プレゼンテーション

なぜ「悪くないプレゼン」は、永遠に記憶されないのか? ― “あと10度”の熱量が、平凡を卓越に変える ―

「良い」は「偉大」の最大の敵である

「The good is the enemy of the great(良いは、偉大の敵)」
この言葉は、プレゼンテーションにもそのまま当てはまります。

能力はある。内容も正しい。準備もしている。
それでも、多くのプレゼンは可もなく不可もなく終わります。

まるで、ぬるま湯の風呂に浸かっているような状態。
あと 10度 温度を上げれば、体験はまったく別物になるのに、その世界を知らないまま終わってしまうのです。

ミニまとめ
平凡と卓越の差は、能力ではなく「熱量」にある。

すべて正しく終わったのに、なぜ何も残らなかったのか?

そのプレゼンターは、

  • 知的で

  • よく調べていて

  • 内容も充実

していました。

スライドは進み、要点は説明され、質問にも答えました。

……そして終わりました。

しかし、何も残らなかった
「WOW」もなく、余韻もなく、ただ静かに消えていったのです。

ミニまとめ
情報が伝わることと、記憶に残ることは別物。

何が欠けていたのか?――それは「最初の10度」

最大の欠点は、オープニングでした。

  • 雑談時と同じ声量

  • 姿勢も表情も同じ

  • 空気が切り替わらない

つまり、「始まった」という合図がなかったのです。

聴衆にとっては、プレゼンが始まったのかどうかすら分からない状態。

ミニまとめ
始まりが弱いプレゼンは、最初から負けている。

聴衆の脳は「満杯」で入室してくる

人は、何も考えずに会場に来るわけではありません。

  • 仕事

  • メール

  • 家庭

  • スマホ

脳はすでに満杯です。

だからこそ、私たちは最初の数秒で、こじ開けて入り込む必要があります。

  • 今から話が始まる

  • 注目せよ

  • それまでの行動を止めよ

この「線引き」をしなければ、聴衆は注意をこちらに向けません。

ミニまとめ
注意は与えられるものではなく、奪うもの。

オープニングは「設計」しなければならない

重要な入り口を、運任せにしてはいけません。

オープニングには「引っかかり(フック)」が必要です。

  • 鮮明な言葉の映像

  • 想像力を刺激するストーリー

  • 脳を揺さぶる統計データ

  • 信頼を高める名言

いずれも目的は同じ。
「聞かせる許可」をもらうことです。

ミニまとめ
オープニングは、偶然ではなく設計で決まる。


声・目・身体――すべてを総動員せよ

特に重要なのが です。

  • 声量を上げる

  • スピードに変化をつける

これだけで、聴衆は手を止め、顔を上げます。

さらに、

  • ジェスチャーで言葉を補強

  • 視線を一人に6秒

  • 少し前に出て距離を縮める

大人数でも、狙われた一人の周囲は「自分を見られている」と感じます。

ミニまとめ
身体的エネルギーは、心理的エネルギーを生む。

良いスタートは「維持」するだけでいい

勢いよく始まれば、あとは その熱量を保つだけです。

  • 声の抑揚

  • 効果的な間(ポーズ)

  • エネルギーの高低差

これがあれば、日本の聴衆を眠らせずに済みます。

一方で、

  • 小さく始まり

  • 小さく続き

  • 小さく終わる

プレゼンは、静かに忘れ去られる運命です。

ミニまとめ
小さく始まった話は、大きくならない。

すぐ実践できるアクションステップ

アクション ステップ

  1. 聴衆は半分眠っていると理解する

  2. 注意散漫な時代と競っていることを忘れない

  3. WOWなオープニングを必ず用意する

  4. 声・目・身体・姿勢・位置を総動員する

  5. 最初から高く始める(後から上げるより簡単)

まとめ:あと10度で、あなたは別次元へ行ける

  • 能力は足りている

  • 内容も悪くない

  • ただ「熱量」が足りない

その あと10度 が、平凡と卓越を分けます。

始まりで火をつけ、最後まで燃やし切る。

それができたとき、あなたのプレゼンは「よかった」から「忘れられない」へ変わります。

プレゼンを 「無難」から「圧倒的」へ引き上げたい方へ。

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デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。

東京オフィスは1963年設立、日本企業と外資系企業の成長を支え続けています。

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