報酬を得る。
しかし日本企業では、まったく違います。
社長と良いミーティングをしても、その後は音沙汰なし──。
これが日本の“合議制文化”。最終決定は、社長の一存ではなく組織全体の合意によって生まれます。
ミニサマリー: 日本では「影響力>肩書き」。
日本のリーダーシップが特異な理由とは?
日本の大企業では中途採用が少なく、新卒一括採用が基本。
社員は数十年かけて企業文化に染まり、慎重で安定志向の価値観を共有します。
つまり「変化」はリスクであり、評価されにくい。
外国人が新しいアイデアを持ち込むと、それは「変化の象徴」になります。
しかし日本では、失敗によるリスクの方が、成功のリターンより大きいのです。
ミニサマリー: 日本では“安定が報酬”、リスクは敵。
本当の意思決定者は誰か?(ヒント:社長ではない)
欧米流に「トップを落とせば全社が動く」と考えるのは誤解です。
日本の大企業では、各部門長が自部門のP/L責任を負っており、社長が一方的に決定できません。
そのため、全社調整という名の“超スローモーション意思決定”が発生します。
ここで登場するのが「担当者(たんとう/tanto)」。
彼らが資料を作り、社内調整を進め、稟議を回します。
各段階で上司のハンコ(承認印)が押され、最終的に社長のもとへ届くのです。
ミニサマリー: 「鍵」を握るのは、社長ではなく“担当者”。
どうすれば日本で案件を前に進められるか?
ポイントはトップダウンではなくボトムアップ。
社長へのプレゼンはきっかけに過ぎません。
真の勝負相手は、現場担当のtanto。
彼らが「これは良い」と思えば、社内で稟議を動かしてくれます。
逆に、担当者の信頼を得られなければ、どんな社長との面談も形だけで終わります。
丁寧に資料を渡し、質問に正確に答え、関係を築くことが成功のカギです。
ミニサマリー: “担当者を味方につける”ことが成功の第一歩。
なぜ日本企業の遅い決裁が信頼を生むのか?
ハンコの数だけ、責任の共有がある。
誰もが納得し、準備が整ってから動く日本の仕組みは、確かに遅い。
しかしその分、実行段階ではブレがない。
スピードよりも安定を重視する日本型プロセスを理解すれば、長期的な信頼関係が築けます。
ミニサマリー: 日本の「遅さ」は、信頼の裏返し。
要点整理
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日本の社長は「最終決定者」ではない。
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真のキーパーソンは現場担当のtanto。
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リスク回避と合意形成が日本企業の特徴。
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トップダウンより、ボトムアップが成果を生む。
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