リーダーシップ

成果が出ない部下をどう導くか?― 80:20の壁を超えるデール・カーネギー人間関係の原則①②③

「なぜ一部のメンバーだけが成果を出し、残りは伸び悩むのか?」

「できる人ばかりに時間を使ってしまい、チーム全体が活性化しない」
──多くのリーダーが、この同じ悩みに直面しています。

その背景にあるのがパレートの法則(80:20の法則)です。
しかし、本当の問題は“誰が成果を出していないか”ではなく、リーダー自身の考え方と関わり方にあります。

Q1. なぜ80%のメンバーとの関係が、チームの成果を左右するのか?

 

― パレートの法則をどう受け止めるべきか

チームの20%が80%の成果を生み出しているとしたら、残り80%のメンバーは「問題」なのでしょうか?

もしリーダーが

  • 成果の低いメンバーを避け

  • 高業績者とだけ関わり

  • 心の中で「変わるべきは彼らだ」と思っている

としたら、その瞬間から悪循環が始まります。

  • 関わられない → モチベーション低下

  • モチベーション低下 → 成果低下

  • 成果低下 → さらに距離が広がる

一方で、統計的に「20%と80%は必ず存在する」と受け入れた上で、チーム全体の力をどう引き出すかに焦点を移すと、結果は変わります。

ミニサマリー
👉 問題は80%の存在ではなく、リーダーの“見方”にある。

Q2. リーダーの役割は「優秀な人を集めること」ではないのか?

― 指揮者としてのリーダーシップ

人にはそれぞれ異なる強みがあります。
リーダーの役割は、オーケストラの指揮者に似ています。

  • 20%はスター奏者(第一バイオリン、ソリスト)

  • しかし、他の演奏者が機能しなければ音楽は成立しない

全員が同じように輝く必要はありません。
全員が調和し、価値を発揮できる環境をつくることが、リーダーの仕事です。

そのためには、

  • 関わり方

  • 声のかけ方

  • 心の中の評価

リーダー自身が先に変える必要があります。

ミニサマリー
👉 強いチームは、全員が「必要とされている」と感じている。

Q3. なぜ人は変わらないのか?

― 変えられるのは「自分だけ」という現実

多くのリーダーは無意識にこう思っています。
「彼らが変わってくれれば、もっと楽になるのに」

しかし現実はシンプルです。
私たちは他人を変えられません。変えられるのは自分だけです。

これは、「人を動かす(How to Win Friends and Influence People)」の中心思想でもあります。

  • 操作や説得では人は動かない

  • まず自分が変わることで、相手の反応が変わる

たった3度、関わり方の角度を変えるだけで、相手の反応はネガティブからポジティブへと変わり始めます。

ミニサマリー
👉 変化は、相手ではなく自分から始まる。

Q4. 原則① なぜ批判は逆効果なのか?

原則①:批判、非難もしない。不平も言わない。

人を批判して、「あなたの言う通りでした」と素直に認められた経験はありますか?

ほとんどの場合、人は

  • 自分を守り

  • 正当化し

  • 心を閉ざします

結果として、

  • 関係は悪化

  • 動機づけは低下

  • チーム全体の空気も悪化

します。

ミニサマリー
👉 批判は行動を変えず、感情だけを傷つける。

Q5. 原則② なぜ承認が決定的に不足しているのか?

原則②:素直に誠実な感謝や称賛を与える。

多くのリーダーは「給料を払っているのだから、やって当たり前」と考え、承認をほとんど与えていません

一方で、人は

  • 認められたい

  • 見てもらいたい

  • 価値を感じたい

という欲求を強く持っています。

重要なのは具体性と事実です。

良い例

「鈴木さん、期限内に必要な情報を返してくれて助かりました。
おかげで締切を守れました。ありがとうございます」

事実+影響を伝えることで、その承認は「お世辞」ではなく信頼になります。

ミニサマリー
👉 承認は抽象ではなく、証拠付きで伝える。

Q6. 原則③ なぜ人は協力してくれないのか?

原則③:強い欲求を起こさせる。

私たちは一日中、自分が欲しいものを考えています。
部下も同じです。

  • 成長したい

  • 評価されたい

  • 安心したい

  • 面白い仕事がしたい

リーダーが「私がこうしたい」「今すぐやってほしい」という話し方ばかりをしていれば、協力は得られません。

相手にとってのメリットを示したとき、人は「自分のために」動き始めます。

ミニサマリー
👉 協力は命令ではなく、利益の共有から生まれる。

要点整理

  • 80:20の法則は避けられないが、成果は関わり方で変えられる

  • リーダーは指揮者として全体の調和をつくる存在

  • 批判はやめ、具体的な承認を増やす

  • 相手の欲求を理解したコミュニケーションが協力を生む

今週、あなた自身は「何度」関わり方を変えますか?

たった3度の変化が、チームの反応を変え始めます。

👉 人を動かすリーダーシップを体系的に学びたい方は、デール・カーネギー・東京に無料相談をお申し込みください。


デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。
東京オフィスは1963年設立。日本企業・外資系企業の成長を60年以上にわたり支え続けています。

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