プレゼンテーション

聴衆に「何を持ち帰ってほしいか?」 ― ビジネスプレゼンで人を“鼓舞する”ためのストーリー設計 ―

プレゼン後、聴衆にどんな印象を残したいのか?

ハイ・インパクト・プレゼンテーションのクラスの冒頭で、私たちは必ずこう問いかけます。

「プレゼンが終わった後、聴衆の記憶に何が残っていてほしいですか?」

もし会場を後にする人たちの会話を盗み聞きできたとしたら、
あなたのプレゼンについて、どんな言葉が聞こえてきたら嬉しいでしょうか。

  • 「分かりやすかった」

  • 「整理されていた」

  • 「刺激を受けた」

特に「分かりやすさ」は常に上位に挙がります。
同時に、多くの登壇者が望むのが 「もっとインスピレーションを与えたい」 という評価です。

ミニまとめ
優れたプレゼンは「理解」だけでなく「感情」にも爪痕を残す。

ビジネスプレゼンにおける「インスピレーション」とは何か?

プレゼンにおける「インスピレーション」とは、感動させることだけではありません。

  • 行動を起こしたくなる

  • 新しい挑戦をしてみようと思う

  • 自分をもう一段引き上げようと感じる

こうした 内側からの変化 を生み出すことです。

ただし、40分のビジネスプレゼンでこれを成し遂げるのは簡単ではありません。
多くの場合、私たちの役割は情報提供や課題解決のヒントを示すことです。

ミニまとめ
ビジネスにおけるインスピレーションとは「行動への後押し」である。

ビジネスパーソンは、何に「勇気づけられる」のか?

極限環境を制した冒険談――極地探検、命がけの登山、大海原の単独横断。

確かに感動的ですが、多くのビジネスパーソンの日常とはかけ離れています。

では、何が響くのか。

それが 「逆境からの復活ストーリー」 です。

  • 苦境に立たされた個人

  • 消滅寸前だった企業や事業部

  • 再起不能と思われた組織

それでも立ち上がり、前に進み、成功した話。

私たちは「生き残った者の物語」から学ぶのが大好きです。
自分で瀕死の体験をするより、他人の体験から学びたい のです。

ミニまとめ
人は「困難を乗り越えた物語」に強く惹きつけられる。

「自分の話は地味すぎる」と感じたとき、どうするか?

こう思う人は少なくありません。

  • 自分の人生は平凡

  • 業界も面白みに欠ける

  • 会社の話も刺激がない

それなら、自分以外の物語を借りればいい のです。

  • 他業界の成功事例

  • 偉人や経営者のエピソード

  • 組織やチームの復活譚

重要なのは「誰の話か」ではありません。
あなたの主張を裏づけるかどうか です。

ミニまとめ
インスピレーションの素材は「自分以外」から借りてもよい。

インスピレーションの宝庫は、どこにあるのか?

おすすめの情報源は次の通りです。

  • 伝記・自伝

  • 優れた人物へのインタビュー

  • 意外にも「訃報記事(オビチュアリー)」

訃報は、その人の人生を凝縮した要約です。
成功と失敗、苦難と栄光が詰まっています。

こうした話を見つけたら、流し読みせず ストック してください。
「インスピレーションの引き出し」を作るのです。

ミニまとめ
感動的なストーリーは、日常の情報の中に隠れている。

自社・自分の経験を語ることが、最も強力な理由

会社の創業期には、必ず苦労話があります。
業界のレジェンド、社内の英雄的エピソードもあるでしょう。

また、
不況、リーマンショック、2011年の震災・津波・原発事故など、
「すべてが絶望的に見えた瞬間」を乗り越えた事例もあります。

そして――
自分自身の失敗や葛藤の話

これは最も強力ですが、最も勇気が要ります。

私自身も内向的で、長い間、自分の話をするのが苦手でした。
しかし語った瞬間、聴衆との距離が一気に縮まるのを感じました。

ミニまとめ
個人的な経験は、最も強い共感と信頼を生む。

人を鼓舞するプレゼンを作るための実践ポイント

  • 他人・他社の成功と失敗を集める

  • 自分の経験の「使える部分」を掘り起こす

  • 聞いた瞬間にメモし、ストックする

  • 行動を促すメッセージと結びつける

感動的なストーリーは、古代から現代まで、人を動かしてきました。

そして今もなお、ストーリーは最強の説得ツール であり続けています。
なぜなら――本当に、よく効くからです。

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デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。

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