人事評価は「裁く場」ではない —— 管理職のためのRAVEパフォーマンス評価フレームワーク
部下のパフォーマンス評価ほど、 上司・部下の双方にとってストレスの大きい仕事 はありません。
評価は、昇進・賞与・責任拡大につながる一方で、時には「退職」という重い結果を伴います。
そのため、評価面談はどうしても緊張感の高い場になります。
多くの上司は、評価をする側でありながら、実はこのプロセスが大嫌いです。
特に「平均的、あるいは少し足りない」人材を切らなければならない時ほど、苦しいものはありません。
では、どうすれば「人を切るための評価」ではなく、「人を活かすための評価」を行うことができるのでしょうか。
その答えが、RAVEフレームワーク です。
Q1. なぜパフォーマンス評価はこれほど難しいのか?
パフォーマンス評価は、
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人の将来を左右する
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数字と主観が混在する
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組織の都合が介入する
という、非常に不安定な要素を含んでいます。
特に多くの企業で行われている「ベルカーブ(強制分布)」評価では、必ず一定数が下位に位置づけられます。
上司としては部下を守りたい。
しかし「何人削減せよ」という上からの指示が下りてくる。
その板挟みが、評価を“苦行”にしているのです。
ミニサマリー
👉 評価が辛いのは、あなたが冷酷だからではなく、構造的に難しいからです。
Q2. RAVEとは何か?なぜ有効なのか?
RAVEとは、評価を「過去の精算」ではなく「未来への設計図」に変えるための4ステップ です。
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R:Review(結果の確認)
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A:Analyse(現状分析)
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V:Vision(将来像の共有)
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E:Encourage(励ましと動機づけ)
この順序で進めることで、評価面談を「処刑の場」から「再起動の場」へ変えることができます。
ミニサマリー
👉 RAVEは、評価を「削除」ではなく「成長」に向ける型です。
Q3. R|成果基準をレビューするとはどういうことか?
最初に行うのは、「本来、何が期待されていたのか」 の確認です。
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役割として求められていた成果
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数値目標や達成基準
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定性的な期待(行動・姿勢・影響力など)
数値化できる仕事は比較的明確ですが、管理職・専門職ほど主観が入りやすくなります。
だからこそ、「あるべき姿(Should Be)」を曖昧にしないことが重要です。
ミニサマリー
👉 基準が曖昧な評価は、不満と不信を生みます。
Q4. A|現状をどう分析すべきか?
次に見るのは、現在の実績(As Is) です。
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何ができているのか
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どこが基準に届いていないのか
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なぜギャップが生まれているのか
ここで重要な問いがあります。
「この人は、そもそも今の仕事に合っているのか?」
もし合っていないのであれば、配置転換という選択肢も検討すべきです。
それでも難しい場合、残念ながら「組織に必要な水準に届いていない」という判断を下さなければならないこともあります。
ミニサマリー
👉 評価とは「善悪」ではなく「適合性」を見る行為です。
Q5. V|将来像をどう描けばよいのか?
継続すると決めた場合、評価はここからが本番です。
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将来、どんな姿を期待しているのか
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どのギャップを埋める必要があるのか
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どこに時間・エネルギー・資源を投下すべきか
この段階では、遠慮のない率直さと、現実的な支援設計が求められます。
部下を育てると、自分の立場が危うくなると恐れる上司もいます。
しかし実際には、後継者を育てられる上司ほど評価される のが現実です。
ミニサマリー
👉 後継者を育てられない人は、次のポジションに進めません。
Q6. E|なぜ「励まし」が最重要なのか?
多くの評価面談は、部下のモチベーションを下げて終わります。
それは、
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過去の失点ばかりに焦点を当て
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未来への期待が語られない
からです。
評価は「振り返り」であると同時に、次の一年を前向きにスタートさせる場 でなければなりません。
上司の言葉ひとつで、人は「やる気を失う」ことも、「もう一度頑張ろう」と思うこともあります。
ミニサマリー
👉 評価の最後は、必ず未来を向かせる必要があります。
Q7. なぜ評価面談は事前準備がすべてなのか?
パフォーマンス評価は、年に数回しか行いません。
つまり、練習量が圧倒的に足りない仕事 なのです。
だからこそ、
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構成を決め
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言葉を選び
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感情の動きを想定し
入念な準備が必要になります。
RAVEは、その準備の「型」として非常に有効です。
ミニサマリー
👉 評価は即興でやる仕事ではありません。
要点整理
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パフォーマンス評価は人の人生に影響する重要業務
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RAVEは評価を「未来志向」に変えるフレームワーク
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基準・現状・将来像・励ましの順序が重要
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評価面談の質は、準備の量で決まる
次の評価面談を、 「気が重いイベント」 にしますか? それとも 「人を立て直すチャンス」 にしますか?
次回の評価面談では、
RAVEの4ステップを紙に書き出すところから始めてみてください。
その準備が、結果を大きく変えます。
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