なぜ日本でチームを動かすのは難しいのか ― 「根回し」と4つのフォロワータイプを理解する
なぜ外国人リーダーは日本で苦戦するのか?
多くの外国人マネジャーが同じ悩みを抱えています。
会議でチーム全員が「賛成」と言ってくれたのに、数週間後には何も進んでいない。
「高い給料をもらっているのに、なぜ行動しないのか?」と嘆く声をよく聞きます。
実は、日本では会議の前に決まっているのです。
公開の場で意見を対立させることを避ける文化のため、
会議では「沈黙の賛成」が多く、真の合意ではありません。
まとめ: 「うなずき」は同意ではなく、波風を立てないための沈黙かもしれない。
「根回し(ねまわし)」とは何か?
根回しとは、会議前に関係者へ個別に意見を聞き、合意を形成するプロセスです。
事前調整を終えた上で会議を開くため、
会議は「承認の場」となり、決定後はスピーディに実行されます。
欧米では会議中に議論して決めますが、
日本では会議前に決まる。
何世代にもわたり続いてきた、日本的な合意形成の知恵です。
まとめ: 根回しは「静かな合意形成」の技術。
日本で見られる4つのフォロワータイプ
リーダーシップを発揮するには、部下のタイプを理解することが不可欠です。
① 自立型 × エンゲージ型(理想的)
自ら考え、行動し、結果を出すタイプ。最も頼れる人材です。
② 依存型 × エンゲージ型(日本に多い)
真面目に働くが、上司の指示を必要とするタイプ。
リスク回避傾向が強く、指示通りに完璧にやることが安全と考えます。
③ 依存型 × 非エンゲージ型
最低限の仕事しかしないタイプ。
年功序列の昇進制度がこのタイプを増やし、
安定はあるが、成果は上がりにくい。
④ 自立型 × 非エンゲージ型(最も危険)
能力は高いが、上司に共感しておらず、
陰で抵抗や妨害を行うこともあります。
リーダーへの不信感が彼らを離反させます。
まとめ: 「非エンゲージ型」はサボタージュの火種になる可能性がある。
日本で有効な5つのリーダーシップ・パワー
リーダーには多様な「力の源泉」があります。
① 権限パワー(Authority)
肩書と地位による指揮権。基本的な尊敬は得られるが、信頼までは難しい。
② 専門性パワー(Expertise)
最も効果的。知識と実力を見せることで、自然と尊敬を得られます。
日本人は「有能さ」を重視します。
③ 報酬パワー(Reward)
昇給・昇格・ボーナス・特別プロジェクトなどの**飴(あめ)**の力。
モチベーションを高めるために有効。
④ 模範パワー(Role Model)
リーダー自身が模範となることで、信頼と影響力を得る。
専門性と人間力を兼ね備えたリーダー像。
⑤ 強制パワー(Coercive)
**鞭(むち)**の力。チームを乱す人材に対してのみ最終手段として使用。
乱用すれば信頼を失う。
まとめ: 真のリーダーは「専門性+共感+模範」で人を動かす。
日本で成果を出すためのリーダーシップ戦略
全員を同じようにリードするのはアマチュアのやり方。
プロは人によってリーダーシップを変える。
依存型には明確な指示、自立型には信頼、
そして全員に共通するのは「敬意」と「傾聴」です。
まとめ: リーダーシップの本質は「一人ひとりに合わせる力」。
要点整理
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日本では「会議=決定の場」ではなく「確認の場」。
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根回し(事前調整)で本当の合意をつくる。
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フォロワーを4タイプに分けてアプローチを変える。
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権限よりも専門性・共感・模範の力が有効。
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一人ひとりに合わせたリーダーシップが成果を生む。
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