プレゼンテーション

オンライン時代に“裸”にされるリーダーの実力 — 顔・声・身体で伝える危機下のプレゼン術

なぜ危機になると、リーダーの“プレゼン失敗”が一気に露呈するのか?

景気が良いとき、リーダーのプレゼンテーションやコミュニケーションの弱点は見えにくくなります。
しかし、業界全体の停滞、業績悪化、リストラ、不安定な経営環境——そうした 「逆風のとき」には、リーダーの発信力が一気に“裸”にされます

  • 日本企業・外資系企業の社員は、いま不安を抱えている

  • 経営者・役員・本部長のオンライン説明に「希望」より「不安」を感じている

  • 社外向けウェビナーや経済団体のオンラインイベントでも、リーダーの弱点が露骨に見えている

今こそ、リーダーには 画面越しでも人を動かせるプレゼンテーションスキル が求められています。

Q1:なぜ“危機のオンラインプレゼン”でリーダーの実力が露呈するのか?

景気が良いとき:

  • メッセージが多少曖昧でも、現場の勢いがカバーしてくれる

  • スタッフは将来不安が少なく、細かい表現にはあまりこだわらない

しかし危機のときは違います。

  • 経営メッセージが“生命線”になる

  • 言葉の一つ一つが「安心」か「不安」かを決める

  • 社員はトップの表情・声の調子まで敏感に見ている

オンライン会議・ウェビナーで見えているのは、社内でも日々見せているプレゼンの“素顔” です。
「外向けだけ急にうまく話す」ことはできません。

ミニサマリー

危機はリーダーのプレゼンを“検査”するタイミング。オンライン環境がその弱点を全世界に可視化させる。

Q2:なぜ多くのリーダーは“オンライン環境”に適応できていないのか?

プロフェッショナルなプレゼンターは、対面であれば当たり前のことを行います。

  • 会場に早く入り、環境を確認する

  • 照明・音響・プロジェクター・席配置をチェックする

  • 規模(50名か、5000名か)に合わせてエネルギーと話し方を調整する

しかしオンラインになると、多くのリーダーはこれを 全くやらない

  • 自宅やオフィスから、準備なしでそのまま接続

  • カメラ位置・背景・照明・マイク環境を確認していない

  • 「対面と同じ感覚」で話し、画面上の印象をまったく意識していない

結果として “オンライン用にチューニングされていない話し方・見せ方” が露骨に出てしまいます。

ミニサマリー

対面では当たり前だった準備を、オンラインで突然忘れてしまっている。これがリーダーの印象劣化の正体。

Q3:“死んだ顔”のリーダーは、なぜこんなにも多いのか?

多くのリーダーの共通点:

  • 表情が動かない

  • 顔の血の気が引いたように見える

  • 感情が何も伝わってこない

オンラインでは、顔が最大のコミュニケーション媒体 です。

  1. 顔(表情)

  2. 声(トーン・強弱・リズム)

  3. 身体(ジェスチャー・姿勢)

  4. スライド(あくまで補助)

にもかかわらず、スライドに従属し、顔が“単なる添え物”になっているリーダーが非常に多いのです。

ミニサマリー

オンラインで最も見られているのは「顔」。そこが“無表情”だと、どれだけ内容が良くても伝わらない。

Q4:スライドに支配された“デッドドッグ・プレゼン”とは?

多くのリーダーは、会議室時代からPowerPointの奴隷 になっていました。
オンラインにそのまま移行すると、こうなります。

  • 画面の95%がスライド

  • 自分の顔は画面の隅に小さく表示

  • 読み上げに終始し、“生きたコミュニケーション”が消滅

オンライン環境はこれをさらに悪化させます。
小さな枠に押し込められたリーダーは、まさに“画面上のゾンビ”状態。

ミニサマリー

スライド主役・人間脇役の構図は、オンラインでは致命的。伝わるべき「熱量」が完全に失われる。

Q5:なぜ“顔・声・身体”の一体感(コンゴルエンス)が不可欠なのか?

Dr.アルバート・メラビアンの有名な研究(しばしば誤解されますが)が示したポイントは:

言っている内容と、言い方・見せ方がズレると、人は「言葉」ではなく「表情と声」に意識を奪われる。

  • 視覚情報:55%

  • 聴覚情報:38%

  • 言語情報:7%

※これは「矛盾があるとき、人は見た目と声を優先する」という意味。

つまり、内容がいくら素晴らしくても——

  • 顔が暗い

  • 声にエネルギーがない

  • 姿勢が沈んでいる

と、メッセージ全体が「不安」「弱さ」「諦め」に変換されてしまう のです。

ミニサマリー

オンラインで“100%伝える”には、内容だけでなく「顔・声・身体」を一致させることが必須。

Q6:オンラインで求められる“表情の演技力”とは?

私たちはみな、ある程度の“俳優力”を身につける必要があります。
特にリーダーはなおさらです。

使うべき表情の例

  • 微笑む・笑う

  • 眉を上げて驚きを示す

  • 顎を引いて真剣さを見せる

  • 首をかしげて「考えている」状態を見せる

  • 首を横に振って危機感を示す

  • 縦にうなずきながら希望や確信を伝える

そして:

  • 心配しているなら、顔にも心配を出す

  • 希望を語るなら、顔に“光”を宿す

さらに、カメラを必ず目線の高さに置くことで、この表情がそのまま参加者の心に届きやすくなります。

ミニサマリー

「内面の感情を顔に載せる」ことがオンラインの必須スキル。リーダーは意識的に“表情筋を使う”べき。

Q7:なぜ今、リーダーのプレゼンス強化が“経営課題”なのか?

ビジネス環境はすでに十分に暗い。

  • 売上減少

  • コスト圧力

  • 将来不透明感

この状況で、トップが 葬儀屋のような表情 でオンラインに登場したら、社員はどう感じるでしょうか?

リーダーの役割は:

  • 希望を見せる

  • 道筋を示す

  • 「一緒に乗り越えられる」と信じさせる

そのためには、顔・声・身体すべてを総動員して「エネルギー・希望・情熱・粘り強さ」を発信する 必要があります。

ミニサマリー

リーダーのプレゼンは、単なる情報伝達ではなく「希望の供給」。オンラインでこそ、その責任は重い。

要点整理

  • 危機になると、リーダーのプレゼン弱点がオンラインで“丸見え”になる

  • 多くのリーダーはオンライン環境への調整を怠っており、準備不足が露呈している

  • 顔・声・身体が「内容」と一致していないと、メッセージは歪んで伝わる

  • スライドに支配されると、画面上の“デッドドッグ・プレゼン”になる

  • リーダーには、俳優のような“表情の活用力”とカメラ・環境設計スキルが求められる

  • 今こそ、プレゼンス強化はリーダーシップ開発・リーダーシップ研修の中核テーマである

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