リーダーシップ

リーダーはどこまで「秘密」を共有すべきか?透明性と信頼の新しいバランス | デール・カーネギー東京

リーダーのジレンマ:「秘密」と「透明性」

経営者や管理職は、常に「情報の最前線」にいます。経営戦略、組織再編、新規事業——。
当然、社内には口外できない情報も多く、守秘義務はリーダーの基本です。

しかし問題は「個人的なこと」です。健康、家族、離婚、再婚——。
どこまでチームに共有すべきでしょうか?
特に「沈黙の美徳」が根強い日本社会では、これは繊細なテーマです。

ミニサマリー:
企業秘密は守るべき。しかし個人の秘密は「信頼を築くための見せ方」が問われる。

「沈黙の文化」が生まれた理由

日本は長く「口を閉ざすこと」が礼儀とされてきました。
密集した社会で生きる中、他人の目を意識しながら「体裁を保つ」文化が育ちました。
結婚や出産などの喜び事さえ、結果が出るまで周囲に話さない人が多いのもそのためです。

この文化は職場にも反映され、上司も部下も「個人の事情を持ち込まない」のが一般的でした。
しかし今、働く環境も価値観も変化しています。

ミニサマリー:
「沈黙=強さ」という時代は終わりつつある。今は「理解=信頼」の時代へ。

仕事とプライベートの境界線が溶ける時代

少子高齢化、介護、共働き、健康問題——。
社員のプライベートな事情が仕事に影響する場面は増えています。
同時に、リーダー自身も「人間らしさ」を求められるようになりました。

もし上司が病気や離婚などを抱えたとき、どうすべきか?
無言を貫くべきか、それとも誠実に共有すべきか?
この判断こそ、現代のリーダーシップの新しい試金石です。

ミニサマリー:
共感されるリーダーほど、自分も「共感される存在」である。

透明性が信頼を生む

経営者が体調や会社の財務状況をオープンにすると、
社員は驚くほど冷静でプロフェッショナルに受け止めます。
隠すよりも、正しく共有する方が信頼を高めることが多いのです。

「リーダーも人間だ」と示すことは、弱さではなく成熟の証です。

ミニサマリー:
正しい情報公開は混乱を生まず、信頼を生む。

何を共有し、何を守るか?

すべてを話す必要はありません。
ポイントは「業務に影響するかどうか」。

  • 影響するなら:早めに、事実だけを伝える。

  • 影響しないなら:プライバシーを守る。

ただし、リーダーの感情やエネルギーは必ずチームに伝わります。
「今少し大変な時期なので、ご理解ください」——それだけでも十分です。

ミニサマリー:
「すべて話す」ではなく「必要なことを誠実に話す」。

“無敵の上司”から“共感のリーダー”へ

「鉄人のような上司」が尊敬された時代は終わりました。
これからは「チームの力を引き出すリーダー」が求められます。
完璧であることより、誠実であること。
沈黙より、信頼を選ぶこと。
これが令和のリーダー像です。

ミニサマリー:
リーダーシップとは、弱さを見せる勇気でチームを強くすること。

要点まとめ

  • 情報管理と人間的な透明性は両立できる

  • 日本の「沈黙文化」は見直しの時期にある

  • 健康や重要な変化は、チームの信頼維持のため共有する

  • 感情知性(EQ)がリーダーの新しい必須スキル

  • 強さではなく、誠実さが信頼を生む

「信頼されるリーダー」から「共感されるリーダー」へ。

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デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。東京オフィスは1963年設立、日本企業と外資系企業の成長を支え続けています。

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