プレゼンテーション

ビジネスプレゼンでどこまで「自分の意見」を出すべきか?— 争点とブランドの境界線を決める

宗教と政治はNGとして、それ以外の“意見”はどうする?

ビジネスの場では、宗教と政治の話題は避ける——これは一般的なルールです。
では、次のようなテーマはどうでしょうか。

  • 規制や政策に対する見解

  • 業界トレンドの予測

  • マーケティングや品質管理に関する意見

  • 自社商品のベネフィットに対する強い主張

プレゼンやコンテンツ発信の中で、自分の視点(POV)をどこまで出すべきか?
これは、ブランド戦略と直結する重要なテーマです。

ミニサマリー: 意見を持つこと自体は問題ではない。“どこまで出すか”を決める必要がある。

なぜビジネスでは「明確な視点」が武器になるのか?

ほとんどの中小企業は、市場から見えにくい存在です。
大企業のような広告予算も、圧倒的な露出もありません。

その中で存在感を出すために、多くの会社が:

  • セミナー・カンファレンスでのプレゼン

  • メディア取材やコメント発信

  • ポッドキャスト・動画・ブログ

  • SNSでのコンテンツマーケティング

を活用しています。

このとき、「どこにでもある当たり障りのない内容」では、記憶にも残らず、紹介もされません。
はっきりした視点・意見があるからこそ、

  • 思い出してもらえる

  • 引用される

  • 「あの人に相談しよう」と思い出してもらえる

という効果が生まれます。

ミニサマリー: リスクを恐れて無難になりすぎると、市場から“見えない存在”になってしまう。

どこまで尖るか?「コンテンドの度合い」を決める

狙って炎上するような発信をする必要はありませんが、あえて逆張りや強い主張をすることで:

  • メディアに取り上げられる

  • 「賛否はあっても忘れられない存在」になる

  • 業界内でポジションを確立できる

という戦略を取る起業家もいます。

一方で、会社や立場によっては:

  • 波風を立てたくない

  • 政治・行政・業界団体との関係を悪化させたくない

  • 社内的に慎重な姿勢が求められている

という事情もあります。

ミニサマリー: どれくらい尖るかは、「狙うポジション」と「許容できるリスク」の計算で決めるべきテーマ。

自分の専門領域では、むしろ「強いPOV」が必要

毎週5本のオピニオン系ポッドキャストを出し、
1,000本以上の動画、複数の書籍、数多くのセミナーや講演で、
リーダーシップ・営業・コミュニケーション・プレゼンについて意見を発信している——。

このようなスタイルは、一見するとリスキーにも見えますが、専門領域が明確で一貫している限り、むしろ強い武器になります。

  • 「良いリーダーシップとは何か」

  • 「日本の営業でよくある誤解」

  • 「伝わるプレゼンと伝わらないプレゼンの決定的な違い」

など、自分の専門分野に関しては、はっきりとした意見を持ち、言語化していくことが求められます。

ミニサマリー: 自分の“専門領域”に関しては、明確なPOVがあって初めてプロとして認められる。

「触れない」と決めるテーマもあっていい

たとえば、次のようなテーマはどうでしょうか。

  • 政府のコロナ対策

  • 入国規制や入管行政

  • 経済政策への賛否

これらは感情的な対立も招きやすく、
自分の専門領域(例:リーダーシップやプレゼン技術)からも外れている場合、
あえて発信しないという判断は十分に合理的です。

さらに、移住者・外国人としてその国に暮らしている場合、

  • ビザ更新

  • 行政との関係

  • 不要な摩擦のリスク

といった現実的な要因も考慮する必要があります。

一方で、政治家のスピーチ技術そのものは、プレゼンの題材として扱うことができます。

  • 元首相の話し方や構成力を分析

  • プレゼンターとしての強み・弱みを指摘

  • 政策内容には踏み込まない

という線引きが可能です。

ミニサマリー: 「何を話すか」だけでなく、「何をあえて話さないか」も戦略。

ブランドとの整合性は取れているか?

たとえば、「人間関係・コミュニケーション・リーダーシップ」を扱うトレーニング会社の社長が、日頃から過激な政治的発言をしていたら、どう感じるでしょうか?

  • 一貫性がない

  • 安心して学べない

  • 顧客企業から敬遠される

といったリスクが高まります。

人と人との信頼関係を扱うビジネスであれば、
「争点を避け、誰にとっても安心な場を提供する」という立ち位置は、むしろ自然で“本物らしい”ポジショニングです。

ミニサマリー: どんな意見を表に出すかは、自社ブランドの“らしさ”と整合している必要がある。

あなた自身の「POVルール」を決めるための問い

発信やプレゼンを行う前に、次の問いを自分に投げかけてみてください。

  1. 自分の専門領域はどこまでか?

  2. どのテーマは、専門外・ブランド外としてあえて扱わないか?

  3. どの程度の“尖り方”までなら、自分と会社で許容できるか?

  4. この意見は、顧客や聴衆の思考を深めるか、それとも分断を生むだけか?

  5. 発信後に想定されるプラスとマイナスは何か?

これを事前に整理しておくことで、
「勢いで言ってしまった」「書いてから後悔した」というリスクを大幅に下げられます。

ミニサマリー: 先に「自分のルール」を決めておくことが、ブランド防衛と発信力強化の両方につながる。

要点整理

  • 宗教・政治以外でも、ビジネスに関するPOVの出し方は戦略が必要

  • 中小企業こそ、明確な視点・意見が差別化要因になる

  • 尖り方の度合いは、ブランド・リスク許容度・立場で決めるべき

  • 「話さないテーマ」を明確に決めることも重要な戦略

  • 自社ブランドと整合したPOVを発信すれば、信頼と存在感が同時に高まる

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デール・カーネギー・トレーニングは1912年創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなどの分野で、世界中の企業と個人の成長を支援してきました。東京オフィスは1963年設立以来、日本企業および外資系企業のマネジメント・リーダー育成を支え続けています。

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