菅首相の退陣に学ぶリーダーの伝える力 — なぜ説得力あるプレゼンテーションを「後回し」にしてはいけないのか
菅義偉首相が続投を断念するというニュースは、日本中に衝撃を与えました。
安倍前首相から新型コロナ対応を引き継いでわずか1年。
支持率は低迷し、ついに退陣を表明しました。
その理由の一つとして、「リーダーとしてのコミュニケーション力の弱さ」が繰り返し指摘されています。
これは、日本企業・外資系企業で働く私たちにとっても、他人事ではありません。
「トップに立ってから話す力を鍛えようとしても、もう遅い」という教訓を、菅首相のケースは突きつけています。
1. 菅首相の早期退陣は、リーダーのコミュニケーションに何を物語っているのか?
菅首相はわずか1年で退陣し、多くの日本の首相と同じく「すぐに忘れられてしまうリーダー」の一人となりました。
背景には:
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コロナ禍という未曾有の危機
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東京オリンピックという巨大イベント
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有権者との心の距離感
がありましたが、その中で「メッセージを伝え切れなかった」という評価がつきまといました。
ミニサマリー:
危機の時代には、政策だけでなく「どう伝えるか」がリーダーの評価を大きく左右する。
2. 話し方・見せ方は、なぜここまでリーダーの印象を左右するのか?
菅首相自身は、「思いをうまく伝えられなかった」と振り返っています。
実際の印象としては:
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抑揚の少ない声
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ほとんど変化のない表情
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情熱が見えない話し方
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原稿やプロンプターに強く依存したスピーチ
が繰り返されました。
メッセージそのものは重要でも、伝え方に「力強さ」「人間味」「わかりやすさ」が欠けると、聴き手には届きません。
ミニサマリー:
コンテンツが良くても、デリバリーが弱いと「何も伝わってこない」と判断されてしまう。
3. 「たたき上げ」のストーリーだけでは、なぜ不十分なのか?
菅首相は、エリート家庭出身の政治家とは異なり、自らの努力で政界の頂点まで上り詰めた「たたき上げ」の政治家と表現されてきました。
しかし現代のリーダーには:
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実績
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誠実さ
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専門性
だけでなく、
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大勢の人に向かって、分かりやすく語る力
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危機の中で不安を和らげるメッセージ力
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ビジョンを示し、人を動かすプレゼンテーション力
も求められます。
ミニサマリー:
努力と経歴だけではリーダーシップは完結しない。「どう伝えるか」が決定的な差になる。
4. なぜ「話し方のトレーニング」を受けないままトップになってしまうのか?
安倍首相は、第一次政権と第二次政権を比べると、明らかに スピーチやメッセージの出し方が改善 していました。
おそらく、何らかの形でプレゼンテーションやメディア対応のトレーニングを受けたと推測できます。
一方、菅首相は:
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官房長官時代から
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首相就任後に至るまで
話し方や見せ方がほとんど変わっていないように見えました。
このことは:
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専門的なスピーチコーチングをほとんど受けていない
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もしくは、受けていても継続・実践されていない
可能性を示唆しています。
さらに、コロナ対応とオリンピック対応で多忙を極める中、「話し方を学ぶ時間」をとることは後回しになっていたのかもしれません。
ミニサマリー:
トップに立ってから「話し方を直そう」と思っても、時間も余裕もない。だからこそ事前の準備が重要。
5. ビジネスリーダーは、いつから「話す力」を鍛えるべきか?
このケースからビジネスリーダーが学べることはシンプルです。
“そのうちやろう” と思っているうちは、永遠に始まらない。
キャリアが上がれば上がるほど:
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プレゼンの場面は増え
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ステークホルダーは増え
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一回のメッセージの影響範囲が広がります。
プレゼンテーション研修やリーダーシップ研修を「時間ができたら受けるもの」ではなく、「今すぐ取り組むべき投資」と捉える必要があります。
ミニサマリー:
話す力は、出世したから必要なのではない。出世するため・信頼されるために、前もって鍛えておくもの。
6. もし菅首相に強いプレゼン力があったら、何が変わっていたか?
仮に菅首相が:
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原稿を読むだけでなく、自分の言葉で語る力を持ち
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コロナ対応の厳しさを、共感とともに説明でき
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不安の中にある人々に、力強いメッセージを届けられていたとしたら——
政策そのものが変わったかどうかはわかりません。
しかし、「リーダーとしての印象」「信頼感」「歴史に残る評価」はまったく違うものになっていた可能性があります。
ビジネスリーダーである私たちも同じです。
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一つひとつのプレゼンが、
自分のリーダーとしてのブランドをつくる -
説得力のある話し方は、戦略実行や変革の推進力になる
ミニサマリー:
同じ人・同じメッセージでも、「どう伝えるか」が変われば、評価も影響力も大きく変わる。
要点整理
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菅首相の退陣は、「伝える力」がリーダーシップ評価に直結することを示している。
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本人の誠実さや努力だけではなく、「話し方・見せ方」が有権者・ステークホルダーの印象を決める。
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トップに立ってから話し方を学ぶのでは遅く、キャリアの早い段階から鍛える必要がある。
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プレゼンテーションスキルは、変革・危機対応・戦略浸透の「エンジン」となる。
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デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。東京オフィスは1963年設立、日本企業と外資系企業の成長を支え続けています。