日本の職場で「対立が見えない」理由とは?― 上司がジョハリの窓で社内コンフリクトを早期発見・解決する方法
「チームは大丈夫だと思っていたのに、突然爆発した」 「問題があることを知ったときには、手遅れだった」
日本企業(日本の職場文化)では、対立や不満が表に出にくいため、上司――特に外国人上司は、火種に気づけないまま忙しさに飲み込まれがちです。
しかし、知らない対立は対処できません。そこで役立つのが、「ジョハリの窓(Johari Window)」を使った“見えない対立の棚卸し”です。
ミニサマリー
👉 日本の職場では「対立がない」のではなく「対立が見えにくい」だけです。
Q1. なぜ日本の職場では、上司が対立に気づきにくいのか?
日本は一般的に「衝突を避ける」傾向が強く、対立が起きても表面化しにくい環境です。さらに上司は、会議・顧客訪問・意思決定で多忙になり、現場の空気変化を拾いにくくなります。
また世界共通の現象として、悪いニュースほど上司は最後に知ることになります。
日本ではこれが特に起こりやすく、「みんな知っているのに上司だけ知らない」が発生しがちです。
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👉 忙しさ×対立回避文化で、上司の情報は遅れやすくなります。
Q2. 職場の対立は、どんなきっかけで起きるのか?
対立は「人格」の問題ではなく、日常の業務条件から起きることが大半です。よくある引き金は次のとおりです。
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状況要因:やるべきことが実施されず不満が生まれる
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コミュニケーションの誤解:意図と受け取り方がズレる
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ユーモアの事故:冗談のつもりが相手には侮辱に見える
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期待値の不一致:やり方・品質・スピードの基準が違う
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期限・成果の未達:遅延が連鎖し相互不信が増える
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👉 対立の多くは「期待値・解釈・条件設計」のズレから始まります。
Q3. ジョハリの窓で見ると、対立は4タイプに分類できる?
ジョハリの窓は「自分と他者の認識のズレ」を4象限で整理するフレームです。対立にもそのまま使えます。
① 自分も他者も知っている対立(Open)
例:プロジェクト遅延、連携不足、締切ミスが誰の目にも明らか。
このタイプは、事実が共有されているため、解決に着手しやすい。
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👉 オープンな対立は“扱いやすい問題”です。
② 自分は知っているが、他者は気づいていない対立(Hidden/片側認識)
例:上司は火種を察しているが、周囲がまだ問題として認識していない。
早期の介入で、拡大を防ぎやすいタイプです。
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👉 片側認識の段階で動ければ、深刻化を止められます。
③ 自分も他者も気づいていない対立(Unknown)
最も危険なのは、設計上の時限爆弾です。
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インセンティブ(歩合・評価)が競争を過度に煽る
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特定領域の人員不足が継続する
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非現実的な納期が常態化している
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業務が連鎖して遅延し、相互に責任転嫁が始まる
この象限の対立は、ある日突然「爆発」します。
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👉 “起きるべくして起きる対立”は、制度・設計の見直しが必要です。
④ 他者は知っているが、自分は知らない対立(Blind)
日本の職場で非常に起きやすいのがこれです。
「上司だけが知らない」対立は、対応が遅れ、被害が大きくなりがちです。
対策はシンプルです。
“上司に事実を届ける役”=信頼できる情報源を意図的に作ること。
そして、定期的に「今、チーム内で何かくすぶっていないか?」を確認することです。
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👉 日本では“ブラインド対立”を前提にマネジメント設計する必要があります。
Q4. 上司は、対立介入前に何を確認すべきか?
介入の前に、ジョハリの窓で「情報の欠落」を埋めます。ポイントは3つです。
1) みんなが知っている事実(Open)を確認する
例:進捗が悪い、連携が弱い、期限が守れない。
2) 上司だけが知っている背景(片側情報)を整理する
例:プロジェクトリーダーのユキが家庭事情で余裕がなく、短気になっている。
3) 当事者の片側にしか見えていない情報を補う
例:タロウは完璧主義で抱え込みがち。技術志向で言い方が強くなり、ユキを刺激している。
さらに重要なのが、上司が知らない“過去の因縁”などです。
例:ユキとタロウに過去の仕事上のわだかまりがある。
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👉 介入の成否は「何を知らないか」を把握できるかで決まります。
Q5. ジョハリの窓を使うと、対立解決の打ち手はどう変わる?
ジョハリの窓を作ると、あなたがやるべきことが明確になります。
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Openが中心:合意形成と段取りの再設計
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Unknownが中心:制度・リソース・納期など構造要因の是正
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Blindが中心:情報ルート整備(報告文化・相談窓口・定期チェックイン)
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片側情報が中心:当事者間の認識ギャップを埋める対話設計
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👉 対立解決は「正論」ではなく「象限に合った手当て」が効きます。
実践チェックリスト(すぐ使える)
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最近、会議で発言が減った人はいないか?
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メールやチャットの反応が遅くなった人はいないか?
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重要案件の連携が“特定の2人”で滞っていないか?
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仕事の遅延が、誰かの責任問題にすり替わっていないか?
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“上司に言いにくいこと”が増えていないか?
Action Steps(行動ステップ)
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「対立は見えないもの」と仮定する
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ジョハリの窓で現状を4象限に整理する
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「他者は知っているが上司は知らない」情報ルートを作る
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介入前に、背景情報(過去の関係性)を掘る
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象限に合った打ち手で、早期に小さく解決する
要点整理
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日本の職場では対立が“表に出ない”ため、上司は気づきにくい
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ジョハリの窓は「見えない対立」を可視化する実務ツール
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最も危険なのは「他者は知っているが上司は知らない」対立
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介入前に“何を知らないか”を埋めることが成功の鍵
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