日本の責任回避文化と権限委譲 — リーダーが責任の意味を再定義すべき理由
なぜ日本では責任回避と低いエンゲージメントが根強いのか?
日本の職場では「責任を取ること」への抵抗感が強く、社員エンゲージメント調査では世界的に見ても常に最下位クラスに位置しています。
友人や家族に自社を勧めない理由の一つが、「万が一その提案がうまくいかなかったら、自分が責められるかもしれない」という恐れです。
このような心理的な不安が、リスク回避と沈黙の文化を生み出しています。
日本で長く根付く「稟議(りんぎ)制度」は、集団で意思決定を行うことで責任を分散させる仕組みです。
個人を守る一方で、所有意識(オーナーシップ)が弱まり、主体的な行動を阻む側面もあります。
ミニサマリー: 安全を優先する文化が、結果として責任感と革新性を抑え込んでいます。
権限委譲と責任感の関係とは?
リーダーにとって、権限委譲は業務負担の分散だけでなく、部下育成のための重要なスキルです。
しかし実際の現場では、「能力の高い人」ではなく「手が空いている人」に仕事を振るケースが多く見られます。
また、一部の部下は、最初の段階でわざとつまずき、上司が仕事を取り戻すのを待つという戦略的な回避行動をとることもあります。
この悪循環を断ち切るには、「単なる仕事の委譲」ではなく「責任の委譲」へと発想を転換することが必要です。
責任を持つこと自体がキャリア成長の機会であると明確に伝えることが鍵です。
ミニサマリー: 責任の伴わない委譲は単なる作業分担に過ぎない。真のリーダーは「任せる」中に成長を埋め込む。
どうすれば責任感を育てる文化をつくれるのか?
上司は、権限委譲を「負担」ではなく「成長機会」として伝える必要があります。
自ら学び、挑戦しようとする意欲のある部下を評価し、支援することで、組織全体のエンゲージメントが高まります。
責任を「成長と昇進への道」として位置づけることが、意識改革への第一歩です。
興味深いことに、欧米では「忙しい人ほど仕事をうまくこなす」とされる一方、
日本では「信頼される人」や「安定している人」に責任が与えられる傾向があります。
この違いが、文化的に責任の持ち方を大きく分けています。
ミニサマリー: 責任を「恐れ」ではなく「成長」と結びつけたとき、真のエンゲージメントが生まれる。
要点まとめ
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責任を取ることへの恐れが、日本の低いエンゲージメントの根本原因。
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稟議制度は個人を守るが、オーナーシップを弱めてしまう。
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権限委譲は「成長の機会」として伝えることが重要。
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責任を「報酬」と「信頼」と結びつけることで文化が変わる。
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