日本で職場文化を変えるには何から始めるべきか?―「正しい答え」より「正しい問い」を立てるリーダーシップ
「着任したが、思ったように文化改革が進まない」
「会議では賛成されたのに、なぜ何も変わらないのか?」
──日本で組織を率いる多くのリーダーが、同じ壁にぶつかります。
ゼロから組織を立ち上げ、文化を白紙から設計できる機会は、現実にはほとんどありません。
大半のリーダーは、過去の積み重ねによって形成された既存の文化を引き継ぐことになります。
問題は、その文化が
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意図的につくられたものなのか
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いつの間にか定着したものなのか
が分からないまま、変えようとしてしまうことです。
Q1. 既存の文化を引き継いでも、本当に変えられるのか?
― 変えられる。ただし「やり方」を誤ると失敗する
既存文化を引き継いだからといって、改善や進化ができないわけではありません。
しかし、ここで多くの外資系・海外出身リーダーが陥る罠があります。
それは、
「本社のやり方をそのまま日本に持ち込めばいい」
という発想です。
「金槌を持つと、すべてが釘に見える」
──自分が慣れ親しんだ文化を“正解”と決めつけると、日本ではほぼ確実に失敗します。
ミニサマリー
👉 日本の文化は「修正」ではなく「理解」から始める。
Q2. 日本で文化改革を進めるための出発点は何か?
― 「正しい答え」ではなく「正しい問い」
欧米型の経営では、「正しい答えを早く出す」ことに価値が置かれます。
一方、日本のビジネスでは、「正しい問いは何か?」に重点が置かれます。
まず問うべきなのは、
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何がすでにうまく機能しているのか?
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なぜ、このやり方が続いてきたのか?
もし立場が逆で、日本語が読めず、英語も通じにくい外国人上司が突然現れ、「文化を変える」と言い出したら──あなたは素直に従えるでしょうか?
それが、日本でのあなたの立場です。
ミニサマリー
👉 日本では「問いの質」が改革の成否を決める。
Q3. 日本の職場文化は「妥協の産物」なのか?
― 表に見えない調和の仕組み
日本の組織文化は、
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価値観
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言語
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働き方
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人間関係
の長年の妥協と調整の積み重ねで成り立っていることが多くあります。
一見、非効率に見える仕組みが、実は全員が摩擦なく働くための最適解である場合もあります。
それを理解せずに壊すと、組織は静かに、しかし確実に機能不全に陥ります。
ミニサマリー
👉 日本の文化は「非合理」ではなく「高文脈」。
Q4. なぜ「俺のやり方に従え」は通用しないのか?
― 西洋型トップダウンとの決定的な違い
欧米では、「気に入らなければ辞めればいい」
というトップダウン文化が成立することがあります。
しかし日本では、
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人間関係
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過去の恩義
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非公式な義務
が強く影響します。
新しいアイデアに反対が出たとき、それは論理の問題ではなく、誰との関係を守ろうとしているのかという背景があることも珍しくありません。
例えば、「前会長の方針だから変えられない」
というケースです。
これは理屈ではなく、義理と敬意の問題です。
ミニサマリー
👉 反対意見の裏には、人間関係の物語がある。
Q5. なぜ「はい」は必ずしも同意ではないのか?
― 日本特有の意思決定プロセス
日本では、重要な決定は事前調整(根回し)によって行われます。
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非公式な対話
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水面下での合意形成
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関係者全員の納得
会議は「決める場」ではなく、決まったことを確認する場です。
そのため、会議中の「はい」は、「あなたの話を聞いています」という意味であり、「賛成します」「実行します」とは限りません。
ミニサマリー
👉 日本では、会議前にすでに勝負が決まっている。
Q6. 日本の文化は本当に「遅い」のか?
― 決定は遅く、実行は速い
日本の意思決定は確かに時間がかかります。
しかし、一度決まると、実行スピードは非常に速い。
なぜなら、
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反対意見がすでに解消され
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全員が腹落ちしている
からです。
では、どちらが優れているのでしょうか?
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早く決めて、後で揉める
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時間をかけて決め、一気に実行する
日本は後者を選んできました。
ミニサマリー
👉 日本は「遅い国」ではなく「慎重な国」。
要点整理
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日本での文化改革は「理解」から始める
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正しい答えより、正しい問いを立てる
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反対の裏には人間関係と歴史がある
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根回しは遠回りではなく最短ルート
今、あなたが最初に問うべき質問は何ですか?
「なぜ、ここではこうしているのか?」
その問いが、文化改革の第一歩です。
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