「忠誠心=高い成果」ではない:日本の人材マネジメントを再考する | デール・カーネギー東京
日本の社員は、経営者と同じ“覚悟”を持っているのか?
オーナー経営者は、資産も時間も人生も事業に投じています。
一方、アメリカなどの経営幹部は高額報酬で成果を求められ、強いコミットメントが生まれます。
しかし日本では、経営層の報酬は控えめで、中小企業の多くは節税を目的に利益を出さない構造を取っています。
ここで重視されるのは「忠誠心」。
社員は長く勤め、会社への帰属意識を持ちますが、必ずしも高い成果や主体性を意味するわけではありません。
リーダーはこの違いを理解し、現実的な期待値を持つ必要があります。
ミニサマリー:
日本の忠誠心は「安定」ではあっても、「主体的な成果」ではない。
なぜ日本では“成果が出ない社員”を簡単に解雇できないのか?
日本の労働法では「人が会社に合わせる」のではなく「会社が人に合わせる」ことが求められます。
裁判所も、能力不足を理由とした解雇を認めません。
さらに少子化と完全雇用に近い状況が続き、人材の確保そのものが難しくなっています。
リーダーに突きつけられた現実は、「ある人材で最大の結果を出すしかない」ということです。
採用よりも「育成」が、経営の最重要スキルとなっています。
ミニサマリー:
日本では「人を替える」より、「人を育てる」しかない。
なぜ採用がこんなに難しくなっているのか?
日本の応募者は、謙虚すぎて自分を過小評価する傾向があります。
履歴書には、海外経験や資格など、価値の高い情報が抜け落ちていることも多いのです。
面接も不得意な人が多く、西洋のように“面接スキルで印象を操作する”文化はありません。
だからこそ、リーダーは“人材発掘の探偵”にならなければなりません。
質問力と観察力で隠れた能力を見抜き、的確なオンボーディングで潜在力を引き出すことが求められます。
ミニサマリー:
日本では「見えない才能」を発見できるリーダーが差をつける。
忠誠心があっても成果が出ない理由
忠誠心は組織を安定させますが、同時に「安心しすぎる空気」を生むこともあります。
その結果、納期を守らない、報告を忘れる、といった事例も少なくありません。
だからこそ日本のリーダーには「フォローアップ」と「規律」が不可欠です。
過剰なマイクロマネジメントは禁物ですが、日本ではむしろ“丁寧な確認”が信頼を築く手段になります。
忠誠心に頼るのではなく、行動と結果を確認する仕組みをつくりましょう。
ミニサマリー:
「任せる」だけでなく、「見守る」ことが信頼の証。
給与だけでは人は動かない:真のモチベーションとは?
給与は「当然あるべきもの」にすぎません。
ハーズバーグの研究が示すように、給与は“衛生要因”であり、動機付けにはなりません。
日本のような人手不足社会では、給与よりも「チーム・文化・共感」が重要なモチベーション源です。
チームの一員として貢献することが価値とされる日本では、
「一体感」「理解」「感謝」が社員の心を動かします。
ミニサマリー:
お金ではなく、“つながり”が人を動かす時代。
要点まとめ
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日本の忠誠心は安定を生むが、必ずしも高い成果とは一致しない
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法的・文化的に解雇が難しいため、育成と支援が鍵
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マイクロマネジメントよりも「丁寧な確認」が信頼を生む
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真のモチベーションは、給与よりも文化と共感から生まれる
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デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。東京オフィスは1963年設立、日本企業と外資系企業の成長を支え続けています。