安倍晋三元首相に学ぶ「伝えるリーダー」の条件 — デール・カーネギー東京
なぜ日本の政治家やビジネスリーダーのスピーチは“退屈”になりがちなのか?
日本の政治家や経営者は、人前で話す機会が多いにもかかわらず、聴衆を惹きつけるスピーチが少ないと言われます。多くの場合、原稿を読み上げ、単調なトーンで、聴衆に語りかけるというより「情報を投げつけている」だけに見えてしまいます。
安倍晋三元首相も、かつてはその典型でした。しかし、オリンピック招致をはじめとする重要な場を経て、スピーチ力を大きく伸ばし、「伝えるリーダー」に変わっていきました。
ミニサマリー: 日本のスピーチ文化は退屈になりがちだが、変わることは十分可能である。
安倍元首相はスピーチ面で何が変わったのか?
初期の安倍元首相のスピーチは、木の板のように硬く、抑揚も感情もほとんど見えませんでした。しかしその後、
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ジェスチャーが大きくなり、動きが出た
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アイコンタクトが増えた
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手元の原稿ではなく、透過型プロンプターを使うようになった
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間の取り方や声の強弱がつき、抑揚が出てきた
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ユーモアや人間味のある表現が増えた
といった変化が見られました。これは「場数」だけでなく、意図的なトレーニングと意識の変化があったことを示唆しています。
ミニサマリー: 安倍氏の変化は、「トップリーダーでも話し方は鍛えられる」ことを証明している。
「日本流の話し方だから」で本当に通用するのか?
プレゼンテーション研修でよく聞く言い訳があります。
「これは日本流のプレゼンだから、抑えめで良いのです」。
しかし、聴衆の立場からすれば、
「分かりやすいか」「印象に残るか」「説得力があるか」
という基準は世界共通です。
退屈で伝わらないスピーチが、「日本流だから仕方ない」という理屈で許されることはありません。良いものは良い、悪いものは悪い。これは文化の問題ではなく、プロとしてのクオリティの問題です。
ミニサマリー: 「日本流」という言葉は、プロとしての改善努力を避けるための逃げ道になりやすい。
なぜステージ上では、日常より“盛った自分”でいる必要があるのか?
日本の社会では、控えめ・謙虚・目立たないことが美徳とされる場面が多くあります。しかし、人前で話すときは、まったく別の役割を担っています。
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声は日常よりも大きく、はっきりと
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表情やジェスチャーは、少しオーバーなくらいでちょうど良い
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自信と熱量を、あえて前に出す
小さな声の人にボリュームアップをお願いすると「叫んでいるように感じます」とよく言われますが、聴衆に聞いてみると「ちょうど良い」「むしろ信頼感が増した」という反応がほとんどです。
ミニサマリー: 日常の自分ではなく、「人前で伝える役割の自分」が求められる。
なぜストーリーテリングが、政治にもビジネスにも欠かせないのか?
日本の政治家の多くは、データや政策論だけを並べがちです。しかし、人は数字ではなくストーリーで記憶します。
効果的なストーリーテリングでは:
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場所・時間・登場人物を明確にする
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その場の空気が見えるように描写する
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背景にある課題・対立・チャンスを織り込む
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最後に「だからこそ、こうすべきだ」という提案とメリットにつなげる
この構造で語られたメッセージは、単なる説明ではなく「印象に残る説得」になります。
ミニサマリー: ストーリーは、メッセージに文脈・証拠・熱量を与える最強のフォーマットである。
企業リーダーは、安倍元首相から何を学ぶべきか?
安倍元首相のスピーチの変化から、企業リーダーが学べるポイントは数多くあります。
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話し方は、地位や肩書きに関係なく鍛えられる
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原稿読みからの脱却は、聴衆との距離を一気に縮める
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ジェスチャー・アイコンタクト・間・ユーモアは、権威を弱めるのではなく、人間味として信頼を強める
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データだけでなく、ストーリーを使うことでメッセージが記憶に残る
つまり、「情報を説明する人」から「人を動かすリーダー」への転換が求められているのです。
ミニサマリー: リーダーシップには、意思決定能力だけでなく「伝える力」が不可欠である。
要点整理
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日本のスピーチ文化は改善の余地が大きく、トップリーダーでも話し方は変えられる
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「日本流だから」という言い訳は、プロとしての成長を妨げる
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ステージ上では、日常よりもエネルギーと存在感を“盛る”必要がある
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ストーリーテリングは、政治にもビジネスにも通用する普遍的な説得技術である
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安倍元首相の変化は、すべてのリーダーに「伝える力を磨く価値」を示している
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