日本で「コンサルティブ営業」がそのまま通用しない理由
「営業はどこでも同じ」は間違い
多くの営業担当者は、日本に来ても営業の基本は同じだと思いがちです。
確かに「相手のニーズを聞いて、それを提供する」というコンサルティブ営業は理にかなっています。
しかし日本では、買い手が本音を語らないため、この手法が機能しにくいのです。
日本のバイヤーは、過去に多くの「押し売り営業」を経験しており、「質問される=探りを入れられている」と感じてしまいます。
ミニサマリー:
日本では買い手が情報を開示しにくい。信頼を築かないまま質問を始めても効果がありません。
なぜ日本の買い手は情報を共有しないのか
欧米の買い手は合理的で、質問を「解決のための会話」と捉えます。
一方、日本では外部に内部情報を話すことが「恥」や「リスク」に感じられます。
新しい提案が失敗すれば、担当者が責任を問われ、昇進の道を閉ざす恐れもあります。
そのため、最も安全なのは何もしないことという心理が働くのです。
ミニサマリー:
日本の購買行動は「安全第一」。失敗回避が最優先です。
信頼がないと何が起こるのか
「御社の現状はいかがですか?」という質問に、西洋の顧客なら自然に答えます。
しかし日本の顧客は、まだ信頼関係ができていない相手に内部情報を明かすことを避けます。
結果として「御社のサービスを教えてください」と方向転換され、単なる製品紹介の場になってしまいます。
ミニサマリー:
信頼なしでは、営業は「的外れなプレゼン」になるだけです。
日本では「何もしない」ほうが安全と感じる理由
問題を認識していても、変化を起こすリスクを取る人は少ないのが現実です。
ある自動車販売会社の人事担当者に研修提案をしたところ、従来と同じ研修会社を選びました。
成果が出ていないと分かっていても、新しいことを避けるほうが安全だからです。
結果は変わらなくても、誰も責任を問われません。
ミニサマリー:
成果よりもリスク回避。これが多くの日本企業の購買心理です。
日本で通用するコンサルティブ営業への修正法
コンサルティブ営業は日本でも機能します。
ただし、最初に質問する許可を得るというステップが欠かせません。
手順は次の通りです:
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自分と会社の紹介をする
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何を提供しているかを簡潔に伝える
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他社での成果事例を共有する
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「御社でも同じような結果が出せるか確認したいのですが、いくつか質問してもよろしいですか?」と尋ねる
この流れを踏むと、9割以上のケースで信頼が生まれ、質問への扉が開きます。
ミニサマリー:
「質問してもいいですか?」の一言が、日本では最大の突破口になります。
「プレゼンだけしてください」と言われたら
努力しても、質問を拒む買い手は存在します。
本音では「この案件は見込みが薄い」と感じても、途中で席を立つのは日本では失礼。
最後まで丁寧に対応し、礼節を守って退出することが大切です。
そうすることで、次の機会に再び門が開く可能性もあります。
ミニサマリー:
見込みが低くても、礼儀を尽くす対応が次のチャンスを呼びます。
日本でコンサルティブ営業を成功させる鍵
日本で成功するコンサルティブ営業は、「文化的共感」から始まります。
買い手の立場を理解し、許可を得て、慎重に対話を進める。
一度信頼を得れば、日本の顧客は長期的で忠実なパートナーになります。
ミニサマリー:
文化に合わせたプロセスが成果を生みます。信頼が生まれれば、関係は長く続きます。
要点
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日本では信頼と質問許可なしにコンサルティブ営業は成立しない。
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情報開示はリスクと捉えられる。
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安全・調和が変化より優先される。
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許可を得てから質問するステップが不可欠。
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礼節と理解が日本市場での営業成功を導く。
デール・カーネギー・トレーニング東京について
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