なぜ高度な技術プレゼンほど「説得力」を失うのか? ― ブロックチェーン登壇者に欠けていた“最後の1ピース” ―
専門知識も実績もあるのに、なぜ心が動かされなかったのか?
ブロックチェーン技術に関するプレゼンテーション。
会場には、暗号資産分野の技術者やテック企業の経営者が集まっていました。
登壇者はこの分野で豊富な実績を持ち、大手企業での経験もあり、自身の会社とリーダーシップをアピールする立場でもあります。
内容構成は論理的で、スライドも非常に洗練されていました。
それでも、聴衆は説得されなかった。
なぜでしょうか。
ミニまとめ:
知識・実績・資料が揃っていても、説得力は自動的には生まれない。
スライドが優秀でも、プレゼンが失敗する理由とは?
スライドはプロのデザイナーが手がけたもので、
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情報量は適切
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余白も十分
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信頼感を高める完成度
ただし一部のフォントは小さく、後方席からは読みにくい点はありました。
それでも全体としては、非常に優れた資料でした。
問題はスライドではなく、登壇者の振る舞いでした。
ミニまとめ:
優れたスライドは「加点要素」だが、「説得の代行」はしてくれない。
なぜ聴衆と「目を合わせない」プレゼンは致命的なのか?
驚くべきことに、登壇者が聴衆とアイコンタクトを取っていた時間は、全体の約1%。
彼の視線は、
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床
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スライド用モニター
この二択でした。
まるで、最新ディスプレイを初めて見た人が、そこから目を離せなくなったかのように、
彼はスクリーンに“催眠”されていました。
Q&Aの時間でさえ、質問者を見ることなく、「Thank You」と表示された画面を見つめ続けていたのです。
ミニまとめ:
アイコンタクトを失った瞬間、説得力は激減する。
エネルギーがあっても「単調な話し方」は伝わらない
彼には情熱もエネルギーもありました。
ジェスチャーも悪くありません。ただし、
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手の位置が低く、視認性が弱い
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声は終始モノトーン
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強調も抑揚もない
すべての言葉が同じ強さで語られるため、重要度の違いが伝わりません。
ミニまとめ:
声の抑揚とジェスチャーは、内容の「意味づけ装置」である。
技術者が陥りやすい「最大の誤解」とは?
彼は自信がなかったわけではありません。
名刺交換の際も、社交的で自然な人物でした。
問題はただ一つ。
「データがあれば人は納得する」という思い込みです。
多くの技術者は、
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情報を提示すれば
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内容が正しければ
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聴衆は理解し、納得する
と考えがちです。
しかし現実は違います。
人を納得させるには、人に働きかけなければならないのです。
ミニまとめ:
正しい情報 ≠ 説得力。人を動かすには「伝え方」が必要。
説得力を最大化する「6秒アイコンタクト」の法則
プレゼンの基本ルールは、使える武器はすべて使うこと。
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アイコンタクト
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声の抑揚
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間(ポーズ)
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ジェスチャー
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体の向きと動き
特に強力なのがアイコンタクトです。
一人の聴衆を6秒間見る。
それ以上は長すぎ、短すぎても効果がありません。
順番に見るのではなく、会場を6つのエリアに分け、ランダムに視線を移動させます。
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前方:左・中央・右
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後方:左・中央・右
こうすることで、会場全体を「巻き込む」ことができます。
ミニまとめ:
アイコンタクトは、最も即効性のある説得ツールである。
コンテンツが最高でも、説明者の役割は消えない
この登壇者は、自社を選んでもらう絶好の機会を逃しました。
内容は優れていました。
しかし、説得のエンジンが弱すぎたのです。
どれほど優れた技術・データ・未来予測があっても、それを人に届け、納得させる役割は登壇者自身にあります。
技術 × プレゼンテーションスキル。
この両方が揃って、初めて「伝わるプロフェッショナル」になります。
ミニまとめ:
最高のコンテンツも、伝え手次第で価値を失う。
まとめ:技術者こそ「トータルパッケージ」を目指せ
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データだけでは人は動かない
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アイコンタクトは説得力の中核
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声・間・ジェスチャーで意味を伝える
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技術力+伝達力が信頼を生む
技術分野でリーダーを目指すなら、「説明できる力」こそが最大の競争優位になります。
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