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営業提案が通らなかった理由と次への活かし方

なぜ「他社に決めました」というメールを受け取るのか?

時間をかけて練り上げた提案が、丁寧な一通のメールで終わる。

「ご提案ありがとうございました。慎重に検討した結果、今回は他社様にお願いすることにいたしました。」

そんな瞬間、誰しも心の中でつぶやきます。
「どこで間違えたんだろう?」

会って話した。相手の反応も良かった。価格も内容も納得感があったはず。
それでも結果は「No」。
営業や人材開発の現場で働く多くの方が、この痛みを知っています。

問題は価格だったのか、それとも“価値の見え方”だったのか?

「価格が理由だったのでは?」と思うのは自然です。
実際、昨年の研修より16%高いだけ。決して極端な差ではない。
それでも、HR部門が研修を“コモディティ(代替可能商品)”と見ている場合、
一番わかりやすい判断基準は「価格」になってしまいます。

日本の研修市場では、日本企業も外資系企業も、
予算とグローバル基準の両方を求めています。
だからこそ、「差別化された価値」を明確に示すことが重要です。

ミニサマリー:
価格ではなく、価値の“見せ方”を磨く。これが本当の差別化です。

内容が合わなかったのか、それとも相手が何を求めているのか不明確だったのか?

ときに、バイヤー自身が「何を求めているのか」を明確に理解していません。
「リーダーシップ開発」「人材育成」「組織文化の変革」など、
広く曖昧なテーマで情報を集めることもあります。

その曖昧さはチャンスでもあり、リスクでもあります。

自由度が高く、創造的な提案ができる。

しかし、ゴールが動くため、すれ違いも起きやすい。

ミニサマリー:
提案前に「なぜそれが必要なのか」を一緒に明確化すること。
問題定義の精度が、提案内容の成功を左右します。

「相性」はどこまで影響するのか?

商談の場では「いい雰囲気だった」「うまくつながった」と感じることがあります。
しかし、“相性”だけで契約は決まりません。
営業職の多くは人当たりがよく、会話もスムーズ。そこに大差は生まれにくいのです。

ミニサマリー:
相性は信頼を築く要素であっても、決定要因ではありません。
最終的に評価されるのは「洞察の深さ」です。

言語や文化の違いが影響したのか?

会話は問題なく進んでも、日本では「日本語で話す安心感」が信頼につながることがあります。
言語は単なるコミュニケーションの手段ではなく、「共感の表現」でもあります。

ミニサマリー:
クロスカルチャー営業では、流暢さよりも“相手の心地よさ”が鍵。
相手の快適ゾーンに合わせて言葉を選ぶ力が大切です。

真実は——おそらく永遠にわからない

クライアントは、なぜ他社を選んだのか詳細を説明してくれません。
「他社の提案が現状の戦略により合致していた」という
礼儀正しい一文で終わるのが常です。

そのとき、最もスマートな対応はこうです。

「ご連絡ありがとうございます。次の機会にぜひご一緒できることを楽しみにしています。」

潔く受け止め、前へ進むことが、プロフェッショナルの姿勢です。

営業の心理的バランスを守る

失注は自信を揺るがせます。
しかし、営業において最も大切なのは「正確な分析」よりも「心の平衡」です。
自分にこう言い聞かせましょう。
「彼らが間違えたんだ。」

反省はしても、落ち込みすぎない。
7回転んでも8回立ち上がる——それが営業の本質です。

ミニサマリー:
失敗の分析よりも、立ち直る力を。
自信こそが営業の最大の武器です。

要点

バイヤーの決定要因は、価格ではなく「安心感」「明確さ」「価値認識」。

提案前に問題を定義する力が、受注率を左右する。

相性よりも、洞察の深さが信頼を生む。

営業で最も重要なのは「感情の回復力」。

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