リーダーシップ

日本のリーダーは「鼓舞」より「個別対応」——本当に成果を生むリーダーシップとは何か

「もっと部下をやる気にさせろ」「モチベーションを上げろ」
──そう言われて、力強いスピーチや檄を飛ばすことが、今の日本のリーダーにとって本当に正解でしょうか。

ハリウッド映画に出てくるような、カリスマ性あふれるリーダーが全員を鼓舞し、一斉に問題解決へ突き進む姿。
しかし、現実の職場、特に 日本企業や外資系企業の日本拠点 では、そのモデルはすでに限界を迎えています。

Q1. なぜ「熱い檄(げき)」型リーダーシップは通用しなくなったのか?

かつては、スポーツチームのロッカールームでの鼓舞が、ビジネスリーダーの理想像とされてきました。
しかし現在、トップアスリートを率いる指導者たちは、全体に向けた一方的な鼓舞よりも、一人ひとりと向き合う対話 を重視しています。

ビジネスも同じです。
社員は「集団」ではなく「個人」であり、それぞれ動機も課題も異なります。

ミニサマリー
👉 現代のリーダーシップは「全体を煽る」より「個を理解する」方向へ進化しています。

Q2. 日本の職場では、なぜ言葉の影響力が制限されやすいのか?

日本でリーダーを務める場合、多くの現場では 2つの言語 が存在します。
日本語と英語。どちらも完璧に操れる人は、実は少数派です。

言語は、説得力・微妙なニュアンス・感情表現に直結します。
母語で話すときほど、論理も感情も自在に使えますが、非母語ではどうしても制約が生まれます。

そのため、言葉の熱量だけに頼るリーダーシップ は、現実的ではなくなっています。

ミニサマリー
👉 言語の壁がある環境では、スピーチ力より「理解力」と「関係構築力」が成果を左右します。

Q3. 部下の非成果は、本当に「やる気不足」なのか?

部下が成果を出せないとき、私たちはつい「モチベーションが低い」と考えがちです。
しかし実際には、原因はもっと具体的で、分類できます。

ここからは、よくある5つの問題 と、それぞれに対する正しいリーダーの対応を見ていきましょう。

Q4. 問題①「何をすればいいかわからない」

真の課題

業務の目的・内容・期待水準が曖昧なまま放置されている。

解決策

教育(Education)
形だけのオンボーディングやOJTでは不十分です。
知識の抜け漏れを棚卸しし、改めて体系的に教える必要があります。

リーダー自身が「時間を取る覚悟」を持つことが不可欠です。

ミニサマリー
👉 知らないことは、やる気では解決できません。まずは教えること。

Q5. 問題②「やり方がわからない」

真の課題

業務の手順やプロセスが明確になっていない。

解決策

トレーニング(Training)
採用や昇進=即戦力、という思い込みは危険です。
組織固有の仕組みや仕事の流れは、段階的に習得させる必要があります。

ミニサマリー
👉 「できるはず」ではなく、「できる状態」を作るのがリーダーの仕事。

Q6. 問題③「自分にはできないと思っている」

真の課題

環境変化により、自信と自己効力感が低下している。

解決策

コーチング(Coaching)
事業環境の変化、組織再編、マーケットの激変──
過去に成果を出していた人ほど、自信を失うことがあります。

対話を通じて、「できる理由」を再構築する支援が必要です。

ミニサマリー
👉 自信は叱咤ではなく、対話と成功体験で取り戻します。

Q7. 問題④「なぜやるのかわからない」

真の課題

目的(WHY)が共有されていない。

解決策

ビジョン共有(Purpose)
経営層には当たり前の「なぜ」が、現場には届いていないケースが非常に多いのです。

繰り返し、粘り強く伝え続けることが重要です。

ミニサマリー
👉 WHYが見えなければ、人は動きません。

Q8. 問題⑤「やりたくない」

真の課題

本人の価値観・動機と仕事が結びついていない。

解決策

内発的動機づけ(Motivation)
人はお金や昇進だけで動くわけではありません。
心理学者ハーズバーグが示した通り、報酬は「前提条件」にすぎません。

重要なのは、

  • 何にやりがいを感じるのか

  • 何を大切にしているのか

を、質問によって理解すること です。

ミニサマリー
👉 動機は与えるものではなく、引き出すもの。

Q9. リーダーにとって最も重要な資源とは?

それは 「ボスタイム」 です。
テクノロジーは便利になりましたが、リーダーの時間は増えていません。むしろ奪われています。

だからこそ、

  • 誰に

  • どんな時間を

  • どう使うのか

を意識的に選ぶ必要があります。

人材こそが成果を生む最大要因であるなら、時間投資の優先順位も自明です。

ミニサマリー
👉 人に時間を使わないリーダーは、成果も文化も作れません。

要点整理

  • 現代のリーダーシップは「個別対応」が中心

  • 非成果の原因は、モチベーション以前の問題であることが多い

  • 教育・訓練・コーチング・目的共有・動機理解が鍵

  • リーダーの最大の仕事は「人に向き合う時間を確保すること」

あなたのチームの課題は、やる気不足 でしょうか? それとも、本当の原因が見えていないだけ でしょうか。

👉 今すぐ、チームとの対話の時間を見直してみてください。
👉 個別対応型リーダーシップについて、さらに深く知りたい方は、専門家との対話から始めてみましょう。

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デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。

東京オフィスは1963年設立、日本企業と外資系企業の成長を支え続けています。

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