メンタルヘルスとリーダーシップ — 日本企業の採用現場に迫る新たな現実
なぜ新入社員のメンタル不調が増えているのか?
「3人連続でメンタル不調の候補者、採用費は数百万円。」これは単なる不運でしょうか、それとも新しい時代のサインでしょうか?
多くのリーダーは instinctively(本能的に)「壊れていない人を採用しよう」と考えます。長期病欠や休職のリスクを恐れるからです。
しかし、問題は見えにくく、採用後しばらくしてから表面化します。しかも多くの人材紹介契約には「試用期間(3ヶ月)を過ぎたら代替紹介義務なし」という条項があるため、企業側は損失を被ることになります。
契約内容の見直し(30日→60日評価期間)と同時に、社会全体でメンタルヘルスの「可視化」が進んでいる現実を理解する必要があります。
ミニサマリー:
偶然ではなく時代の変化。リーダーは採用制度とマインドセットの両面で進化が求められています。
これは「新しい常態」なのか?
深刻な人手不足の日本では、理想的な人材を選り好みできません。結果として、
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メンタル不調を抱える人材を受け入れてサポートする、または
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採用を見送り、既存メンバーに負担をかける。
という2択を迫られます。どちらも難しい選択ですが、避けては通れません。
ミニサマリー:
「完璧な人材」に固執する企業ほど、人手不足で崩壊します。柔軟なリーダーだけが生き残ります。
DEIはメンタルヘルスにも適用されるのか?
企業の多様性(Diversity)、公平性(Equity)、包括性(Inclusion)への関心は高まっていますが、メンタルヘルスが含まれることはまだ少数派です。
真の心理的安全性とは、「ハラスメントがない環境」ではなく、不安やうつを抱える人でも安心して働ける環境を意味します。
リーダーの役割は、厳しさをなくすことではなく、「厳しさと優しさのバランス」を取ることです。
ミニサマリー:
DEIの本質は「見えない多様性」を受け入れること。メンタルヘルスもその一部です。
上司はどのようにマインドを調整すべきか?
「叱る」「怒鳴る」「プレッシャーをかける」──以前は当たり前だった行動が、今ではパワハラと認識される時代です。
上司自身が「自分の時代はもっと厳しかった」と感じるのも無理はありません。しかし、今の若手やメンタル不調者に同じアプローチは通用しません。
心理的安全性を守ることは、結果を甘くすることではありません。尊重・傾聴・明確な期待値の提示が、現代リーダーに求められるスキルです。
ミニサマリー:
「厳しさ」は残し、「言い方」を変える。それが今の時代のリーダーシップです。
変化を拒むのは、実は上司自身ではないか?
私はよく冗談でこう言います。「日本人社員は変化が大好きです。上司・同僚・顧客・市場・組織には変わってほしい。でも自分は変わりたくない。」
しかし、本当に変化を拒んでいるのは私たち上司かもしれません。
これからの時代は、「柔軟性と共感力を備えたリーダー」こそが最も強いリーダーです。メンタルヘルス対応は“福祉”ではなく、経営スキルの新領域です。
ミニサマリー:
リーダー自身が変化を恐れないこと。それが、チームを守る最初の一歩です。
要点整理
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メンタル不調は「増加」ではなく「可視化」。リーダーが受け止める時代へ
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人材紹介契約の試用期間条項を見直し、早期発見を可能に
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DEIの範囲にメンタルヘルスを含め、心理的安全性を強化
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「厳しさ」と「思いやり」を両立できるリーダーが信頼を得る
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変化を拒む上司こそ、最大のリスク要因
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デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。東京オフィスは1963年設立、日本企業と外資系企業の成長を支え続けています。