プレゼンテーション

人を「動かす」プレゼンの魔法の型 — Magic Formulaで行動を引き出す方法

「あの人たち、もっと変わってほしい」「現場に動いてほしい」——
経営者・管理職はいつもそう考えていますが、実際に人を行動させること は驚くほど難しいものです。
私たちは「変わるべきだ」とは言うものの、自分が変わるのは好きではありません。では、どうすれば本当に人を「動かす」ことができるのでしょうか。

Q1. なぜ人に行動してもらうのはこんなに難しいのか?

人は習慣の生き物です。腕時計を反対の腕につける、腕組みの上下を逆にする、そんな小さな変化ですら違和感があります。

つまり、リーダーが

  • 新しいやり方を導入したい

  • 行動やマインドセットを変えてほしい

と願うとき、それは 長年の習慣と感情の心地よさに挑む行為 になります。

論理だけでは不十分で、感情が動かないと人は動きません

ミニサマリー:
人は感情で動き、論理で正当化する。だから感情に届く構造が必要。

Q2. 行動を促すプレゼンを設計するとき、最初にやるべきことは?

まず決めるべきは:

「相手にどんな具体的な行動をとってほしいのか?」

この行動は:

  • 誰が聞いても分かりやすく

  • 「これならできそうだ」と思えるレベルで

  • ゴールがはっきりしている

必要があります。
面倒くさそう・複雑そうに聞こえた瞬間、人は心の中で「やらない」を選びます。

ミニサマリー:
行動が曖昧だと、行動は起きない。シンプルで具体的な1つの行動に絞る。

Q3. どうすれば「やってみよう」と思えるほど魅力的にできるのか?

人は常に 「自分にとってのメリットは何か?」 で判断します。

したがって:

  • 行動の先にある 明確なメリット を示す

  • そのメリットが、かける労力に見合うだけの価値を持つこと

  • 「今のまま」を続けるより、明らかに得だと感じられること

が重要です。

ミニサマリー:
メリットが弱いと、現状維持が勝つ。行動の見返りを具体的に示す。

Q4. なぜいきなり「やりましょう」と言ってはいけないのか?

冒頭から「これをやってください」と言われると、人は反射的に抵抗します。

  • 命令されている気がする

  • 自分で決めていないので納得感がない

  • 「本当に必要か?」と頭の中で反論が始まる

だからこそ、最初に必要なのは 命令ではなく「背景と文脈」 です。
ここで力を発揮するのがストーリーテリングです。

ミニサマリー:
命令は反発を生む。文脈とストーリーは共感を生む。

Q5. Magic Formulaとは何か?人を動かす3ステップ構造

Magic Formula は、行動を引き出すためのシンプルな3ステップです。

  1. Incident(出来事・エピソード)

  2. Action(行動)

  3. Benefit(メリット)

1. Incident(出来事)

まずは、なぜその行動が大事だと思うようになったのか、その「背景となる出来事」を語ります。

  • 誰が(人物)

  • どこで(場所)

  • いつ(時間・季節)

  • どんな状況で

といった要素を盛り込んで、聴き手の頭の中に映像が浮かぶように話します。

2. Action(行動)

次に、聴き手に取ってほしい 具体的な行動 を一つだけ提示します。

3. Benefit(メリット)

最後に、その行動をとることで得られる 一番大きなメリット を明確に伝えます。

設計するとき は「行動 → メリット → 出来事」の順に考え、
話すとき は「出来事 → 行動 → メリット」の順に話します。

ミニサマリー:
設計はゴールから、話すときはストーリーから。これがMagic Formulaの肝。

Q6. なぜ行動は1つ、メリットも1つに絞るべきなのか?

  • 行動が複数あると、聴き手のフォーカスが分散する

  • メリットを並べすぎると、一つひとつの印象が薄まる

そのため:

  • 行動は1つだけ

  • メリットも一番強いものに絞る

ことが、行動につなげるうえで最も効果的です。

ミニサマリー:
「これだけやればいい」「これが一番のメリット」——このシンプルさが行動を生む。

Q7. なぜMagic Formulaは反対されにくいのか?

普通は、いきなりアイデアや提案を出すと、その場は 「批評モード」 になります。

  • 「うちでは無理だ」

  • 「前もやってダメだった」

  • 「自分のやり方のほうがいい」

Magic Formulaでは、最初に「出来事(Incident)」から始めるため、聴き手は:

  • 一緒に状況をイメージし

  • 問題点や課題を自分なりに整理し

  • 自然と「こうした方がいいのでは」と考え始めます

その結果、こちらが「行動」を提示するころには、
すでに聴き手の頭の中で同じ結論が生まれている ことが多いのです。

ミニサマリー:
人は自分で出した結論には反対しない。Magic Formulaはその心理を味方につける構造。

要点整理

  • 人を動かすには、論理だけでなく「感情」と「習慣」の壁を理解する必要がある。

  • 最初に「取ってほしい行動」と「一番のメリット」を1つずつ決める。

  • Magic Formula(出来事 → 行動 → メリット)で語ると、相手は自分で結論にたどり着く。

  • 命令ではなく、文脈とストーリーから入ることで抵抗感を最小化できる。

👉デール・カーネギー・東京に無料相談をお申し込みください。

デール・カーネギー東京では、日本企業・外資系企業のリーダー・マネジャー向けに、Magic Formulaをはじめとするストーリーテリング技術を使って、「人を本気で動かすプレゼンテーション」と「行動を引き出すコミュニケーション」を習得する研修を提供しています。


デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。東京オフィスは1963年設立、日本企業と外資系企業の成長を支え続けています。

関連ページ

デール・カーネギー・東京・ジャパンでは、最新情報やビジネス・職場・プライベートの課題を解決する
重要なテクニックなどをご紹介するメールマガジンを配信しています。