なぜ一流企業の経営幹部ほど「2分間スピーチ」で失敗するのか? ― 役員選考の場で露呈した、致命的なプレゼン欠陥 ―
なぜ経営幹部同士のスピーチ対決は、これほど珍しいのか?
スピーチコンテストやディベート大会は、学生や若手向けのものというイメージがあります。
一方で、大企業のトップ同士が、公の場で競い合うスピーチは極めて稀です。
ある非営利団体の理事選考の場で、定員を上回る候補者が集まり、各自 2分間のスピーチ で支持を競う場面に立ち会いました。
全員が経験豊富なシニアリーダー。
国際ビジネスの第一線で活躍してきた人物ばかりです。
――しかし結果は、驚くほど残念なものでした。
ミニまとめ:
肩書きの高さは、スピーチ力を保証しない。
なぜ「英語力」は、まったく問題ではなかったのか?
ほとんどの登壇者にとって、英語は母語ではありませんでした。
しかし彼らは、
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多国籍企業での長年の経験
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海外駐在歴
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グローバル経営の実績
を持っています。
つまり、言語力は一切の言い訳にならない状況でした。
問題は、まったく別のところにありました。
ミニまとめ:
失敗の原因は、言語ではなく設計力。
なぜ「履歴書スピーチ」は、必ず失敗するのか?
多くの候補者がやっていたこと。
それは、
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自分の経歴
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会社の規模
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組織の実績
を語ることでした。
しかし、聴衆が知りたかったのは、そこではありません。
彼らは、
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この人は、私たちの利益をどう代表してくれるのか?
-
この人は、何を変えてくれるのか?
を知りたかったのです。
スピーチはすべて、話し手視点で作られていました。
ミニまとめ:
「自分の話」は、聴衆の関心とズレやすい。
2分スピーチで本当にやるべき設計とは?
たった数分の準備でも、やるべきことは明確でした。
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聴衆の期待を洗い出す
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理事に求められる役割を言語化する
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自分の経験が、どう貢献するかを結びつける
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最も響くポイントだけに削ぎ落とす
2分間では、盛ることより「削る力」が重要です。
リハーサルなしでは、時間オーバーや情報過多に陥ります。
ミニまとめ:
短時間スピーチは、編集力の勝負。
なぜ「連続登壇」では、記憶に残らないのか?
候補者は、次々に登壇していきます。
つまり、
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直前のスピーカーの印象を上書きし
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次のスピーカーに消されない
強い痕跡を残す必要があります。
ところが、ほとんどの登壇者は、聴衆とまったく関係を築いていませんでした。
ミニまとめ:
連続スピーチでは、印象の強度がすべて。
決定的に欠けていた「アイコンタクト」
最も顕著だった欠陥は、アイコンタクトの欠如でした。
2分あれば、
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6秒 × 20人 = 少なくとも20人
と、直接的な一対一の関係を作れます。
さらに、後方席では「周囲の人も自分を見られている」と感じます。
これは、指数関数的に影響力を広げる技術です。
ミニまとめ:
視線は、最短距離の説得ツール。
なぜモノトーンと「手を隠す姿勢」は危険なのか?
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履歴書をモノトーンで読む
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手を背中に回して話す
これらは、説得力を自ら放棄する行為です。
声に抑揚がなければ、重要語が浮かび上がりません。
手を見せない姿勢は、原始的レベルで 不信感 を引き起こします。
これは、洞窟時代から続く人間の本能です。
ミニまとめ:
声と手は、信頼を可視化する装置。
経営者が学ぶべき、最も重要なスキルとは?
今回のスピーチ対決では、
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個人ブランド
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プロフェッショナルブランド
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企業ブランド
すべてにダメージが生じました。
経営者は、生まれながらの名スピーカーではありません。
スキルは、学び、磨き、鍛えるものです。
それを怠ると、ここぞという場面で、取り返しのつかない機会損失が起こります。
ミニまとめ:
プレゼン力は、経営スキルの一部。
実践アクションステップ
アクション ステップ
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2分スピーチは「聴衆視点」で設計する
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最重要ポイント以外は、すべて削る
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リハーサルで時間を完全管理する
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6秒アイコンタクトを複数人に使う
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声の抑揚とジェスチャーで存在感を出す
まとめ:あなたが話す番が来たら、勝ちに行け
役員選考、社内選抜、重要な意思決定の場。
そこで話すチャンスは、そう何度もありません。
準備不足の競合を前に、あなたが本気で準備すれば、圧勝できます。
その2分間は、あなたのキャリア、そして組織の未来を左右するかもしれません。
準備せよ。
磨け。
そして、他を圧倒せよ。
次に勝つのは、 「肩書き」ではなく「準備した人」です。
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