ビジネスイベントで「講演者紹介」をプロのレベルで行う方法 — TIQSモデルで差をつける
日本企業・外資系企業を問わず、イベントやセミナーでは必ず「講演者紹介」があります。ところが、このパートをきちんと設計しているケースは意外なほど少ないのが現実です。
モゴモゴと原稿を読むだけ、紹介文を勝手にアレンジする…。それでは講演者のブランドも、自社のブランドも、自分自身のブランドも傷つけてしまいます。
Q1. なぜ講演者紹介はそれほど重要なのか?
講演者紹介の一瞬でも、次の3つが同時に評価されています。
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講演者:信頼できる専門家に見えるか
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主催者(組織):プロフェッショナルに見えるか
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紹介する本人(MC):仕事ができる人に見えるか
時間は短くても、聴衆はしっかり見ています。
逆に言えば、ここを押さえるだけで「この人はできる」と印象づけることができます。
ミニサマリー:
講演者紹介は、講演者・主催者・MCの三者のブランドが同時にかかっている重要パート。
Q2. 多くのMCがやってしまう典型的な失敗は?
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原稿を ボソボソと読み上げる
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講演者が用意した紹介文を無視して アドリブで話す
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経歴の重要な部分を飛ばしたり、順番を入れ替える
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年月や役職を間違える
講演者からすると、せっかく自分の信頼性を高めるために書いた紹介文が台無しになります。
これは講演者に対しても、聴衆に対しても失礼です。
ミニサマリー:
紹介文を軽く扱うことは、講演者・聴衆・イベントすべてに対する「見えない失礼」になる。
Q3. MCは講演者紹介で何を果たすべきか?
MCの役割はシンプルですが、非常に重要です。
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会場のざわつきを静め、聴衆の注意を前に向ける
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テーマと講演者への期待感を高める
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スムーズに主役である講演者につなぐ
逆にやってはいけないのは:
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自分が講演の内容を詳しく話し始める
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MCなのに「ほぼ講演者」状態になる
短く・分かりやすく・聴衆の興味を引く。
これがMCに求められる紹介の役割です。
ミニサマリー:
MCは「橋渡し役」。主役を食うことなく、スマートに講演者へつなぐのが仕事。
Q4. プロフェッショナルな講演者紹介をするには?TIQSモデル
講演者紹介は TIQSモデル を使うと簡潔に組み立てられます。
1. T — Topic(トピック)
まずは 講演タイトル・テーマ を明確に伝えます。
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参加者に「今日は何の話だったか」を再認識してもらう
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当日参加や、告知から時間が経っている人の頭をリセットする
例:
「本日のテーマは『不確実な時代のリーダーシップ』です。」
2. I — Importance(重要性)
続いて、そのテーマが なぜ自分たちにとって重要か を一言で示します。
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参加している意味を再確認させる
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主催者が「価値ある場を提供している」と伝える
例:
「変化のスピードが速い今、組織を率いる私たちにとって、まさにタイムリーなテーマです。」
3. Q — Qualifications(資格・経歴)
ここで、講演者の 経歴・実績 を紹介します。
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事前に講演者が用意した紹介文を、基本そのまま使う
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不明点があれば前もって確認する
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紹介文がない場合は、最低限の情報を事前にリサーチする
聴衆の頭の中には常に、
「なぜこの人の話を聞く価値があるのか?」
という問いがあります。ここでそれに答えます。
例:
「本日の講演者は、20年以上にわたり日本と海外で組織変革をリードしてこられました。」
4. S — Speaker Name(講演者名)
最後に、満を持して講演者の名前を出します。
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ここまでに期待感を高めておく
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名前を述べるタイミングで拍手に誘導する
例:
「それでは皆さま、大きな拍手で本日の講演者、グレッグ・ストーリー氏をお迎えください。」
自ら拍手を始めることで、聴衆も合わせやすくなります。
ミニサマリー:
TIQS(Topic, Importance, Qualifications, Speaker Name)で、短く・分かりやすく・格調高い紹介ができる。
Q5. 自分を紹介する人がいない場合はどうすればよいか?
MCがいない、あるいは自分で自分を紹介しなければならない場合も、考え方は同じです。
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自分の 名前 と 所属・役職 を名乗る
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今日の テーマ を短く伝える
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なぜ自分がこのテーマについて話すのか、簡単な経歴・実績 を添える
長くなりすぎずに、「この人の話を聞く理由」が明確になれば十分です。
ミニサマリー:
自己紹介でも、TIQSの考え方を応用し、短く・要点を押さえて伝えることが大切。
要点整理
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講演者紹介は、講演者・主催者・MCのブランドを同時に映し出す重要な時間。
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紹介文を軽視したアドリブや冗長な話は、イベントのプロフェッショナリズムを損なう。
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TIQSモデル(Topic, Importance, Qualifications, Speaker Name)で、誰でも高いレベルの紹介ができる。
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自己紹介も同じ考え方で設計すれば、プレゼン全体の印象が大きく向上する。
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