リーダーシップ・コンピテンシー(第2回)— 「他者志向」と「戦略的思考」が成果を変える
「他者志向のリーダー」とはどんな人か?
前回のPart 1では、リーダーの基礎となる**「自己認識」と「アカウンタビリティ」を取り上げました。
今回はその次の二つの要素、「他者志向(Others-Focused)」と「戦略的思考(Strategic)」**に焦点を当てます。
「他者志向」とは、自分の成功ではなく、チーム全体の成功を追求する姿勢です。
リーダーは“個の成果”ではなく、“他者の成長”を通じて組織を前進させる存在。
ここでは、その中核を成す5つのポイントを見ていきましょう。
ミニサマリー: 真のリーダーシップは「私」ではなく「私たち」から始まる。
1. インスパイアする — 他者の心に火を灯しているか?
リーダーが「誰よりも知っている」時代は終わりました。
これからは、模範と情熱とコミュニケーションで人を動かす時代です。
部下の意欲を引き出すのは、知識ではなく姿勢です。
あなたは意識的・体系的に、人を鼓舞していますか?
ミニサマリー: カリスマではなく、一貫性が人を動かす。
2. 他者を育てる — リーダーを生み出しているか?
昔は「自分の成長は自分の責任」でしたが、今は違います。
現代のリーダーは「部下を成長させる責任」を担っています。
他者を昇進させられる人こそ、自身も昇進できる人。
リーダーを生み出すリーダーが、組織を強くします。
ミニサマリー: 最速の昇進ルートは「他者を昇進させること」。
3. ポジティブな影響力を持つ — チームを一つにしているか?
社内政治や派閥争いは、組織の毒です。
優れたリーダーは「内向きの戦い」をやめ、「外の敵」に集中します。
不満や愚痴ではなく、協力と前進の空気をつくる。
チームの雰囲気はリーダーの姿勢で決まります。
ミニサマリー: 支配ではなく信頼で影響力を築く。
4. 効果的に伝える — 「伝わる」リーダーか?
専門スキルが昇進を導くのは初期段階まで。
次のステージでは、**「伝える力」**が成否を分けます。
コミュニケーションを“ソフトスキル”と軽視する人は伸びません。
言葉で人を動かせる人が、組織を動かせる人です。
ミニサマリー: コミュニケーションは、能力と影響力をつなぐ架け橋。
5. 方向性を示す — 正しい方向に導けているか?
変化の激しい**VUCA時代(不安定・不確実・複雑・曖昧)**では、正しい方向性を常に見極めるのは困難です。
大切なのは「柔軟に軌道修正する力」。
間違いを認める謙虚さが、リーダーを進化させます。
ミニサマリー: 「確信を持ちつつ、柔軟に修正する」ことがリーダーの真価。
「戦略的リーダーシップ」とは何か?
“戦略的”とは、単に先を読むことではなく、変化を創り・問題を解決し・人を活かす力です。
以下の3つが鍵となります。
1. イノベーションを促す — チーム全体を創造的にしているか?
革新は個人の才能ではなく、チームの文化です。
一人の「天才」に頼るより、チーム全体を創造的にする。
そのためには、リーダーがアイデアを引き出す仕組みをつくることが必要です。
ミニサマリー: イノベーションは「個人技」ではなく「チーム技」。
2. 問題を解決する — 自分だけで抱え込んでいないか?
リーダーの仕事は、すべての問題を自分で解決することではありません。
部下に責任を任せ、考えさせ、成長させる。
細部に入り込みすぎるリーダーは、戦略を見失います。
ミニサマリー: 問題を解くのではなく、「解ける人」を育てよ。
3. 権限を正しく使う — 部下に任せられているか?
すべての決定を自分で下していませんか?
リーダーの成長とは、「権限を手放す勇気」。
部下に挑戦の機会を与え、失敗を“学び”に変える文化をつくることが重要です。
それが結果的に、自分の昇進への道を拓きます。
ミニサマリー: 権限を手放すほど、リーダーシップは拡がる。
要点整理
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他者志向のリーダーは、信頼・育成・共有を軸にチームを導く。
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戦略的リーダーは、イノベーション・問題解決・権限委譲で成長を加速させる。
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コミュニケーションと謙虚さが、現代のリーダーの最強スキル。
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「人を動かす人」が、最終的に結果を動かす。
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デール・カーネギー・トレーニングは1912年に米国で創設され、リーダーシップ・セールス・プレゼンテーション・エグゼクティブコーチング・DEIなどを通じて、世界中の企業を支援してきました。東京オフィスは1963年設立以来、日本企業と外資系企業の両方を支え続けています。