「主張的な対話」が生み出すインクルージョン — 日本企業が多様性を実現するために
多様性の前に「インクルージョン」がある
岸田文雄首相は次のように述べています。
「年齢、性別、立場に関係なく、誰もが活躍できる社会をつくり、多様な経験や背景を持つ人々が互いに刺激し合う社会を目指します。」
多くの日本企業がこの理念に共感し、ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)の推進に力を入れています。
しかし、本当の多様性は数字ではなく、**日々の関わりの中にある「包摂(インクルージョン)」**から始まります。
問題は、意見の対立が起きたとき。
議論が感情的になると、チームの距離が広がり、信頼が失われます。
インクルージョン実現のカギは、違いを尊重しながら意見を伝える力にあります。
ミニサマリー:
多様性の出発点は「相手と対話できる力」にある。
人は対立にどう反応するのか?
人の反応には3つのタイプがあります。
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受け身型(Passive):波風を立てずに沈黙する。意見を出さず、力を発揮できない。
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攻撃型(Aggressive):自分の意見を押し通し、周囲の意見を軽視する。
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主張型(Assertive):自信と礼節を両立し、率直に意見を伝える。
理想はこの主張的(アサーティブ)な姿勢です。
控えめな人は「もう少し発言を」、強引な人は「もう少し傾聴を」。
このバランスこそ、チームの信頼を守る秘訣です。
ミニサマリー:
「主張×思いやり」がインクルージョンを生む。
感情をコントロールすることで理解が深まる
自分と違う意見を聞くと、反射的に感情が動きます。
その瞬間に言葉を返すと、後で「言いすぎた」と後悔することも。
大切なのは、一呼吸おいて考えることです。
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私は本当にどう思っているのか?
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なぜそう思うのか?その根拠は何か?
この数秒の「思考の間」が、感情的な反応を冷静な対話に変えます。
ミニサマリー:
感情のスピードを落とすことで、理解の深さが増す。
ストーリーテリングで意見の衝突を防ぐ
「でも」「しかし」で反論を始めると、相手は防御態勢に入ります。
代わりに、ストーリーで根拠を語ることで、共感と説得力を高められます。
たとえば、マーケティング予算を増やすべきかで意見が割れたとします。
「昨年12月、雪のロンドンで現地のマーケティング責任者メアリー・スミスと話をしました。
彼女のチームは広告費を増やした結果、リード数が急増し、顧客獲得コストが大幅に下がったそうです。
日本も同じようにオンライン需要が戻りつつある今、広告投資を強化することで同様の効果が期待できます。」
こう語ることで、聞き手の頭の中に「ロンドンの冬」「メアリーの表情」が浮かび、あなたの意見が具体的に伝わります。
ミニサマリー:
データで納得、ストーリーで共感。これが説得の黄金比。
ストーリーは「意見」よりも強い
意見は否定できても、体験や文脈は否定しにくいものです。
ストーリーを通じて根拠を示すことで、議論は対立から対話に変わります。
相手がより良い根拠を示せば、自分の考えを更新することもできます。
経済学者ジョン・メイナード・ケインズはこう言いました。
「情報が変われば、私は結論を変える。」
これこそがインクルーシブなコミュニケーションの本質です。
ミニサマリー:
「勝つ議論」ではなく、「成長する対話」を目指す。
要点整理
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多様性実現の基盤は「包摂(インクルージョン)」
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主張的(アサーティブ)な対話がチームの信頼を守る
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感情的反応を抑え、思考の間をつくる
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ストーリーで根拠と共感を伝える
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対話を通じて互いに学び合う文化を築く
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デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。東京オフィスは1963年設立、日本企業と外資系企業の成長を支え続けています。