プレゼンテーション

プレゼンは“一度きり”で終わらせるな — 同じテーマを繰り返し磨き込むプロの発想法

なぜ多くのビジネスパーソンは、せっかく作り込んだプレゼンを“一回で捨ててしまう”のか?

私たちはプレゼンの準備に多くの時間を投じます。

  • 情報収集

  • スライド制作

  • 構成の調整

  • リハーサル

しかし、ほとんどのプレゼンは 1回限りの“砂絵(Sunae)” のように、披露した瞬間に消えてしまいます。

これは膨大な機会損失です。
なぜなら――

プレゼンは「回数を重ねて初めて完成形に近づく」ものだから。

本記事では、“同じプレゼンを繰り返すことこそ、最速でプレゼンスキルを上げる方法”である理由と、その実践法を解説します。

Q1:プレゼンはなぜ“繰り返さないと上達しない”のか?

1回目のプレゼンで得られる学びは膨大です。

  • 時間配分のズレ

  • 強調すべきポイントの発見

  • スライドの冗長さ

  • 聴衆からの質問で露呈する“抜け”

  • 自分の言い回しのクセ

にもかかわらず、その経験を活かす場がなければ 成長は止まってしまう

一方でプロの講演者は、

  • 同じテーマを何度も話し

  • そのたびに構成と表現を磨き

  • 過去の自分を常にアップデート

しています。

つまり、

プレゼンの質 = 回数 × 改善サイクル

で決まります。

ミニサマリー

1回のプレゼンは“試作版”。繰り返すことで初めて本当の完成形に近づく。

Q2:なぜ多くの主催者は“同じテーマの再登壇”を嫌がるのか?

日本の商工会議所、業界団体、各種ビジネスコミュニティには、「うちの会員には“初出し”の内容を話してほしい」という心理が働きます。

  • 他団体と差別化したい

  • 会員に新鮮味を感じてもらいたい

  • “使い回し”と思われるのを避けたい

しかし、実はこれは誤解です。

■ 同じプレゼンは“同じ内容”ではない

話し手は原稿を読み上げているわけではありません(もし読んでいるならすぐ改善すべき!)。

  • その場の空気

  • 聴衆の反応

  • 自分の調子

  • 前回の反省点

  • 追加された新しい情報

によって、同じテーマでも 毎回進化した“新作” になるのです。

ミニサマリー

主催者が恐れる「同じ内容」問題は実は存在しない。プレゼンは回ごとに必ず進化する。

Q3:繰り返すことで、どのようにプレゼンが進化するのか?

以下は、同じプレゼンを2回・3回と繰り返すことで自然に起きる変化です。


① スライドの取捨選択が洗練される

初回で多すぎたスライド → 削る
不足していた説明 → 追加する
時系列や背景が変わった → 修正する


② 表現がより自然で強くなる

話し方は“経験学習”。
2回目は必ず言い回しが洗練され、強調すべき部分が明確になっていく。


③ 聴衆からの質問が改善のヒントになる

質問によって:

  • 聴衆が理解しにくかった点

  • 想定不足の点

  • 説明の順序が悪い点

が一気に浮き彫りになる。

その回答を次回から組み込めるため、内容の精度が飛躍的に上がる。


④ フィードバックが内容を強化する

主催者、参加者、同僚からのフィードバックは宝。
2回目の登壇ではそれを反映できる。


⑤ 大規模会場・特殊環境への順応が可能に

例:5000人会場で登壇したとき
→ 通常の会場とはまるで別世界
→ 声・間・動作を大きく変える必要がある

その環境を “1回だけ” 経験しても習熟しない。
最低5回は繰り返すことで初めて落ち着いて操作できるようになる。


ミニサマリー

繰り返し登壇するごとに「構成」「表現」「反応対応」が磨かれ、初回とは別物のプレゼンへと進化する。

Q4:では、どうすれば“同じテーマで複数回登壇”できるのか?

■ 方法①:異なる団体・地域・セグメントを開拓する

  • 商工会議所

  • 外国商工会議所

  • 業界団体

  • マスターマインドグループ

  • オンラインコミュニティ

同じテーマでも、聴衆がまったく違えば“新しいプレゼン”として歓迎される。


■ 方法②:自ら営業して機会をつくる

「呼ばれるのを待つ」のではなく、「自分から電話する・連絡する」。

プロ講演者は例外なく、これをやっている。


■ 方法③:前回の反応を踏まえて“微更新版”を用意する

主催者にも「最新バージョン」「前回よりアップグレードされた内容」と説明できる。


ミニサマリー

登壇機会は“待つものではなく作るもの”。テーマは同じでも、毎回確実にアップデートできる。

Q5:プレゼン資料は“資産”。捨てずに再利用せよ

作った資料、ノート、構成メモ、質問記録、フィードバック——これらはすべて 将来のプレゼンを進化させる宝物 です。

使い回しではない。

「磨き込み」こそプロの姿勢。

  • 過去の資料で骨格をつくる

  • 最新情報を追加

  • 不要部分を削る

  • 構成を再編成する

このサイクルを繰り返すことで、講演テーマが資産として積み上がる

ミニサマリー

過去の資料は“遺産”ではなく“資産”。未来の成功を生み続ける母体になる。

要点整理

  • プレゼンを一度で捨てるのは巨大な機会損失

  • 同じテーマを繰り返すほど完成度は上がる

  • 主催者の“初出し要求”は誤解。毎回内容は進化する

  • 聴衆からの質問・フィードバックは最強の改善材料

  • 大規模会場など特殊環境には複数回の経験が必須

  • 登壇機会は“待つ”のではなく“つくる”

  • 過去資料は資産。ストックが未来のレベルアップを保証する

プレゼンを“資産化”し、講演者として進化したい方へ

デール・カーネギー・トレーニング東京では、

  • プレゼンテーション実践コーチング

  • ストーリー構築・資料改善コンサルティング

  • ビジネス講演者養成プログラム

  • 大規模会場・オンライン登壇のスキル最適化

を通じて、一度きりで終わらない“資産としてのプレゼン”づくり を支援しています。

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デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。
東京オフィスは1963年設立、日本企業と外資系企業の成長を支え続けています。

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