プレゼンテーション

「伝わる話し方」は才能ではなく技術 — ビジネスプレゼンで圧倒的な明瞭さを生む5つのポイント

「もっと分かりやすく話してほしい」——日本企業・外資系企業を問わず、経営層や管理職が言われがちなフィードバックです。しかし、「分かりやすさ」は才能ではなく、再現性のある技術です。では、具体的に何を変えればよいのでしょうか。

「会話調で話せ」と言われるが、どこまでがOK?

「会話調で話すべき」とよく言われますが、普段の雑談そのままがプレゼンに適しているわけではありません。

ここでの「会話調」とは、

  • リラックスしている

  • 聴衆を仲間として扱っている

  • 上から目線ではない

という“空気感”のことであり、内容までダラダラして良いという意味ではありません。東京の役員会議でも、グローバルミーティングでも、「フレンドリーだが、構成は鋭い」話し方が求められます。

ミニサマリー:
会話調の“雰囲気”は歓迎されるが、会話調の“甘さ”はプレゼンには不要。

なぜ途中から一気に「分かりにくく」なるのか?

多くの人は、最初の一文で実はかなり良いポイントを言えています。問題はそのあとです。

  • 同じ内容を何度も言い換える

  • 補足を重ねすぎて、本筋がぼやける

  • 不要なエピソードを足し続ける

デール・カーネギーのプレゼンテーション研修で使う「マジックフォーミュラ」では、行動とメリットをそれぞれ5秒で伝えます。しかし、多くの受講者は5秒で一度は決めているのに、その後の“おまけ説明”で台無しにしてしまいます。

ミニサマリー:
一度決めたポイントの後に、言葉を重ねるほど分かりにくくなる。

「核メッセージ」をどう絞り込むのか?

明瞭さは「何を言うか」を極限まで絞り込むところから始まります。

  • 一言で言うと何か?

  • メールの件名にするなら何と書くか?

  • 聴衆に1つだけ覚えてほしいことは何か?

こうした問いを繰り返し、メッセージを“米粒サイズ”まで圧縮します。そのうえで、ストーリー・事例・データ・統計などの「証拠」を組み合わせて構成します。論理派の聴衆、特に日本企業・外資系企業の管理職層には、感覚だけでなく数字・具体例が不可欠です。

ミニサマリー:
まず「一番伝えたい一言」を決め、そこに証拠を巻き付けていく。

30分プレゼンで何ポイントまでが適切か?

目安は 3〜4ポイント です。
それぞれのポイントは「筋肉質」に絞り込みます。

  • 直接関係ない情報は削る

  • ストーリーは“オチに必要な部分だけ”残す

  • スライドは「一枚一メッセージ」にする

こうして一つ一つを短くすることで、むしろ話全体には余裕が生まれ、重要なポイントをより多く盛り込むことができます。

ミニサマリー:
ポイント数よりも、一つ一つの「短さ」と「濃さ」が明瞭さを決める。

論点同士のつながりを「滑らか」にする方法は?

良いプレゼンは、「今、何の話をしているのか」が常に分かります。そのためには:

  • 各セクションの最後の一文で、次の話題を“予告”する

  • 「ここまでがAの話、ここからがBの話です」と道筋を言葉にする

  • 見出し・スライドタイトルも論理の流れに沿って設計する

逆に、話があちこち飛ぶと、いくら内容が良くても聴衆はついてこられません。

ミニサマリー:
セクションの“橋渡し”を意識すると、全体の論理が一気にクリアになる。

熱量とスピードのバランスはどう取る?

情熱が高まると、話すスピードは自然に速くなります。しかし、速すぎると理解が追いつきません。対策はシンプルです。

  • 文を短く区切る

  • 意図的に「間」を入れる

  • 強調したいキーワードだけ声を強くする

すべての単語を同じエネルギーで話す必要はありません。数字・結果・期限・決意など、重要な語だけにエネルギーを集中させることで、メッセージが頭に残りやすくなります。

ミニサマリー:
スピードを落とすのではなく、「間と強調」で聴衆の理解速度に合わせる。

なぜ「練習」が明瞭さを決定づけるのか?

どれだけ構成が良くても、練習なしでは本番で再現できません。
マーティン・ルーサー・キング牧師の「I Have a Dream」も、一度きりの即興ではなく、何度も練習と改良を重ねた結果として生まれたスピーチです。

同じように、日本企業・外資系企業の経営者・管理職が、リーダーシップ研修やプレゼンテーション研修、エグゼクティブ・コーチングを通じて、

  • 余分な言葉を削る

  • 強調ポイントを決める

  • 間とスピードを体で覚える

ことで、「聞きやすさ」と「説得力」は飛躍的に高まります。

ミニサマリー:
明瞭さは、準備と反復練習によって初めて本番で再現できる。

要点整理

  • 「会話調」は空気感であり、構成と長さはプロレベルで設計する必要がある。

  • 核メッセージを極限まで絞り込み、そこにストーリーとデータを巻き付ける。

  • セクション間のブリッジと、スピード調整(間・強調)が理解度を左右する。

  • 練習とフィードバックなしに、「分かりやすいプレゼン」は決して完成しない。

経営者・管理職として、もっと「短く・分かりやすく・説得力のある」話し方を身につけたい方へ。

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デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。

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