イノベーションはR&D部門の専売特許ではない ― なぜ組織の創造性は活かされずに終わるのか ―
なぜイノベーションはR&D部門だけの仕事だと思われているのか?
イノベーションは研究開発部門だけのものではありません。
現場で働く社員一人ひとりは、顧客の反応、競合の動き、仕入先の変化など、極めて価値の高い商業インテリジェンスを日々キャッチしています。
白衣を着ていないからといって、その洞察が劣っているわけではありません。
しかし現実には、多くの企業がそれらの声を見過ごしています。
ミニサマリー
👉 創造性は現場にあるが、組織が拾い上げていない。
イノベーションとは「何」を指すのか?
イノベーションとは、創造的なアイデアを実用的な製品やサービスに変えることです。
アイデアの芽(創造性)は誰にでも生まれます。しかし、そのアイデアを形にする道のりは、一人では完結しません。
この「個人を超えたプロセス」で、多くの企業はつまずきます。
ミニサマリー
👉 問題はアイデアではなく、実行までの設計不全。
なぜ良いアイデアは組織の中で止まってしまうのか?
最新のグローバル調査では、驚くべき結果が明らかになりました。
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組織のどこからでも積極的にアイデアを探しているリーダー:21%
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良いアイデアが簡単にサポートされると感じている社員:23%
競争が激化する市場環境を考えれば、これは極めて低い数字です。
ミニサマリー
👉 多くの組織は「アイデアを欲しい」と言いながら、本気では探していない。
そもそも、アイデアは本当に生まれているのか?
アイデアは、エンゲージメントの高い個人から生まれます。
会社に関心がなく、ただ給料のために働いている状態では、「より良いネズミ捕りを作ろう」とは思いません。
高いエンゲージメントを生む感情的トリガーは次の4つです。
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自分は大切にされている
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自分には能力がある
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自分には裁量がある
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自分はチームとつながっている
しかし現実は厳しく、
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「本当に大切にされている」と感じる社員:27%
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「エンパワーされている」と強く感じる社員:24%
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自分のスキルに自信がない社員:62%
ミニサマリー
👉 アイデア以前に、心理状態が整っていない。
なぜ「目的(Purpose)」が重要なのか?
近年、Purpose(存在意義)が重要視されています。
問題は、日々の仕事とPurposeが本当に結びつけて語られているかです。
多くの上司は「自分は伝えている」と思っています。
しかし、1日の会話を録音してみたらどうでしょうか?
なお、「株主価値の最大化」は、社員の心を動かすPurposeにはなりません。
人を一段上のギアに入れるには、より高次の目的が必要です。
ミニサマリー
👉 Purposeは掲げるものではなく、日常で語るもの。
なぜ今「心理的安全性」がこれほど重要なのか?
心理的安全性は、かつて職場で語られることはありませんでした。
多くのベテラン管理職は、「我慢」「根性」「耐え抜く」文化で育ってきました。
しかし時代は変わりました。
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人材獲得競争は激化
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人は簡単に補充できない
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離職コストは極めて高い
恐怖や威圧で動かすリーダーシップは、もはや通用しません。
ミニサマリー
👉 昔の成功体験が、今の失敗を生んでいる。
心理的安全性はイノベーションとどう関係するのか?
心理的に安全な環境では、人はリスクを取ります。
リスクを取るからこそ、新しく独創的なアイデアが出てきます。
逆に、失敗や発言が罰せられる環境では、人は沈黙を選びます。
ミニサマリー
👉 安全な環境が、挑戦を生み、挑戦がイノベーションを生む。
結論:イノベーションを殺しているのは誰か?
イノベーションを阻んでいるのは、市場でも競合でもありません。
組織の空気と、リーダーの在り方です。
人はアイデアを持っています。
それを出すか、出さないかは、環境次第なのです。
要点整理
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イノベーションはR&D部門だけの仕事ではない
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エンゲージメントが低いと、アイデアは生まれない
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Purposeと日常業務の接続が不可欠
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心理的安全性は、創造性の前提条件
あなたの組織では、 「誰でも安心してアイデアを出せる環境」が整っていますか?
もし答えが曖昧なら、そこが最大の成長余地です。
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