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プレゼンテーション

日本の「動かない顧客」をどう動かすか:惰性・社内抵抗を乗り越えてリピート受注を獲得する営業術 — デール・カーネギー東京の営業研修

なぜ日本の顧客は「動かない」のか?

日本企業のバイヤーにとって、新しい提案は「チャンス」ではなく「リスク」に見えがちです。
すでに取引している仕入先がいれば、そのまま継続するのが安全。あなたの提案が新しいソリューションであれば、経験がない分だけ不安が増します。

  • 既存サプライヤー → 安全・慣れている

  • 新しいサプライヤー → 変更・調整・社内説明が必要=リスク

何もしないこと、現状維持を選ぶことが、一番楽で安全な選択肢になってしまうのです。

ミニサマリー: 日本のバイヤーは「変化=リスク」と捉えやすく、現状維持に惰性が働く。

なぜ「初回受注」ではなく「リピート受注」にフォーカスすべきか?

「この案件をとにかく決めたい」という意識が強すぎると、日本の意思決定プロセスの遅さと複雑さにイライラが募り、途中で諦めたくなります。

そこで、マインドセットをこう変えます:

  • ゴールを「最初の受注」ではなく 「継続的なリピート受注」 に設定する

  • 初回受注は「ゴール」ではなく 長期関係のスタート と捉える

こう考えることで、時間をかけて相手の社内事情に寄り添いながら進めるメンタルの余裕が生まれます。

ミニサマリー: 初回受注はスタート地点。リピート受注を見据えることで、粘り強く動ける。

なぜ営業で「スピード」が必ずしも良いとは限らないのか?

多くの国ではスピードが競争力になりますが、日本の営業ではそうとは限りません。
もし決定を急がせて失敗すれば、社内で誰かのキャリアや評価に傷がつきます。

「日本のバイヤーは、あなたのスケジュールでは動かない」 と心得るべきです。

スピードを上げたいなら、まず以下を理解する必要があります:

  • どの部署が影響を受けるのか

  • どの部署にとって負担が大きいのか

  • 部署ごとの「見えない不安・抵抗」が何か

これを理解しないまま「早く決めてください」と迫っても、逆効果です。

ミニサマリー: 日本で決定スピードを上げるには、急かすのではなく、社内リスクを減らすことが条件。

社内の「賛成派・反対派」をどうやって見つけるか?

私たちが直接会えるのは、たいてい一つの部署だけです。しかし、導入後の影響は複数部署に及びます。会ったことのない部署の判断が、案件の成否を左右することも珍しくありません。

そこで、社内をよく知るキーパーソンにこう聞きます。

「いつも貴重な情報をありがとうございます。御社にとって、当社から購入されることは新しい取り組みになると思います。きっと多くの部署に影響があるはずですが、御社のことをよくご存じの立場から見て、特にどの部署が一番影響を受けそうでしょうか?」

この質問をしたら 黙って待つ ことが重要です。
余計な説明を足さず、相手が考える時間を取ります。

ミニサマリー: 社内事情はキーパーソンから聞き出す。質問後は黙って待つのが鉄則。

キー部署の「本当の懸念」を掘り下げる質問とは?

影響を受ける部署の名前が出てきたら、次はその部署の具体的な懸念を探ります。

「ご指摘いただいた重要部署にとって、この変更は慎重に検討すべきテーマですよね。私たちは、こうした部署がまだご存じでない情報を持っていることも多く、それによって“どれだけスムーズに導入できるか”の印象が変わるケースもあります。○○部にとって、一番大きな懸念はどのような点だと思われますか?」

質問をしたら、ここでも 一言もしゃべらずに待つ

回答が出てきたら、さらに掘り下げます。

「その点を挙げてくださりありがとうございます。そのほかに、私たちが事前に解消しておいた方が良い大きな不安やハードルはありそうでしょうか?」

こうして2〜3段階掘り下げることで、最初には出てこなかった「本当のストッパー」が見えてきます。

ミニサマリー: 本当の反対理由は、2〜3回の掘り下げ質問の後にようやく出てくる。

どうすれば「摩擦の少ない変更」にできるのか?

ここまでの質問で、次の二つが見えてきます:

  • この案件を通すうえでの社内障害

  • リピート受注をスムーズに行うために必要な条件

営業側が考えるべきは、これらの「摩擦ポイント」をどう減らすかです。例えば:

  • 時間: 導入スピードを少し落とし、社内調整の時間を確保する

  • スコープ: 初回はシンプルな範囲に絞り、慣れてから機能を追加する

  • 支払条件: 予算サイクルやキャッシュフローに合わせて条件を調整する

  • パイロット: 小規模テスト導入で、関係部署に実感と安心感を持ってもらう

パイロットで「問題なく回る」ことが確認できれば、その後の本格導入やリピート注文のハードルは一気に下がります。

ミニサマリー: 時間・範囲・条件・パイロットを設計し直し、「リスクの低い変更」に変えることがカギ。

日本で信頼される営業パートナーと「普通の営業」を分けるものは何か?

私たちは皆、「知らない天使」より「知っている悪魔」を選びがちです。営業の場面では、あなたはまさに「知らない天使」です。

信頼される営業になるには:

  • 顧客が社内で何を乗り越えなければならないかを理解する

  • そのプロセスを安全に進められるように支援する

  • 的確でよく練られた質問を投げかける

  • 近道を探さず、時間と手間をかける覚悟を持つ

リピート受注を生み出す関係は、一気にはできません。
信頼と社内理解を積み重ねることで初めて実現します。

ミニサマリー: 日本で長期的な売上をつくる営業は、「早く売る人」ではなく「変化を安全に導くパートナー」である。

要点整理

  • 日本のバイヤーは、変化ではなく安定を優先しやすい。

  • ゴールは「初回受注」ではなく「リピート受注」と捉える。

  • キーパーソンを通じて、社内の賛成派・反対派とその懸念を把握する。

  • 掘り下げ質問と沈黙を使って、真のハードルを見つける。

  • 時間・スコープ・支払条件・パイロットを工夫し、「摩擦の少ない変更」を設計する。

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デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。東京オフィスは1963年設立、日本企業と外資系企業の成長を支え続けています。

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