忙しすぎるリーダーが「部下の責任」を背負ってしまう理由 | デール・カーネギー東京
「忙しい=生産的」ではない
ある土曜日、部下から休暇申請のメールを受け取りました。
その瞬間、「最近、1対1のミーティングを全然していない」と気づきました。
理由は明確——スケジュールが詰まりすぎているのです。
そのとき思い出したのが、1974年のハーバード・ビジネス・レビュー名作
「Management Time: Who’s Got The Monkey?(誰の背中にサルが乗っている?)」。
上司が部下の「責任という名のサル」を背負ってしまうという比喩は、今でも色褪せません。
ミニサマリー:
忙しさの中でリーダーは、知らないうちに「他人の責任」まで背負ってしまう。
アカウンタビリティ(説明責任)のすれ違い
上司は状況を知りたい。部下は報告を避けたい。
ミーティングがなくなれば、部下は“逃げ場”を得ます。
報告しなくても済むからです。
その一方で、上司は自分のスケジュールに追われて「面談の時間」を削ってしまう。
これこそが、責任が逆流してくる瞬間です。
ミニサマリー:
「1回のミーティング中止」で、部下の責任はあなたの背中に戻る。
「自分でやったほうが早い」の罠
部下が期待通りに動かないとき、
「自分でやった方が早い」と思った瞬間、それは“危険信号”です。
その考えが「委任の買い戻し」を引き起こし、部下の成長機会を奪います。
もともと優秀な上司ほど、効率性とスピードを優先しがち。
しかしその完璧主義こそが、組織のボトルネックになります。
ミニサマリー:
「自分でやるリーダー」は、一見強く見えて、実は組織を弱くする。
理論X・理論Yが教える上司の思考転換
ダグラス・マグレガーの理論によれば、
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理論X型上司:人は責任を避けると考える。
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理論Y型上司:人は責任を果たしたいと信じる。
多忙な上司ほどX型に偏りがちです。
「部下は上司の忙しさを利用している」と疑う代わりに、
「互いに予定が合わないだけ」と考える——これが信頼の第一歩です。
ミニサマリー:
信頼は“管理”からではなく、“理解”から生まれる。
効率的すぎて、非効率になる paradox
多くの上司が「優先順位を決めずに日々を過ごしている」と言います。
一方で、私のように「完璧なスケジューリング」が習慣化している人もいます。
しかし、効率的すぎると「人と向き合う時間」がなくなる。
リーダーシップに必要なのは「余白」です。
ミニサマリー:
“効率の追求”が“人との関係”を犠牲にしていないか?
「サル」を返すリーダーシップ
部下との面談は、単なる報告会ではなく「サルを返す場」です。
教える、質問する、考えさせる。これが本来のマネジメントです。
命令よりもコーチング、効率よりも関係構築。
これが、真の「効果的な上司」です。
ミニサマリー:
リーダーの仕事は「全部やること」ではなく、「任せて見守ること」。
要点まとめ
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忙しさは「責任逆流」を生む最大のリスク
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「自分でやったほうが早い」は危険な思考
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効率性よりも、意図的な「余白」がリーダーを強くする
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理論Yの視点で信頼と成長を育てる
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awareness(気づき)が行動変革の第一歩
仕事を「こなす」リーダーから、「育てる」リーダーへ。
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デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。東京オフィスは1963年設立、日本企業と外資系企業の成長を支え続けています。