ビジネスプレゼンから「ワッフル(ダラダラ説明)」を一掃する方法 — Magic Formulaで批判を無力化する技術
日本企業・外資系企業の会議や経営会議で、こんな光景をよく目にします。
結論は悪くないのに、説明が長く、回りくどく、ワッフルだらけ のせいで、聴衆はスマホに逃げていく——。
「内容はいいのに伝わらない」最大の敵は、実は能力不足ではなく ワッフル(不要な言葉のダラダラ追加)です。
この記事では、デール・カーネギーが教える Magic Formula を使って、ワッフルを排除しながら、批判的な聴衆さえ味方に変える話し方の技術を解説します。
Q1|そもそも「ワッフル」とは何か?なぜプレゼンの敵なのか?
ワッフルとは、本筋とは関係のない余計な言葉や説明を、延々と付け足してしまう話し方 のことです。
「えー」「あのー」といったフィラーも目立ちますが、もっと厄介なのは、
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すでに要点は伝わっているのに
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さらに説明を積み上げてしまう
という 自覚なき長話 です。
その結果、
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聴衆はスマホに逃げる
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キーメッセージがツタで覆われた遺跡のように埋もれる
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「結局何が言いたいの?」という不信感だけが残る
という悲劇が起きます。
ミニサマリー:
ワッフルは、内容そのものではなく「伝わり方」を壊し、メッセージをジャングルの奥に隠してしまう。
Q2|なぜ人は5秒で言えることを20秒かけて話してしまうのか?
デール・カーネギーの Magic Formula では、
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アクション(何をしてほしいか)
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ベネフィット(それによって何が良くなるか)
を それぞれ5秒以内 で言い切るルールがあります。
ところが、ロールプレイで実際にやってもらうと、
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15秒
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20秒
平気でかかる人が続出します。
理由はシンプルで、人間は本能的に「余計な説明」を足したくなる生き物 だからです。
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誤解されたくない
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もっとわかってほしい
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自分の努力を伝えたい
という心理が働き、「自殺志願の蛾」が炎に吸い寄せられるように、不要な言葉を足し続けてしまいます。
ミニサマリー:
5秒で言えることを20秒かけてしまうのは、人間の自然な癖。だからこそ「制限」が必要になる。
Q3|なぜアクション&ベネフィットを5秒に制限するのか?
「10秒でもいいのでは?」「15秒の方が丁寧では?」
——そう考えた瞬間に、ワッフルが勝ち始めます。
5秒という制限時間 は、
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言葉をふるいにかける
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不要な形容詞・前置き・言い換えを削る
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核心だけを残す
という 思考の筋トレ です。
Age of Distraction(注意散漫の時代)、そして Era of Cynicism(シニシズムの時代) において、
聴衆は
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すぐ飽きる
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すぐ疑う
という前提で動いています。だからこそ、短く・鋭く・明確に伝える必要があります。
ミニサマリー:
5秒ルールは「短くするためのルール」ではなく、「考え抜いた言葉だけを残すための装置」。
Q4|では、最初から結論(アクション+ベネフィット)を言うべき?
書面では「エグゼクティブサマリーは最初に」が正解ですが、口頭プレゼンでは危険 になる場合があります。
なぜなら、現代の聴衆は:
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批評家モード
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ツッコミ待ちモード
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「自分の方が正しい」モード
に入るのが非常に速いからです。
いきなり結論を出すと、
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話の途中から聴いていない
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頭の中では「反論リスト」を作り始める
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背景や根拠はほぼ記憶されない
という状態になります。
会議室には、
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社内のライバル
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気難しい上司
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突っ込み好きのクライアント
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自分の頭の良さを誇示したい人
が混在しています。いきなり結論を出すのは、自分の首を乗せたお盆を差し出している のと同じです。
ミニサマリー:
「書面の常識=話し方の常識」ではない。口頭プレゼンで結論を即座に出すのは、批判を最大化する危険な戦略。
Q5|Magic Formulaはどうやって“批判好きな聴衆”を無力化するのか?
Magic Formulaの肝は、
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背景・コンテクスト・証拠 を先に提示し
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その後に アクションとベネフィット を短く出す
という順番にあります。
聴衆は、
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背景そのもの
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実際に起きた事実
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データや事例
に対しては 反論しにくい のです。
結論には異議を唱えやすいですが、事実そのものにはケチをつけにくい。
だからこそ、最初に
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コンテクスト
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実際のエピソード
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数字や事実
を、ワッフル抜きでタイトに 提示し、
相手の頭の中で「自分なりの結論」を組み立てさせます。
そこにあなたの 5秒アクション+5秒ベネフィット をぶつけると、
多くの場合、聴衆の結論とあなたの結論が 一致してしまう のです。
ミニサマリー:
Magic Formulaは、「先に背景で合意をつくり、後から結論を重ねる」ことで、批判のエネルギーを消してしまう。
Q6|背景説明はどこまで話すべきか?「タイト・タウト・テリフィック」の条件
背景説明は長くなりがちです。しかし、ここでもワッフルは厳禁です。
理想の背景説明は、まさに Tight, Taut, Terrific(タイト・タウト・テリフィック)。
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Tight:短く、無駄がない
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Taut:ピンと張り詰めていて、緊張感がある
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Terrific:聞いていて「なるほど!」と納得感がある
ビジネススクール的な「最初に結論、その後に詳細」という文書フォーマットを、そのままプレゼンに持ち込むと失敗 します。
口頭の世界では、
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背景 → 納得
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結論 → 合意
の流れが自然であり、論理と感情の両方にフィットするのです。
ミニサマリー:
背景説明は「短く・締まっていて・納得度が高い」ことが条件。長く説明するほど、ワッフルに飲み込まれる。
要点整理
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ワッフル(不要なダラダラ説明)は、内容ではなく「伝わり方」を破壊する最大の敵。
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Magic Formulaの「5秒アクション+5秒ベネフィット」は、言葉を研ぎ澄ませる思考トレーニング。
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結論をいきなり出すと、批判好きな聴衆の反論モードを最大化してしまう。
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背景 → 証拠 → 短い結論という流れが、批判を無力化し、合意を生み出す最も安全で強力な構成である。
もしあなたが、
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社内プレゼンでの反対意見に毎回苦戦している
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クライアント提案で「話はわかるが今回は見送りで」と言われがち
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自分のアイデアへの“納得と合意”をもっと勝ち取りたい
と感じているなら、ワッフルを削り、Magic Formulaを武器にするタイミングです。
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デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。
東京オフィスは1963年設立、日本企業と外資系企業の成長を支え続けています。