リーダーシップ

厳しい質問にどう向き合うか ― プレッシャー下で信頼を高めるリーダーの対応力 ―

突然のトップ参加は、組織に何をもたらすのか?

新しく就任した社長が、部門の定例会議に出席することになりました。
前任の部門長が退任した直後で、現場の状況を直接把握しようという意図でした。

優れた経歴を持つトップの参加に、現場は大きな期待を寄せていました。
会議は業績報告から始まり、一見すると順調に進んでいるように見えました。

しかし、内容に納得できない点が出ると、質問は非常に鋭く、厳しいものになりました。
その緊張感は、会議室全体に強いインパクトを与えました。

ミニサマリー:
トップの存在感は、会議の質と緊張感を一気に高めます。

なぜ厳しい質問は、対応次第で評価を高めるのか?

ビジネスの現場では、

  • 取締役会

  • 全社タウンホール

  • 労組との交渉

  • 顧客からの厳しい指摘

  • 公開の場での質疑応答

など、一瞬で空気が張り詰める質問に直面することがあります。

多くの場合、人は反射的に答えてしまいます。
しかし、その瞬間こそが評価の分かれ目です。

実は、こうした場面を冷静に乗り切ると、周囲からの信頼と評価は大きく高まります。

ミニサマリー:
厳しい質問は、リーダーとしての力量を示す好機でもあります。

まず求められるのは「感情のコントロール」

厳しい質問を受けたとき、最初に問われるのは内容ではなく態度です。

  • 表情を崩さない

  • 身体で反応しない

  • 首を横に振らない

  • うなずきすぎない

私自身、公の場で指摘を受けた際、無意識に首を振ってしまっていたことに後から気づきました。

感情は一瞬で表に出ます。
だからこそ、身体の制御が重要です。

ミニサマリー:
冷静な態度は、発言の説得力を何倍にも高めます。

質問は「言い換える」ことで主導権を取り戻せる

公開の場では、質問が聞こえていない人もいます。
そのため、質問を繰り返すこと自体は自然です。

ただし、そのまま繰り返す必要はありません。

たとえば、「今年中に15%の人員削減をするのでは?」という質問に対して、

そのまま復唱するのではなく、「ご質問は、現在の人員体制についてですね」と抽象化して言い換えます

これにより、

  • 刺激を和らげ

  • 考える時間を確保し

  • 議論の温度を下げる

ことができます。

ミニサマリー:
質問の言い換えは、冷静さと主導権を取り戻す技術です。

クッション・ステートメントで思考時間を確保する

答えに入る前に、中立的で穏やかな一文を挟みます。

例:
「業務量と人員配置のバランスは、常に重要なテーマです」

この一文があるだけで、

  • 場の緊張が緩み

  • 思考が整理され

  • 言葉選びに余裕が生まれます

私たちが目指すのは、「後で思いつく最善の答え」にできるだけ近い回答を、その場で出すことです。

ミニサマリー:
クッションは、質の高い即答を可能にします。

回答は4つの型から選ぶ

質問への対応は、基本的に次の4つに分類できます。

  1. 否定する
     事実誤認や誤解がある場合は、明確に訂正する

  2. 認める
     事実であれば、率直に受け止め説明する

  3. 視点を転換する
     課題の中にある前向きな要素を示す

  4. 説明する
     背景や判断のプロセスを補足する

重要なのは、ごまかさず、過度に防御的にならないことです。

ミニサマリー:
誠実で整理された説明は、信頼を積み上げます。

視線の使い方が、場の空気を整える

回答の最初は、質問者の目をしっかり見ます。
その後は、質問者だけに向き合わず、会場全体に視線を配ります。

一人ひとりに、約6秒ずつ。
これを繰り返します。

これにより、議論の主役は「個人」から「全体」へ移ります。

ミニサマリー:
視線は、場の力学をコントロールします。

最後に「良いニュース」で全体像を取り戻す

厳しい質問は、聴衆の意識を「問題点」に集中させます。

短く答えた後、今うまく進んでいる取り組みや前向きな動きを添えます。

これにより、組織全体のバランスが回復します。

ミニサマリー:
視点を広げることで、聴衆の安心感は戻ります。

要点整理

  • 厳しい質問は、リーダーシップを示す機会

  • 表情・姿勢・視線が説得力を左右する

  • 質問の言い換えとクッションが思考時間を生む

  • 誠実で整理された回答が信頼を築く

次に厳しい質問を受けたとき、 あなたは反射で答えますか? それとも、主導権を取り戻しますか?

プレッシャー下での対応力は、準備と技術で確実に高めることができます。

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