リーダーシップ

カップを空にせよ — リーダーが再び学ぶための「アンラーニング」の力

古い禅の話が、現代のリーダーに教えることとは?

学者・徳山(とくさん)が禅僧・竜潭(りゅうたん)を訪ねたときのこと。
竜潭が茶を注ぎ続けると、茶はカップからあふれ出しました。
驚いた徳山が「もういっぱいです」と言うと、竜潭は微笑みながら言いました。

「お前の心もいっぱいだ。そのままでは禅を理解できぬ。」

この逸話は、私たちリーダーにとっての鏡です。
私たちの“心のカップ”もまた、経験・自信・成功体験で満ちています。
だが、それが新しい学びを拒む最大の壁になるのです。

ミニサマリー: 真の知恵は、空のカップから始まる。

なぜ優秀なリーダーほど変化できないのか?

リーダーは「正しさ」で昇進してきました。
その積み重ねが「自分の判断は常に正しい」という信念を生みます。
しかし、技術革新・多様化・スピード変化の時代には、その“確信”こそが危険です。
ダーウィンが言ったように、生き残るのは「最も強い者」でも「最も賢い者」でもなく、

「最も適応できる者」です。

ミニサマリー: 昨日の正解が、今日の盲点になる。

なぜリーダーは“カップを空にする”のが難しいのか?

それは「謙虚さ」が必要だからです。
多くのリーダーは、助言を求めることを“弱さ”だと感じます。
また、自分より若く優秀な部下に脅威を感じる人もいます。
しかし、もはや一人のリーダーがすべての答えを持つ時代ではありません。
リーダーシップとは、「知っていること」よりも「学び続ける姿勢」です。

ミニサマリー: “カップを空にする”とは、プライドを好奇心に変えること。

どうすればカップを空にし、再び学べるのか?

  1. 自分のカップが満ちていると認める。 過去の成功が新しい視点を曇らせる。

  2. 反論を歓迎する。 “イエスマン”ではなく“異論”を持つ人を側に置く。

  3. 現場に耳を傾ける。 顧客やフロントラインの声が、最良の学び。

  4. 謙虚さを取り戻す。 「正しい人」でなく「学ぶ人」になれ。

  5. 問いを立てる。 答えよりも、良い質問が成長を生む。

カップを空にすることは、知識を捨てることではありません。
新しい知恵を受け入れるための「余白」をつくることです。

ミニサマリー: 真のリーダーは「知る人」ではなく「学び続ける人」。

カップを空にしないリーダーの末路

カップが満杯のままでは、新しいアイデアは入りません。
強引に走り続けるリーダーは、やがて崖に向かって全速力で進むことになります。
コロナ禍が証明したのは、変化を拒むリーダーが最も脆いということ。
今求められているのは、“速さ”ではなく“柔軟さ”。

「もう役目を終えたリーダー像」を手放す勇気が必要です。

ミニサマリー: 速く走るより、まず止まって「学び直す」。

要点整理

  • 禅の教え「カップを空にせよ」は、リーダーの成長法則。

  • 成功体験はしばしば変化の妨げになる。

  • 一人の知識より、チームの知恵が勝る時代。

  • 謙虚さと好奇心が、新しいリーダーの資質。

  • 学び続ける者だけが、未来を導ける。

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