プレゼンテーション

沈黙するメンバーを動かし、会議を成果につなげる技術 — 内部ファシリテーションのルール設計と発言を引き出す仕組み

なぜ社内会議では、優れたアイデアが表に出てこないのか?

公開プレゼンでは「話す→質問→終了」という単純な構造ですが、社内ではそうはいきません。

日本企業・外資系企業では:

  • プロジェクト立ち上げ

  • 売上や案件の進捗報告

  • 次の戦略の議論

  • SWOT分析ワーク

など多様な会議があります。

こうした場では 参加型の議論 が必要ですが、多くの社員が沈黙してしまいます。

理由はシンプル:
発言する危険性を学んでしまったから。

  • 過去に上司から公開処刑された

  • 同僚がバカにされているのを見た

  • 謙遜や遠慮の文化が深く根付いている

その結果、社外の競合はフルパワーで戦っているのに、自社の会議室では「アイデアが産まれずに死んでいく」状態が続きます。

ミニサマリー:
沈黙の背景には「恐怖」があり、能力不足ではない。

なぜ会議では、いつも同じ3人が支配してしまうのか?

典型的な問題:

  • 自信家の数名が発言を独占する

  • 本当に経験豊富な人は黙ったまま

  • 社内政治・派閥・嫉妬が邪魔する

  • ボスが喋り続ける“独演会”になる

これでは組織の知性が大きく失われ、市場で勝てるチームにはなれません。

ミニサマリー:
発言の偏りは、チームの意思決定をゆがめる。

外部ファシリテーターを入れるべきタイミングとは?

外部の専門家は:

  • 利害関係なし

  • 派閥にも上下関係にも影響されない

  • 過去のわだかまりもない

  • 容赦なく“会議の質”だけに集中できる

そのため、社内では言いづらいことも即座に止め、参加者全員から最高のアイデアを引き出すことができます。

私は経営層向けのファシリテーションを数多く担当してきましたが、外部だからこそ成立する強さと中立性があります。

ミニサマリー:
外部ファシリテーターは、政治や感情に左右されない“公平な推進力”を提供する。

内製ファシリテーターが成功するための3つの土台

社内で自分がファシリテーターを務める場合、“準備とルール” がすべてを決めます。


1. 会議の最初に「ルール」を合意する(必須)

これがないと、必ず誰かが議論を乗っ取ります。

必須ルール:

  • 発言順序・発言時間の明確化

  • 割り込み禁止(例外はファシリテーターのみ)

  • 全員が発言すること

  • フィードバックは肯定+提案の2段構成

これにより、うるさい人を止めるときも安全に対応できます。

例:
「ご意見ありがとうございます。事前に皆さんと合意した通り、全員に発言の機会を確保したいので、ここで一度区切らせてください。」

役員に対しても使える安全な表現です。


2. 発言者を攻撃から守る仕組みを作る

創造力を潰す言葉:
「それ、違うよ」「なんでそんな考えなの?」

これを防止するため、次のルールを導入します:
(1) まず“良い点”を述べる
(2) 次に“さらに良くする提案”を述べる

途中で割り込みがあれば:

「ありがとうございます、トムさん。
まりこさんが話を終えるのを見届けてから、良かった点と改善提案をお願いします。」

これで雰囲気を壊さず、安全な場を維持できます。


3. ファシリテーター就任前に、必ず“ボスの了承”を取る

会議内ファシリテーションは地雷原です。
ボスが暴走したとき止められるのは、事前合意がある場合だけ。

ミニサマリー:
ルールは防具。合意は盾。準備はあなたのキャリアを守ってくれる。

要点整理

  • 社員の沈黙は能力ではなく「過去の痛み」が原因。

  • 発言の偏りは組織の知性を著しく損なう。

  • 外部ファシリテーターは、政治性の高い会議を健全化させる強力な手段。

  • 内製ファシリテーションでは、事前のルール設定とボスの事前合意が不可欠。

  • 参加者全員が安全に発言できる場が、競争力を最大化する。

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デール・カーネギー・トレーニングは1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。

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