なぜCFO出身のCEOは苦戦するのか ― 数字より「人」を動かすスキルが足りない
CFOがCEOになる時代へ
フィナンシャル・タイムズ紙のAnjli Raval氏によると、
英FTSE100企業では3分の1のCEOがCFO出身(2019年の21%から急増)とのことです。
一見、キャリアの自然な進化のように見えますが、
調査によるとCFO出身のCEOは、他の経歴のCEOに比べて
就任初期の売上成長率が低い傾向があります。なぜでしょうか?
まとめ: CFO出身CEOは増えているが、成果は出にくい。
CFOがCEOとして苦戦する理由
最大の理由は「守りのマインドセット」です。
CFO時代の習慣として、キャッシュを守り、支出を抑え、リスクを回避する。
それが経営者になっても抜けないのです。
さらに、CFO時代に予算削減を決めたことで、
今では部下となった役員たちの反感を買っていることも多い。
野球の名言を借りれば:
「リードするのは簡単だ。ついてこさせるのが難しい。」
まとめ: 経営とは「支配」ではなく「共感による追従」を得ること。
専門スキルでは人は動かせない
CFOは分析力・正確性・財務管理に優れています。
しかし、リーダーに必要なのはそれとは別のスキル。
ビジョン、説得力、コミュニケーション、共感力です。
MBAや会計の勉強では、これらは教わりません。
そのため、多くの新CEOは「人を動かす力」にギャップを抱えています。
まとめ: 数字を読む力より、「人を読む力」が問われる。
営業チームがCFO出身CEOを信頼しない理由
CFO出身の新CEOが直面する最大の壁は「営業チームとの距離」です。
営業パーソンは独立心が強く、結果で評価される世界に生きています。
「数字を数えるだけで、顧客と闘ったことがない人」に尊敬は生まれません。
新CEOが営業チームの信頼を得るには、
顧客訪問に同行し、現場のリアルを体感することが不可欠です。
机上の数字ではなく、現場の痛みと努力を理解する。
それが営業の心を動かす唯一の道です。
まとめ: 営業を理解しないリーダーに、営業はついてこない。
CFOだけでなく、他の専門職にも共通する課題
法務・エンジニア・ITなど、専門職出身のリーダーも同じ壁に直面します。
専門領域では共通言語があり、論理的な会話で完結しますが、
経営トップになると求められるのは感情の共有と人間関係の構築です。
例えば、ある弁護士の知人。
ネットワーキングイベントに熱心に参加していますが、
会話では堅苦しく、相手を安心させる雰囲気がありません。
そのギャップこそ、専門職がリーダーになる際の典型的な課題です。
まとめ: 知識では人は動かない。温度と信頼が人を動かす。
リーダーへの転換で必要なのは「自己変革」
専門家からリーダーへと進むには、まず自分自身を変える覚悟が必要です。
エグゼクティブコーチをつけても、質問だけで答えをくれないことが多い。
だからこそ、自分から学ぶ姿勢が重要です。
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コミュニケーション力を磨く。
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自分と違うタイプの人と意識的に関わる。
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感情よりも関係構築を優先する。
誰もが自分と違う人間です。
違いを排除するのではなく、違いを活かせるリーダーになることが成功の鍵です。
まとめ: 自分を磨くことが、リーダーとしての最大の投資。
要点整理
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CFO出身CEOは増加中だが、成果が出にくい。
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守りのマインドセットと人間関係の壁が障害。
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営業・コミュニケーション・共感力が新時代の必須スキル。
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数字ではなく「人」を動かす力が経営を決める。
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自己変革なくしてリーダーシップの成功なし。
数字を超え、「人」を動かすリーダーへ。
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