プレゼンテーション

初対面の聴衆とのラポールを築く12の方法 — 日本企業・外資系企業のプレゼンテーション研修ガイド

セミナー、商工会議所のイベント、業界カンファレンス…。
目の前にいるのは、ほとんどが 「初対面の人たち」
彼らは心の中でこう思っています。
「この時間は自分にとって価値があるのか? このスピーカーは信頼できるのか?」

日本企業・外資系企業の管理職・リーダーが、初対面の聴衆と素早くラポール(信頼関係)を築くための12の実践ポイント を整理します。

1. なぜ「本日はお招きいただきありがとうございます」から始めてはいけないのか?

よくある冒頭の一言:
「本日はこのような素晴らしい場にお招きいただき、誠にありがとうございます。」

丁寧ではありますが、インパクトがなく、記憶にも残りません。

代わりにやるべきこと

  • 聴衆の注意を一気に引きつける「オープニング」を先に設計する

    • 質問、ショッキングなデータ、短いストーリー、問題提起 など

  • そのあとで、主催者・聴衆への感謝を短く伝える

ミニサマリー:
最初の一言は「感謝」ではなく「インパクト」。感謝はその次に。

2. 前後の時間で、どうやって「本物の感謝」を伝えるか?

ラポールは ステージに上がる前 から始まります。

講演前

  • 早めに会場入りする

  • 入り口で参加者に挨拶する

  • 「本日はご参加ありがとうございます」と個別に感謝を伝える

講演後

  • 参加してくれたことへの感謝を改めて伝える

  • ただし、最後の一言は「ありがとうございました」ではなく、メインメッセージのクロージング にする

ミニサマリー:
感謝はラポールを深めるが、最後の一言は必ず「伝えたいメッセージ」にする。

3. 聴衆の名前を出すと、何が変わるのか?

スピーカーと聴衆の間には、見えない壁があります。
名前と会話の引用 は、その壁を取り払う強力なツールです。

実践例

  • 開演前に数人と会話しておく

  • 本番で

    • 「先ほど鈴木さんとお話ししていて、非常に興味深いポイントが出ました。例えば…」
      のように紹介する

これにより:

  • その場が「一体感のある空間」になる

  • 参加者は「自分たちのための話だ」と感じる

ミニサマリー:
実名・実際の会話を交えると、聴衆はぐっと距離を縮めてくれる。

4. なぜ「自分を持ち上げる」のではなく「控えめ」にするべきなのか?

「自分は特別」「自分はすごい」とアピールするスピーカーは、
聴衆から見ると “上から目線” の人 に映ります。

ポイント

  • 自信は必要だが、傲慢さは不要

  • 自分を特別扱いせず、「一緒に学ぶ仲間」というスタンスを取る

ミニサマリー:
謙虚さは信頼を生み、驕りは抵抗を生む。

5. 「あなた」ではなく「私たち」と言うと、何が起こるか?

言葉遣い一つで、場の空気は変わります。

  • 「あなたは〜すべきです」
    → 説教感・上から目線

  • 「私たちは〜すべきです」
    → 一体感・共感

ミニサマリー:
「あなた」より「私たち」。言葉で壁を取り除く。

6. 表情と声のトーンは、どれほどラポールに影響するのか?

自分では「しかめっ面」をしているつもりはなくても、
録画を見てみると “怒っているような顔” になっていることがあります。

ベストプラクティス

  • 「眉間にシワ+叱るような声」を避ける

  • 内容と一致する笑顔・真剣な表情を使い分ける

  • 真剣=怒っている、ではない

ミニサマリー:
聴衆を責めるような表情はNG。関心と敬意が伝わる表情・声を意識する。

7. どうすれば「自分の話」ではなく「聴衆の興味」で話せるか?

自分が大好きなテーマでも、
聴衆が興味を持たなければ価値は伝わりません。

設計の際に自問する:

  • これは聴衆の仕事・現場にどう役立つか?

  • 彼らは何を持ち帰れるのか?

  • 日本企業・外資系企業のビジネスリーダーが、明日から使える具体策になっているか?

ミニサマリー:
「自分が話したいこと」ではなく「相手が知りたいこと」を中心に組み立てる。

8. なぜ、自分が楽しんで話すことが重要なのか?

もしスピーカーが「つらそう」「苦しそう」に見えると、
聴衆もまた 気まずく、不安な気持ち になります。

  • 緊張していても、それを強調しない

  • 「楽しんでいる」姿を見せることで、聴衆もリラックスする

  • プレゼンテーション研修でも、「自分が楽しむ姿勢」は必須スキル

ミニサマリー:
話し手が楽しんでいると、聴衆も安心して話に入り込める。

9. なぜ、プレゼン冒頭で「謝らない」方が良いのか?

日本では、謙遜のつもりで

  • 「準備不足で…」

  • 「このような場でお話しするほどではないのですが…」

と謝って始めるケースがよくあります。

しかしこれは:

  • 自分に注目を集めてしまう

  • 権威性・信頼感を下げてしまう

代わりに

  • よく練られたオープニングで、一気に注目を集めるべきです。

ミニサマリー:
冒頭の謝罪は、自分を守るための言葉。聴衆に集中するなら不要。

10. 聴衆の「より高い感情」に訴えるとはどういうことか?

多くの人は、
「この講演が自分の役に立つことを期待して」参加しています。

その前提に立って:

  • 成長したい気持ち

  • チームや会社に貢献したい気持ち

  • より良いリーダーになりたい気持ち

に向けてメッセージを届けます。
そして、その期待に応えるために 入念な準備 を行います。

ミニサマリー:
聴衆は「成功してほしい」と思っている。その期待に誠実な準備で応える。

11. 批判や指摘を受けたとき、どう対応すべきか?

ロジックや結論に異議を唱える人がいても、
議論モードに入らない ことが大切です。

  • 「ご指摘ありがとうございます。前提や考え方を改めて見直してみます。」

  • 配布資料や話し方へのフィードバックも、“成長のための材料” と捉える

ミニサマリー:
批判を歓迎する姿勢は、成熟したリーダーの証拠であり、信頼を高める。

12. 「話し上手な良い人」とは何を意味するのか?

世界の巧妙な犯罪者の多くは、実は 話がうまい 人たちです。
私たちが目指すべきは、単なる「口がうまい人」ではありません。

  • 聴衆の利益を第一に考える「良い人」 であり、

  • それを伝えるための プレゼンテーションスキルを持った人 であること。

聴衆は、
「この人は自分たちのことを本当に考えてくれている」
と感じたとき、初めて心を開きます。

ミニサマリー:
本当の影響力は、「話術」+「人間性」の掛け算で生まれる。

要点整理

  • 初対面の聴衆とのラポールは、偶然ではなく「設計」して築くもの。

  • オープニング、言葉遣い、表情、態度のすべてが信頼感に影響する。

  • 「私たち」「聴衆の興味」を中心に据えることで、一体感が生まれる。

  • フィードバックや批判は、より良いプレゼンテーションへの重要なヒントになる。

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デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。東京オフィスは1963年設立、日本企業と外資系企業の成長を支え続けています。

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