プレゼンの「本論(メインボディ)」をどう設計するか — 構成・ストーリー・フックで聴衆を最後まで引きつける方法
なぜプレゼン設計は「終わり → 本論 → 冒頭」の順番が正しいのか?
多くのビジネスパーソンは、
「オープニング → スライド作成 → クロージング」
の順でプレゼンを組み立てます。
しかし、本来は:
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クロージングから決める — 聴衆に一番伝えたい「核メッセージ」を定義
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本論を設計する — そのメッセージを支える3〜5の強い論点を構築
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最後にオープニング — 注意を一気に引きつける導入を作る
30〜40分のプレゼンで展開できるのは、現実的には 3〜5ポイント。
本論は「重たい仕事」を担う部分だからこそ、最初に設計の軸をしっかり決める必要があります。
ミニサマリー: まず「何を一番残したいか」を決め、そのために本論を逆算設計する。
本論は、聴衆に対して何を達成すべきパートなのか?
プレゼンの本論には、次の3つの役割があります:
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最も強い論拠だけを選び抜いて提示する
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「ダイヤモンド」のような重要ポイントを埋もれさせない
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聴衆が「考えなくても分かる」くらい分かりやすくする
情報を詰め込みすぎると、本当に価値のあるポイントが「泥の中の宝石」のように見えなくなります。
むしろ、最も強い証拠を前面に出し、分かりやすく見せる ことが重要です。
ミニサマリー: 本論は「一番いいところ」を見えやすく配置するパートである。
本論に入れる論点は何個が適切なのか?
現代の聴衆の集中力は、年々短くなっています。
日本企業・外資系企業を問わず、忙しい管理職・経営層に向けて話すときほど、シンプルさが武器になります。
目安として:
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30〜40分 → 3〜5つの主要ポイント(章)
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各章には強い証拠と印象的なフックを仕込む
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10個以上のポイントは「ほぼ記憶に残らない」と考える
ミニサマリー: たくさん話すより、「少なく深く」の方が伝わる。
なぜ本論に「ストーリー」が不可欠なのか?
数字や事実は大切ですが、それだけでは人は動きません。
記憶に残るのは常に ストーリー です。
本論を記憶に残るものにするポイント:
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データを「物語」に変換する(誰が・どこで・いつ・何をしたか)
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聴衆にとってなじみのある場所・業界・シーンを舞台にする
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頭の中に映像として浮かぶレベルまで描写する
私たちの聴衆は、日常的に映画・ドラマ・動画コンテンツなど「プロの物語づくり」を浴びています。
そこに 退屈な数字の羅列 で勝負しても、ブランドはむしろ傷つきます。
ミニサマリー: データはストーリーに変換して初めて聴衆の心に届く。
本論の「章」と「章」のつながりはどう設計すべきか?
理想的な本論は、よくできた小説のように:
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各章が論理的に次の章へとつながり
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常に「今どこにいて、どこへ向かっているか」が分かり
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話の流れが自然で、聴衆が迷子にならない
章と章のつながりがぎこちないと、聴衆はついていくのをやめ、
静かにスマホの世界へ退避してしまいます。
ミニサマリー: スムーズな章構成が、聴衆を最後まで「同じ旅」に連れていく。
本論で「フック」はどのように機能するのか?
フックとは、聴衆の注意を一気に引き戻す 強い一文・一言 のことです。
例:
「1,000万ドルを失ったことが、ビジネスで受けた最高の教育でした。」
この一文を聞いた瞬間、聴衆はこう思います:
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何があったのか?
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なぜそんな大金を失ったのか?
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どんな学びがあったのか?
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今はどうなっているのか?
つまり、「続きを聞かざるを得ない状態」が生まれます。
有効な設計としては:
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各章の冒頭にフックを仕込む
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章ごとにエネルギーの高低をつけ、一本調子にしない
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フックは「たまたま」ではなく、意図的に設計する
ミニサマリー: フックは、聴衆の注意をリセットし、「次を聞きたい」という欲求を生み出す装置。
「読まれるだけの本論」と「記憶に残る本論」の違いは何か?
本論が次のような状態だと、せっかくの機会が台無しになります:
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箇条書きの羅列
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貿易統計・業界データだけのスピーチ
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ストーリーゼロの情報読み上げ
かつての外交スピーチのように、数字だけを並べた原稿は、
どれだけ内容が重要でも「聞かれた瞬間から忘れられていく運命」にあります。
一方で、同じデータでも:
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人物
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文脈
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エピソード
と結びつければ、ビジネスリーダーの心に強く残ります。
ミニサマリー: 本論の設計次第で、「内容の価値」と「伝わり方の価値」は大きく変わる。
どうすれば本論で最後まで聴衆を引きつけ続けられるのか?
すでにオープニングで注意はつかんでいます。
そこからが本当の勝負です。
本論でやるべきことは:
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内容を明確な「章」に分ける
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各章の冒頭にフックを置き、興味を再点火する
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データはストーリーに変換して語る
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強い証拠を章の前半に配置する
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ペースとテンションにメリハリをつける
こうした設計ができれば、聴衆はスマホに逃げず、
「次は何が出てくるのか?」と前のめりになります。
ミニサマリー: 設計された本論は、オープニングでつかんだ注意を最後まで維持する装置である。
要点整理
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プレゼン設計は「クロージング → 本論 → オープニング」の順が効果的。
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本論では3〜5の強いポイントに絞り、証拠とストーリーで深掘りする。
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フックとストーリーがない本論は、どれだけ内容が良くても忘れられる。
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オープニングでつかんだ注意を、本論の構成と演出で最後まで維持することが重要。
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デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。東京オフィスは1963年設立、日本企業と外資系企業の成長を支え続けています。