Sカーブで読み解く日本のリーダー育成 ― なぜ昇進者が失速し、どう支援すべきか|デール・カーネギー東京
なぜ新任リーダーは失速するのか?
Sカーブ理論は、昇進後の人材が通る典型的な軌跡を示します。
最初は混乱し、徐々に慣れ、やがて安定。しかし、その後は成長が止まり停滞します。多くの日本企業はこの自然な現象を理解せず、「任せてみる」だけで支援を怠ります。結果として、新任リーダーは試行錯誤で疲弊し、成果を出せないまま終わってしまうのです。
ミニサマリー:
昇進=成功ではない。リーダー転換期の支援こそ、成否を分ける。
日本企業の「世代的リーダー力低下」はなぜ起きるのか?
昇進は過去の実績で決まり、「リーダー適性」は軽視されがちです。優秀な営業がマネージャーになっても、誰もリーダーのやり方を教えません。結果、前任者のやり方を模倣するだけで、悪い習慣が世代を超えて引き継がれていきます。これはまさに「リーダー力の世代的劣化」です。
ミニサマリー:
育成なき昇進は模倣を生み、進化を止める。
なぜ日本ではリーダー研修が軽視されるのか?
日本企業の問題は、コスト優先と惰性です。10人昇進すれば研修を検討しますが、1人なら「高いから不要」。経営層にはコーチを付けても、課長クラスには「頑張れ」の一言だけ。これではリーダーが育つはずがありません。
ミニサマリー:
「費用対効果」の発想が、未来のリーダーを失わせている。
放置された新任リーダーの末路
ジャーとして成果を維持。
2年目は目標が上がり、余裕を失う。
3年目には燃え尽き、評価を落とす。
会社は「本人の問題」と決めつけ、次の犠牲者を昇進させる——悪循環の完成です。
ミニサマリー:
構造の欠陥を「個人の失敗」と誤解してはいけない。
このサイクルを断ち切る方法とは?
昇進直後にリーダーシップ研修を導入することです。
デール・カーネギー東京では、異業種の新任リーダーが集い、学び合う公開クラスを提供しています。
知識とスキルを得たリーダーは、「自分でやる」から「チームで成果を出す」へと変わります。
ミニサマリー:
学びがあれば挑戦は進化に変わる。知識が試行錯誤を成功へ導く。
安定期に潜む停滞の罠
昇進3年目、仕事をこなせるようになると多くのリーダーが「快適ゾーン」に入ります。
しかしビジネスは止まりません。ここで学びを止めると、リーダーも会社も成長を止めます。
学習文化がある組織では、リーダーは常に改善と革新を模索し続けます。
ミニサマリー:
「できる」で止まるな。「学び続ける」リーダーが組織を進化させる。
日本が「OJT神話」から脱却すべき理由
OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)に頼りすぎる日本企業では、
「仕事を回す管理者」は育っても、「人を導くリーダー」は育ちません。
真のリーダーとは、方向を示し、人を動かし、能力を育てる存在です。
それは訓練によって育てることができるスキルです。
ミニサマリー:
OJTだけではリーダーは生まれない。育てる仕組みが必要だ。
要点整理
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Sカーブは昇進後の成長と停滞を可視化する。
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新任リーダーを放置すれば、世代的リーダー力が低下する。
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コスト削減の発想が育成機会を奪っている。
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知識と支援があれば、リーダーはチーム成果を出せる。
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継続的な学習文化が、企業の競争力を維持する。
昇進者を「頑張れ」で終わらせていませんか?
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デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。東京オフィスは1963年設立、日本企業と外資系企業の成長を支え続けています。