日本で成功するリーダーはカリスマではない?──個の迫力より「信頼」で組織を動かす日本型リーダーシップ
成功経営者なのに、なぜ印象が薄いのか?
最近、ある成功企業のオーナーと会いました。
20年前に会社を買収し、事業を大胆にピボット。
社員数は230名を超え、最近では株式上場まで果たしています。
当然、私はこう想像していました。
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カリスマ性がある
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圧倒的な個のパワー
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近寄りがたいオーラ
ところが──
まったく違っていたのです。
Q1:なぜ「違和感」を覚えたのか?
理由は単純です。
私はオーストラリアで育ち、西洋型の成功経営者像を刷り込まれてきました。
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雄弁
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エネルギッシュ
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強烈な存在感
ところが目の前の日本人経営者は、
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穏やか
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控えめ
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個の迫力はほぼゼロ
しかも、日本語という曖昧で婉曲的な言語での会話が、その印象をさらに強めました。
ミニサマリー
違和感の正体は「期待していた成功モデルの違い」。
Q2:日本では「個の力」より何が重要なのか?
日本では、ポジションパワー(役職)がパーソナルパワーよりも重視されがちです。
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大きな肩書
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小さな個性
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静かな存在感
これは決して例外ではありません。
もちろん、カリスマ的な日本人経営者も存在します。
たとえば、パーソルグループ創業者の 南部靖之 氏は、極めて高い個人影響力を持つ稀有な存在です。
しかし、
それは例外なのです。
ミニサマリー
日本では「カリスマ」は必須条件ではない。
Q3:日本のリーダーは「リーダー」ではない?
私たちが研修で明確に区別するのが、
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マネジャー
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リーダー
の違いです。
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マネジャー:
プロセス、コスト、品質、納期を守る -
リーダー:
それに加えて方向性を示し、人を育てる
この定義で見ると、日本で出会う多くの「社長」は、実は優秀なマネジャーです。
ミニサマリー
日本には「管理に長けた経営者」が非常に多い。
Q4:それでも成功できるのはなぜか?
日本は、
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細部重視
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長期視点
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慎重
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粘り強い
という文化を持っています。
この組み合わせは、
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急成長はしにくい
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しかし、持続成長に強い
結果として、
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静か
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地味
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でも確実に積み上げる
企業が生まれます。
ミニサマリー
日本は「派手さより継続性」が勝つ市場。
Q5:オーストラリア型リーダーとの決定的な違い
対照的なのが、オーストラリアのデール・カーネギー・フランチャイジー、ジョーダン・ワンのケースです。
彼は、
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ゼロから事業をスタート
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精緻な戦略フレームワークを設計
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わずか数年で急成長
強烈な思考力、エネルギー、そしてカリスマ性を兼ね備えています。
アメリカのベテランフランチャイジーが「自分があまり賢くない気がしてきた」と漏らしたほどです。
ミニサマリー
西洋では「個の思考力×表現力」が成長を加速させる。
Q6:日本で最も重要なリーダー要件とは?
それは、信頼(Trust)です。
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社員を引き留める
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顧客を獲得する
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長期に事業を続ける
このすべての土台が「信頼」。
日本ではこの言葉の重みが、他国よりも圧倒的に強い。
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カリスマがなくても
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派手でなくても
信頼があれば、ビジネスは成立します。
ミニサマリー
日本では「信頼>カリスマ」。
Q7:では、日本のリーダーをどう見極めるべきか?
もし日本人リーダーが、
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地味
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無口
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面白みがない
としても、即座に切り捨ててはいけません。
見るべき指標は、
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社員数
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離職率
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事業継続年数
特に、
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数十年にわたり組織を維持しているか
ここが極めて重要です。
ミニサマリー
日本では「続いていること」自体が実力の証明。
Q8:日本人は「個」では弱いが「集団」では強い
日本人は、
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個で突出する人は少ない
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しかし、集団になると非常に強い
その集団をまとめ続けるには、
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信頼
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安定
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一貫性
が必要です。
もしそれを数十年維持しているなら、そのリーダーは優れた経営者である可能性が高い。
ミニサマリー
日本のリーダーシップは「静かな強さ」。
要点整理
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日本の成功リーダーはカリスマ的とは限らない
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個の迫力より「信頼」が成果を生む
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多くは優秀なマネジャー型経営者
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社員数と継続年数が実力を物語る
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地味でも続いている企業は要注目
次に日本の経営者と会ったとき、 こう問い直してみてください。
「この人は、何人の人を、どれだけ長く束ねてきたのだろうか?」
そこに、日本型成功の本質があります。
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