マネジャーとリーダーの決定的な違いとは?―「知る・感じる・察する」の順番が変わると、成果も人も変わる
「自分は“正しい答え”を出しているはずなのに、なぜ人がついてこないのか?」
もし、そう感じたことがあるなら、それは能力不足ではなく、視点の順番の問題かもしれません。
最近、ソーシャルメディアで Marcel Danne(エグゼクティブ・コーチ)が提示した、あるシンプルな対比が示唆に富んでいました。
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マネジャー:Know → Feel → Sense(知る → 感じる → 察する)
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リーダー:Sense → Feel → Know(察する → 感じる → 知る)
一見、抽象的に見えますが、これはリーダーシップの成熟度を鋭く表しています。
Q1. なぜマネジャー時代の自分は、あれほど自信満々だったのか?
― 「答えを持っている」という錯覚
マネジャーだった頃、「自分は分かっている」「何をすべきかは明確だ」と強く信じていました。
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勉強もした
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本も読んだ
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人一倍働いた
だから、自分が正解を持っていると疑いもしませんでした。
結果として、
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実行は速い
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推進力は強い
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しかし、視野は狭い
という状態に陥ります。
ミニサマリー
👉 マネジャーの自信は、努力の証でもあり、視野制限の原因にもなる。
Q2. なぜ他人の意見に耳を貸さなくなるのか?
― 行動優先、内省後回し
マネジャー時代は、
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立ち止まらない
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振り返らない
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とにかく前へ
という姿勢が美徳でした。
そこには
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エゴ
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昇進欲
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成果プレッシャー
が重なります。
「感じる」「察する」よりも、「動く」「押す」「進める」が優先される。
その結果、他者の視点はノイズになりがちです。
ミニサマリー
👉 行動力は武器だが、内省なき行動は独善に近づく。
Q3. 日本で言われる「正しい答えより、正しい問い」とは何か?
― マネジャー思考が止まる瞬間
日本では、「最初に必要なのは、正しい答えではない」「最も重要なのは、正しい問いである」と言われます。
これは、答えを急ぐマネジャー脳にとっては、強烈な違和感です。
しかし、
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問いを間違えると
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正しい答えも意味を失う
という事実に気づくと、世界の見え方が変わります。
ミニサマリー
👉 リーダーは「答える人」ではなく、「問いを設計する人」。
Q4. 「感じる力」が欠けていた頃の自分
― 強度は高いが、感度は低い
当時の行動原理は、
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マイウェイ or ハイウェイ
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言い訳不要
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弱音禁止
まさに結果至上主義のマネジャー船長。
そこに
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感情への配慮
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心理的安全性
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共感
は、ほとんど入り込む余地がありませんでした。
ミニサマリー
👉 強度だけのリーダーシップは、人の感度を置き去りにする。
Q5. 何が変化のきっかけだったのか?
― 静かに進んだ内面の再配列
劇的な転機があったわけではありません。
徐々に、「感じる」ことが前に出てきただけでした。
背景には、Dale Carnegie Trainingで学び、教えてきた人間関係の哲学があります。
象徴的だったのは、かつて一緒に働いていた秘書が、数年後に「ずいぶん変わりましたね」と周囲に話していたと聞いた時でした。
ミニサマリー
👉 変化は自覚より、他人の観察で分かることが多い。
Q6. 今の自分はリーダーなのか?
― 完成ではなく、進行形
今でも、
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競争心は強い
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完璧主義は残っている
しかし、
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一人では無理
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他者の視点が必要
という現実を、腹落ちで理解しています。
映画のジョン・ウェイン型リーダーは、現代の複雑なビジネスでは通用しません。
ミニサマリー
👉 リーダーとは「万能な個人」ではなく「集合知の触媒」。
Q7. あなたはどの順番で世界を見ているか?
― Sense・Feel・Knowの自己点検
Marcel Danneのフレームは、自分を見つめ直す
良質な鏡になります。
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まず察しているか?
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感情を感じ取っているか?
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その上で、判断しているか?
それとも、
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知っている
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正しい
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だから従え
の順番でしょうか。
要点整理
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マネジャーは「答え」を急ぎ、リーダーは「問い」から始める
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行動力は重要だが、内省と感受性がなければ独善に傾く
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リーダーシップは完成形ではなく、自己発見の旅
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Sense → Feel → Know への並び替えが、影響力を高める
あなたはいま、どの順番で判断していますか?
順番を変えるだけで、
人の反応も、成果も変わります。
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デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。
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