ハイテクより“伝わる力”が勝つ — ビジネスプレゼンで最も大切なのはテクノロジーではなく話し手である
オンライン化・デジタル化が進む中、多くの日本企業・外資系企業では「高機能ツール」や「インタラクティブ機能」を使うプレゼンが増えています。しかし、テクノロジーは本当にメッセージを強化しているのでしょうか?
むしろ、聴衆の集中を奪い、話し手の存在感を弱めているケースが多いのです。
Q1. “ハイテクなプレゼン”は本当に理解を深めているのか?
ある巨大SNS企業のオンライン講演に参加した際、内部プラットフォームでの高度な演出が披露されました。
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リアルタイム理解度テスト
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正答率・速度ランキング
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インタラクティブな演出
見た目は非常に“クール”でしたが、同僚の登壇者が単調な声で話し始めた瞬間、会場の空気が一気に崩壊。
そして気づきました——
テクノロジーは話し手の弱点を補ってはくれない。
さらに後から振り返ると、華やかなツールに気を取られ、肝心の内容をほとんど覚えていませんでした。
ミニサマリー:
派手な仕掛けは「興奮」を生むが、「理解」を生まない。
Q2. なぜオンラインでは聴衆がすぐに離脱してしまうのか?
オンラインでは多くの参加者が:
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カメラをオフにし
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メールをし
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別の作業をし
「ながら参加」が当たり前です。
発表者は画面の片隅の“切手サイズ”に追いやられ、巨大なスライドに埋もれてしまいます。
さらにそこに:
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単調な声
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表情の乏しさ
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限られたジェスチャー
が加わると、メッセージは届きません。
オンラインでは 声の抑揚(ボーカルモジュレーション) が生命線です。
ミニサマリー:
オンラインでは「声」こそ最大の説得武器になる。
Q3. オンラインで存在感を最大化するには?
オンラインで“人”として存在感を出すためには:
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共有画面を最小限にする
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自分の映像を大きく映す
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スライドは必要なときだけ表示する
多少操作が面倒でも、「人の顔 > スライド」の原則が勝ちます。
ミニサマリー:
画面共有を減らすことで、あなたが主役として映る。
Q4. プレゼンで動画を使うべきか?
結論:ほとんどのケースで不要。
なぜなら:
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価値を追加しないことが多い
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「しゃべりたくない」人の逃げ道になりがち
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スピーカーの存在感を奪う
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大抵の場合、内容が退屈
動画が高品質すぎると、話し手が“二番手”に見えてしまい、逆に損です。
ミニサマリー:
動画は話し手の力を弱める場合が多く、効果は限定的。
Q5. スライドデザインはどこまで許される?
次のようなスライドは、プレゼンターの敵です:
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情報過多
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フォント祭り
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カラー乱用
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アニメーションの過剰使用
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画面に詰め込みすぎの図表
こうした要素は聴衆を混乱させ、主役であるあなたをかすませます。
ミニサマリー:
スライドは「脇役」。主役は常にあなたである。
Q6. 本当に効果的なプレゼンのために必要な姿勢とは?
最も重要なアドバイス:
「ギミックではなく、あなた自身が“見せ場”になる」こと。
つまり:
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スライドはシンプルに
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声の抑揚とエネルギーで魅了する
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テクノロジーより“人間味”を優先
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メッセージの明確さを第一に
私たちの目的は「ハイテクに見えること」ではありません。
目的は メッセージを記憶に残し、行動につなげること です。
ミニサマリー:
テクノロジーよりも、あなた自身の存在感と明快さが最も大きな武器になる。
要点整理
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ハイテク演出はしばしば集中を奪い、理解を妨げる。
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オンラインでは「声」が最大の説得力となる。
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動画や凝りすぎたスライドはプレゼンターを弱める。
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シンプルさと人間性が聴衆を最も引きつける。
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テクノロジーではなく、話し手こそがプレゼンの主役。
オンラインでも対面でも“伝わるプレゼン”をしたい方へ。
デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。東京オフィスは1963年設立、日本企業と外資系企業の成長を支え続けています。