プレゼンテーション

プレゼンをスライド中心で作るのをやめるべき理由 ― 核心メッセージとストーリーこそが効果を生む

なぜスライドから準備を始めると、説得力が弱まるのか?

講演依頼を受け、日程が決まり、準備が始まる——多くの人が最初にやるのは「過去スライドの大捜索」です。

  • 過去の資料をつなぎ合わせる

  • 使えそうなスライドを寄せ集める

  • 新しいネタをスライド化する

  • 取捨選択で悩み、膨れ上がった資料を削る

……この“スライド先行型”は、実は最悪のスタートです。
これでは「メッセージ」ではなく「寄せ集めパッチワーク」にしかなりません。

ミニサマリー: スライドから作り始めると、話の軸がブレる。

スライドより先に決めるべきは、たった一つの核心メッセージ

まず自分に問うべきは:

「今日の聴衆に何を“知ってほしい / 信じてほしい”のか?」

1つだけ。
これが全ての基準になります。

しかし、ここで迷うのは自然です。複数のメッセージが魅力的に思えるからです。
そこで重要になるのが “聴衆の理解” です。

  • どんな業界や会社が来るのか

  • その人たちは何を求めているのか

  • 何に不安を抱き、何に価値を感じるのか

  • どのメッセージが最も刺さるのか

これが決まって初めて、説得力のある核心メッセージが決まります。

ミニサマリー: 聴衆が分からなければ、正しいメッセージも決められない。

なぜ“データ中心”では刺さらず、“ストーリー中心”が必要なのか?

データは生の材料。
文脈がなければ意味を持ちません。

ストーリーは、この生データに:

  • 文脈

  • 感情

  • 色彩

  • 価値

  • 記憶に残る要素

を加えてくれます。

たとえば「300ヘクタール」と言われてもピンときません。
しかし「530個のサッカー場分」と言えば一発でイメージできます。

人は“数字”ではなく“人の経験”に共感する生き物です。

ミニサマリー: ストーリーがデータに命を吹き込む。

ストーリーは、スピーカー自身の存在感を最大化する武器

特にオンライン会議では、スライドを共有した瞬間、登壇者は画面の右上に小さく縮みます。
これは致命的です。

ある女性経営幹部のコーチングでは、彼女がグローバル昇進を狙う重要プレゼンを控えていました。
そこで私は、スライドを削るか、ほぼ使わないよう提案しました。

スライドを減らすと:

  • カメラ目線で話せる

  • 画面全体を自分が占有できる

  • 顔の表情と声で説得できる

  • エグゼクティブとしての存在感が跳ね上がる

ストーリーは、聴衆の“脳内スクリーン”に映像を生むため、スライドより強力です。

ミニサマリー: スライドは登壇者を小さくし、ストーリーは登壇者を大きくする。

スライドなしでも、どうやって鮮明なストーリーを描くのか?

コツは「言葉で絵を描く」こと。

  • いつ?

  • どこで?

  • どんな場面?

  • どんな人物?

たとえば:

「3年前、ニューヨークに大雪が降った日のことです。ロックフェラーセンター前で、厚手のコートと長いマフラーを身に着けたウォーレン・バフェットに出会って……」

多くの聴衆は、ロックフェラーセンターもウォーレン・バフェットも知っています。
だから頭の中に鮮明な映像が浮かぶのです。

ミニサマリー: うまいストーリーは、聴衆の脳内にスライドを自動生成する。

スライドは「写真1枚」だけで十分なことが多い

良いスライド:

  • 写真1枚

  • テキストなし

  • イメージの象徴性を話し手が説明

悪いスライド:

  • 文字だらけ

  • データだらけ

  • 表やグラフてんこ盛り

  • スピーカーの存在を消す

スライドは“補助”であり、“主役”ではありません。

ミニサマリー: 理想のスライドは、1秒で理解できるもので十分。

要点整理

  • スライド先行の準備はプレゼンの質を下げる

  • 最初に決めるべきは、たった一つの核心メッセージ

  • 聴衆分析がメッセージ決定の鍵

  • ストーリーはデータに文脈・感情・説得力を与える

  • スライドを減らすほど、話し手の存在感が増す

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デール・カーネギー・トレーニングは1912年創立以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチングを通じて、世界中の企業と個人の成長を支援してきました。東京オフィスは1963年設立、日本企業・外資系企業の成長を60年以上支え続けています。

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