プレゼンテーション

なぜ有名企業の社長スピーチが、ブランドを傷つけてしまうのか? ― 東京で起きた「残念なプレゼン」から学ぶ教訓 ―

世界的ブランドなのに、なぜ心に響かなかったのか?

その企業名は、日本では誰もが知る存在です。
巨額の投資によって、ブランド認知は十分に確立されています。

しかし過去には、ビジネスモデルを巡ってメディアから激しい批判を浴び、ネガティブな注目を集めた時期もありました。

東京で行われた今回の講演は、その企業の社長が会社と業界について語る場でした。

……にもかかわらず、驚くほど印象に残らないプレゼンだったのです。

ミニまとめ
知名度の高さは、プレゼンの成功を保証しない。

本当は「最高の復活ストーリー」だったはずでは?

数年前のメディア炎上は、多くの人の記憶に残っています。

しかし視点を変えれば、それは 「死の淵からの復活物語」 でもあります。

  • 本社トップの謝罪

  • 組織内部の葛藤

  • 市場からの信頼回復

  • 日本市場での再成長

ドラマ、教訓、人物――ストーリーとしては、宝の山です。

私たちは他人の失敗から学ぶのが大好きです。
少しの「シャーデンフロイデ(他人の不幸を見て感じる快感)」も相まって、そうした話には強く引きつけられます。

ミニまとめ
危機は、最も価値の高いストーリー素材である。

なぜ「事業説明」だけのプレゼンは退屈なのか?

ところが実際に語られたのは、

  • 平坦なビジネスモデル説明

  • データ中心のスライド

  • 教訓や感情の欠如

という、極めて一面的な内容でした。

登壇者は疲れているように見え、表情の変化もほとんどありません。

声は終始モノトーン。
強調も抑揚もなく、言葉に命が吹き込まれる瞬間がありませんでした。

ミニまとめ
感情のない説明は、聴衆の記憶に残らない。

これはなぜ「ブランド毀損プレゼン」なのか?

このスピーチは、

  • 個人のプロフェッショナルブランド

  • 企業のコーポレートブランド

その両方を、静かに削り取っていく行為でした。

彼は「この話を何度もしている」と語っていました。
それが、なおさら悲しいのです。

なぜなら、退屈な話を繰り返すほど、ブランドは壊れていくからです。

ミニまとめ
プレゼンは、回数を重ねるほど影響力が拡大する。

トマトスープの逸話が教えてくれること

ある有名な広告の話があります。

広告主は「なぜトマトスープをもっと宣伝しないのか?」と不満を述べました。
広告責任者の答えはこうです。

「味が今ひとつだからです。
強く宣伝すれば、試した人が増え、失望した人も増えて、ブランドが傷つきます」

これは、退屈なプレゼンを繰り返すスピーカーと同じです。

ミニまとめ
中身が弱いまま露出を増やすと、ブランドは損なわれる。

本来あるべきだった「感情のジェットコースター」

この話は、本来こう語られるべきでした。

  • 暗闇に突き落とされるような転落

  • メディアの猛攻

  • 市場からの信頼喪失

  • 絶望の底

  • そこからの反転攻勢と復活

まるでディズニーランドの スペース・マウンテン のように。

急降下と急上昇、
スピードと緊張、
そして最後のカタルシス。

それがあってこそ、聴衆は「体験」します。

ミニまとめ
人は情報ではなく「体験」を記憶する。

人は何を覚え、何を忘れるのか?

覚えていないもの:

  • 数字

  • 統計

  • 詳細なデータ

  • 丁寧に作ったスライド

覚えているもの:

  • ストーリー

  • 話し手の熱量

  • その場で感じた感情

プレゼンとは、記憶を設計する行為なのです。

ミニまとめ
人は事実を忘れ、感情を覚えている。

すべての登壇は「ブランド構築の分岐点」

  • 情熱を持って語る

  • 声と身体でエネルギーを伝える

  • 高低差のあるストーリーを描く

  • 教訓と希望を残す

これができれば、プレゼンは 強力なブランド構築装置 になります。

できなければ――その逆です。

すべての登壇は、ブランドを高めるチャンスでもあり、壊すリスクでもある

そのことを、すべての話し手は肝に銘じる必要があります。

登壇機会を、 「失われた機会」にしないために。

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経営者・リーダー・広報責任者のためのブランド価値を高めるプレゼンテーション研修を提供しています。

  • 危機を物語に変える

  • データを感情につなげる

  • 記憶に残るスピーチを設計する

 


デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。

東京オフィスは1963年設立、日本企業と外資系企業の成長を支え続けています。

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